【北海道・積丹半島】神秘の絶景が広がる神威岬の「積丹ブルー」

積丹ブルーをひと目見たくて、ニセコ方面から北西へ向かい神威岬(かむいみさき)を目指しました。積丹半島は北海道西部、日本海に向かって突き出た全長約30kmの半島で、海岸線一帯はニセコ積丹小樽海岸国定公園に指定されています。訪問したのは夏の餘韻が残りつつ秋の気配を感じる9月下旬。風光明媚な積丹半島の景観とともに積丹ブルーを堪能しました!

日本海に面した雷電国道から積丹半島へ

ニセコから雷電国道に出れば、そこはもう積丹半島(くびれ付近)。泊村あたりから日本海の大海原が見えてきます。ちなみに、地名の由来はアイヌ語で夏の村を意味する「シャクコタン」からきているとか。

断崖絶壁の海岸線を走っていると随所に巨岩や奇岩が現れ、積丹半島の荒々しさ感じるとともに雄大な景色を存分に味わえます。

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泊村から約40分ほど車を走らせると神威岬。国道沿いに駐車場(無料)の案内板がでてきたらすぐ。

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神威岬とその先端に立つ神威岩が見えてきます。

積丹半島の北西部「神威岬」に到着!!

「神威(かむい)」はアイヌ語で神格を有する高位の霊的存在のこと。「神威岬」という名前だけで神々しさが漂ってきます。

神威岬の駐車場に到着後は、緩やかな坂をのぼり約250m先にある「女人禁制の門」へ。女人禁制と書いてはありますが、もちろん現在は女性も通ることができ、この門をくぐり尾根沿いの「チャレンカの道」といわれる整備された遊歩道(770m 強風時は立入禁止)を20分〜30分(約800m)歩くと神威岬へ行くことができます。

また、その門の右手の丘を登ってすぐの場所に電磁台、そこから更に丘をのぼり約280m先に神威岬の尾根と神威岩の全貌が見える展望台があります。

ちなみに公衆トイレは駐車場横にありますが、途中にはないのでご注意を…

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神威岬が「女人禁制の地」だったのはなぜ?!

「女人禁制」になった云われの一つである義経の北行説。奥州平泉で自害したとされる義経が、実は生き延びて北へ逃れ、津軽から北海道に渡り、さらに中国大陸に渡ってチンギス・ハーンになったという伝説がありますが、この神威岬にも義経伝説にまつわるチャレンカ姫の悲恋物語が語り継がれていました。

蝦夷地に渡った義経一行は、平取(びらとり/現在の平取町)のアイヌの酋長の許に身を隠し、長の娘チャレンカと義経が恋仲に。ところがしばらくして義経は中国大陸を目指しチャレンカに黙って平取を去ってしまった。義経がいないことに気付いたチャレンカは、神威岬まで追いかけたものの既に義経一行の船は出発したあと…、チャレンカは失意のもと神威岬から身を投げたという言い伝えです。

元々この沖合は西蝦夷三険岬の一つとして海難事故が多発した難所ではあったようですが、チャレンカの身投げのあと、女性を乗せた船がこの岬を航行すると、海が荒れ船が転覆するため、チャレンカの義経に対する激しい嫉妬の執念が怨念となって人々に危害を加えるという噂とともに「女人禁制の門」が出来たと伝えられています。

その後1855年(安政2年)に、この女人禁制は解かれています。

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門に掲げられた立て札に「美味しい岬の空気を吸ってください。健康になります」とあります。いやいや、美味しいだろうけど、別に健康にはならないでしょ(笑 と思っていたのですが、、、

実は、この旅行のはじめは風邪が長引き微熱もあって体調が悪かったにもかかわらず、この日を境にみるみると元気になっちゃいました。個人的には、パワースポットと呼びたいくらいです。

健康になります。と言い切っている根拠は、新鮮な空気と壮大な景色を見ることで心身ともに元気になり、免疫力が上がっちゃう。ということではないでしょうか。

電磁台から見る「積丹ブルー」

高台からは起伏に富んだダイナミックな景色が広がっています。先端に小さく白い灯台が見えますが、そのすぐ先に神威岬広場があり、その断崖絶壁から神威岩を近くに見ることができます。

