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【青森の旅】2泊3日のロードトリップ 3日目 〜弘前市内観光・平川・津軽鉄道・青森湾〜

2024年9月中旬、東京から青森へと車を走らせ、2泊3日のロードトリップに出かけました。この記事は、その記録を記した備忘録的なまとめブログ(ロードトリップ3日目)です。最終日となる3日目は、午前中に弘前市内の歴史ある街並みを観光。午後は津軽鉄道「太宰列車」に揺られて金木駅から五所川原駅までを往復し、夕方は青森湾に沈む夕日を眺めながら郷土料理を堪能しました。

弘前市内観光へ

ロードトリップ最終日は7時半にホテルを出発し、県道30号を南下して弘前市内へ向かいました。まずは弘前城をはじめとした市内中心部の観光のため、駐車場は追手門広場の地下にある「タイムズ弘前市立観光駐車場」を利用。ここは最初の1時間が無料、以降も30分100円とリーズナブルで、弘前市内をゆっくり散策するのにとても便利でした。

郷土作家の足跡を伝える「弘前市立郷土文学館」

追手門広場には、弘前にゆかりのある文学者を紹介する「弘前市立郷土文学館」(開館時間は9時〜17時、入館料は大人100円)があり、館内には、太宰治をはじめ、郷土作家9名の原稿や遺品が常設展示されているそうです。

弘前市立郷土文学館
青森県弘前市下白銀町2-1追手門広場内
0172-37-5505

朝の静寂の中に佇む洋館「旧弘前市立図書館」

同じ敷地内には、1931年まで市立図書館として利用されていたルネッサンス様式の「旧弘前市立図書館」(1906年・明治39年築)もあり、こちらは入場無料(開館時間は9時〜17時)で見学できます。設計を手がけたのは、明治を代表する弘前の名建築家・堀江佐吉。函館で学んだ洋風建築の技法を活かし、「青森銀行記念館」や「斜陽館(太宰治の生家)」など数多くの斬新で華麗な建物を遺した人物です。

今回は開館前の早朝に訪問したため、いずれの建物も外観の撮影のみとなりましたが、朝の静寂の中に佇む洋館の姿はとても印象的でした。

弘前レトロ建築の「ミニチュア建造物群」

旧弘前市立図書館の裏手には、明治から大正期にかけて市内に実在した14棟の建造物を10分の1スケールで再現した「ミニチュア建造物群」があり、こちらは24時間いつでも見学できるようになっていました。

この弘前レトロ建築の細部までを忠実に再現した建造物群はなかなかの見応え!当時の弘前がいかにハイカラな洋風建築に彩られた街だったのかを、箱庭を眺めるように見渡すことができます。

静寂に包まれる朝の「弘前公園」

追手門広場周辺を散策したあとは、追手門通りを渡り、弘前城の玄関口である「三の丸南門(追手門)」から弘前公園へ向かいました。おほりの穏やかな水面には、周囲の木々や空が鏡のように映り込み、ひっそりとした静寂が広がっています。

弘前城は、江戸時代に築かれた天守や櫓、城門が今なお現存する貴重な城郭で、特にこの「追手門」をはじめとする5つの城門はすべて重要文化財に指定されているとのこと。簡素ながらも質実剛健な造りに、津軽藩の歴史の深さを感じます。

下乗橋から眺める「弘前城」

平日の朝ということもあり、公園内の人影もまばらでした。静かな広場をゆっくり歩き、天守が美しく眺められる絶好のフォトスポット「下乗橋(げじょうばし)」に到着。ところが現在は石垣の修復工事の真っ最中で、天守が本来の場所から曳屋で移動されており、残念ながら下乗橋からは櫓の上部しか見ることができませんでした。

案内によると、天守が元の位置に曳き戻されるのは2026年の予定とのこと。本来の姿を見られないのは惜しい気もしますが、100年に一度とも言われるこの大規模な石垣修理の様子を目の当たりにできるのは、今だけの貴重な風景かもしれません。


弘前公園
青森県弘前市下白銀町1

前川國男の名建築「弘前市庁舎」

弘前城周辺を散歩したあとは、追手門に戻り、すぐ目前にある「弘前市庁舎」へと向かいました。この庁舎を設計したのは、ル・コルビュジエの一番弟子であった巨匠・前川國男(1905-1986)。彼は日本の近代建築に大きな功績を残した建築家で、弘前市には多くの前川建築が遺されており、弘前を訪れたらこの代表作のひとつである市庁舎を実際に見てみたいと思っていました。

建物を眺めると、水平線を強調したコンクリート打ち放しの大ひさしや、焼成ブロックが美しく積み重なった外壁など、前川建築特有の様式が随所に息づいています。また、弘前城の追手門と向かい合う立地でありながら、城下町の風情を損なわないよう建物の高さが抑えられており、歴史ある街並みとの見事な調和が図られています。なお、この本館は2015年に国の登録有形文化財にも指定されており、今もなお現役の庁舎として、弘前の街に溶け込みながらその輝きを放っています。


弘前市庁舎
青森県弘前市上白銀町1-1
0172-35-1111(代表)

大正浪漫香る「スターバックス弘前公園前店」

駐車場に戻る前に、弘前市庁舎のすぐ横にある「スターバックス 弘前公園前店」に立ち寄りました。こちらは、1917年(大正6年)に陸軍師団長の官舎として建てられた「旧第八師団長官舎」を利用した登録有形文化財の店舗なのだそうです。落ち着いたグレーのモルタル塗りの外壁に、梁や切妻破風が映えるモダンな外観で、弘前の街並みにしっとりと馴染んでいます。