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念仏トンネルビューからの壮大な眺め

女人禁制の門から「念仏広場」までは約130m。そこから北側の断崖絶壁と「水無しの立岩」や「念仏トンネル」を見ることができます。

時間と体力があれば、神威岬の先端まで行くことを是非おすすめしたいですが、時間に余裕がない方は「念仏広場」と「電磁台」の2箇所から見るだけでも十分に楽しめると思います。

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念仏トンネルの由来

大正1年(1912)10月29日午前8時半ごろ、神威岬灯台の草薙灯台長夫人、及び土谷補員夫人とその二男(三歳)が天長節(天皇誕生日)のお祝いの品物などを買い出しに余別市街へ行く途中、ワリシリ岬付近で荒波に足をさらわれ海中に落ちて溺死した。

土地の人々はこのような海難事故が再び繰り返されないようにするため、大正3年にトンネルを造る計画をたて着工。開削作業は岬の西側と東側の両方から同時に始められたが、測量計画の誤算か開削技術が未熟なためか、トンネルの中央で食い違いが生じ工事が頓挫。ところが村人たちが犠牲者の供養をふくめ、双方から念仏を唱え鐘を打ち鳴らしたところ、その音で掘り進む方向がわかり工事を再開することができたのである。

このようにして大正7年11月8日に開通となり、以来「念仏トンネル」の名がある。また、この全長60メートルのトンネルは割合低く中が真っ暗闇なため、「念仏を唱えながら通ると安全である」と言い伝えられている。

トンネルビューからは念仏トンネルの西側出入口(赤丸の囲い部分)が見えます。以前は開放していたようですが、現在は落石の危険があるため閉鎖されています。

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遊歩道チャレンカの小道

以前は神威岬まで片道1時間の旧道ルートが使われていたそうですが、1992年に遊歩道「チャレンカの小道」が整備され、現在は20分ほどで岬までいくことができます。

遊歩道とはいえ、起伏の激しいアップダウンが続き、高所恐怖症にはちょっと怖いと感じる鉄橋などもあったり、狭い道や階段も多々あるので、行き交う人とは譲り合って歩きます。

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黄金色のススキが秋風にたなびく風景

チャレンカの小道を歩いていると、途中からススキの草原が迎えてくれました。トンボが飛んでいたりして、まさに秋色の風景。夏の終わりの涼しいそよ風が心地良い。これから山の斜面も紅葉して秋が深まっていくのでしょうね。

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東西の神威岬に立つ「神威岬灯台」

1888年に初めて明かりが点灯されてから、無人化される1960年までの72年間、この隔絶され困難を極めた険しい岬で、90人の灯台職員とその家族たちが生活していたそうです。(住居は以前、灯台横の空き地に建っていた)命がけで灯台の灯りが守られていたのですね。

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神威岬灯台を守った人々

灯台ができた明治21年(1888年)には職員3名が勤務し、灯台にたどり着くには余別の集落から片道4kmもの険しい山道を登ったり、降りたりしていました。特に、岬に近づくと崖が続き一歩踏み外せば海に落ちてしまう怖いところが何箇所もあり、子供や女性にとっては困難を極め、灯台の職員家族や灯台を訪れる人は、海岸の大きな石を飛び跳ねながら伝って歩くのが普通でした。
生活は、天水を貯め、これを生活水として利用し、電気のない時代ですのでランプを灯し、食料は自給自足が欠かせなかったようですが、米、味噌、醤油、塩といった日用品は木船の備船で買い出ししていました。

1912年10月、3名が大波に飲み込まれ行方不明になってしまったことに心を痛め、村人たちが協力してトンネルを掘ることになり、タガネ、ハンマーを使った手作業で、7年の歳月をかけて岩を掘り続け、大正7年(1916年)にトンネルが完成したそうです。

神威岬は「積丹ブルー」の絶景が広がっていた!

灯台のすぐ先にある標高83mの断崖絶壁「神威岬展望広場」からは、丸みを帯びた水平線を見渡せることができ、吸い込まれるように澄み渡った積丹ブルーの絶景が広がっています。

北西にかけ約1kmにわたって海中に礁脈があり、すぐ目の前には高さ40mの鋭くとがった「神威岩」、また顕岩としては最も外側にある高さ10mの「メノコ岩」が見えます。

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曇りの日だと見ることができないという積丹ブルーですが、この日は良い天気に恵まれ、美しい絶景を見ることができ大感激です!

断崖絶壁から神威岬を見守る神様?!

帰りは来た道を戻ることになるのですが、歩きながら念仏トンネル方面を眺めていると…、

行きのトンネルビューでは気づかなかったのですが、断崖絶壁の3つの岩石が3人衆に見えたので、よーく見てみると、中央に面長の老人が!

目をつむり祈りを捧げる老人の横顔にも見えるし、神威岬を静かに見守る神様のようにも見えます。

素晴らしい絶景を見せていただきありがとうございました!と心の中で感謝して一礼、神威岬をあとにしました。

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神威岬へのアクセス

車の場合は、小樽から約75分、高速を使えば新千歳空港から約2時間20分、函館空港から約3時間30分ほど。途中で下車して景色を堪能することができるので、やはりレンタカーがおすすめです。

電車とバスを利用する場合は、函館本線「小樽駅」もしくは「余市駅」から北海道中央バスで神威岬まで行くことができます。ただし運行期間は4月下旬〜10月下旬。(札幌駅始発の高速バス「高速しゃこたん号」もあり。札幌駅から約3時間強) 北海道バス時刻表はコチラ

または、北海道の主要都市から出ているバスツアーを探してみるというのもひとつの手かもしれません。

 

 

 

神威岬の開閉時間について

景色を見ながら歩いていると思いのほか時間がかかるもの…神威岬入口のゲートは、時期や天候によって開閉時間の変更があるようなので注意が必要です。(時間がない場合は、女人禁制の門から景色を見ることは可能)

4月・8月〜10月 8:00~17:30
5月・7月     8:00~18:00
6月        8:00~18:30
11月          8:00~16:30
12月~3月     10:00~15:00

自然環境保全協力金の募金もお忘れなく…

駐車場を出て女人禁制の門へ続く道の手前に「自然環境保全協力金」という募金箱があります。気が付かない方もいるようで、素通りしてしまう方もいますが、これだけ素晴らしい体験をさせていただけるのですから、忘れないように募金したい!

豊かな自然景観を安全で快適に利用できるように、自然環境の美化と保全整備美化保全活動に役立てるための協力金ということです。募金と言わず入場料としても良いと思うのですが…、それは神様がちゃんと見ていらっしゃるということでしょうか。

清掃協力金についての詳細はコチラ

積丹に行くなら新鮮な生ウニ丼も食べたい

実は積丹半島を訪問したきっかけは、積丹の朝採りの生ウニが食べたかったというのが第一目的だったのですが、2日前にいくつかの人気店に問い合わせしたところ「中村屋」と「食事処 鱗晃」は9月の禁漁以降は生ウニは終了。「みさき」は、入荷も厳しくなってきていてほぼ終了、実際は当日の朝にならないと分からないとのことでした。

まぁ、もし生ウニが食べられないとしても、やはり積丹ブルーは見てみたいということで積丹半島に足を伸ばしたわけですが…

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結局当日は、神威岬が素晴らしすぎて、ウニ丼のことは二の次に…予定以上の時間を過ごしてしまい、みさきに到着したのはちょうど店を閉めてる時でした。ほぼ諦めていたのでいいんですけど、いつか必ず積丹の新鮮な生ウニは食べてみたい…

6月〜8月のウニ漁解禁中に訪問して、またそのときは、神秘的な積丹ブルーの神威岬を再訪したいと思います!

どっこい積丹(積丹観光協会HP)