店内はいくつかの部屋に分かれていて、木の温もりが感じられるレトロな空間。店内の壁には青森産のホタテの貝殻とコーヒーの豆かすを練り込んだ「ホタテ漆喰」が使われているそうで、当時の趣を残す梁や建具とともに、歴史の息吹を感じる素敵なお店でした。


スターバックス 弘前公園前店
青森県弘前市上白銀町1-1
0172-39-4051

弘前の歴史を見守る重厚な洋館「旧第五十九銀行本店本館」

こちらの建物も堀江佐吉が手掛けたという「旧第五十九銀行本店本館」(1904年/明治37年築)。スターバックスからは10分程歩くので、時間短縮のため車で移動して写真だけ撮りました。

1943年に青森銀行が設立後されたは青森銀行引前支店となり、その後1965年に店舗新築のため取り壊すことになったものの市民からの建物保存の要望を受け約50m離れた現在地に曳屋されたそうで、現在は「青森銀行記念館」として一般公開されています。(2018年青森銀行の寄贈により弘前市が所有)

株式会社第五十九銀行の本店として明治37年に完成したもので、設計及び施工は、当時名匠といわれた弘前の棟梁 堀江佐吉です。土蔵と同じように壁を漆喰で塗籠め、窓にも漆喰壁の引戸を入れた防火構造です。地方小都市に残る明治建築の中では、意匠的に優れ、材料・施工もよく、和洋折衷手法の優れた明治建築です。


青森銀行記念館(旧第五十九銀行本店本館)
青森県弘前市元長町26

国指定名勝「盛美園」を訪問

弘前市内の観光を終え、東へ約10km車を走らせ平川市の「JA津軽産直センターひらか」へ。新鮮な農産物を手に入れたのち、さらに10分ほど北上して「盛美園」を訪れました。

ここはレトロ名建築の本で、明治時代に建てられた盛美館を見つけて以来、青森を訪れる機会があればぜひ足を運びたいと思っていた場所です。和洋折衷の優美な佇まいはもちろん、庭園との調和も見どころのひとつ。さらに、借りぐらしのアリエッティのモチーフになったともいわれる場所とあって、訪れる前から期待が高まっていました。(見学時間:約40分)

▼盛美園についてのブログ記事は下記リンクより御覧ください☆

【青森・平川】レトロな明治建築・盛美館と武学流庭園が広がる 国の名勝「盛美園」を訪ねて

太宰治ゆかりの地「太宰治まなびの家」

盛美園を見学したあとは再び弘前市内へ戻り、「太宰治まなびの家」を訪ねました。ここは、太宰治が官立弘前高等学校に通うため、1927年(昭和2年)4月から1930年(昭和5年)3月の卒業まで下宿していた家です。館内には、若き日の太宰の貴重な写真やノート、当時使用していた机などが展示されており、太宰治の激動の青春時代に触れることができます。10時の開館に合わせて1時間見学する予定が、30分遅れの到着で、滞在時間は40分と思いのほか短くなってしまいました。

▼「太宰治まなびの家」のブログ記事は下記リンクより御覧ください☆

【青森・弘前】太宰治ゆかりの地③「太宰治まなびの家」を訪問 〜太宰治激浪の青春に触れる〜

太宰治が通った「土手の珈琲屋 万茶ン」

「太宰治まなびの家」を見学したあと、そのまま足をのばして向かったのは、弘前市土手町にある「土手の珈琲屋 万茶ン」。太宰治がよく通ったと伝わる、1929年(昭和4年)創業の老舗喫茶店です。

文学青年だった太宰も、この店で珈琲を味わいながら思索にふけったのでしょうか。そんな情景を思い浮かべつつ訪れましたが、残念ながら2023年12月より休業中とのこと。店先には「営業再開の際は、各種メディア等を通じてお知らせします」との張り紙があり、今回は店内に入ることはできませんでした。いつか営業が再開された折には、改めて立ち寄ってみたいと思います。


土手の珈琲屋 万茶ン
青森県弘前市土手町36-6 1F

万茶ンのある土手町には、年季の入った看板や味わい深い飲食店が並び、華やかというよりも、静かに時を重ねてきた街の表情がにじんでいます。どこか懐かしい空気がゆったりと流れ、歩くほどに味わいが深まっていく――そんな通りの魅力に、すっかり心を掴まれました。

岩木山麓の新鮮な農産物が並ぶ直売所

土手町をあとに金木駅へ向かう途中、岩木山山麓の農産物直売所 「野市里(のいちご)」「三国農園」に立ち寄りました。どちらも地元で採れた新鮮な野菜や果物が並び、季節の恵みを身近に感じられる場所で、ドライブの合間にふらりと立ち寄れる楽しいスポットでした。

時間があまりなかったのと空腹でもなかったため、買い物のあとは「野市里」で軽くひと休み。茹でたての嶽きみの甘さと地元食材のスイーツを味わい、短いながらも満ち足りたブレイクタイムとなりました。


野市里(のいちご)
青森県弘前市大字宮地字川添77-4

岩木山の麓に鎮座する古社

12時20分、岩木山の麓に鎮座する「岩木山神社」の大鳥居を通過。朱塗りの楼門や江戸初期建立の本殿を有する神社は、津軽藩の崇敬を受けてきた格式高い古社で、古くから「お岩木さま」の名で親しまれてきたといいいます。参拝する時間がなかったので、今回は大鳥居を写真に収めるのみとなりました。


岩木山神社
青森県弘前市大字百沢字寺沢27

津軽鉄道「太宰列車」に乗車

13時半すぎに津軽鉄道・金木駅の駐車場に到着。弘前市から直行すれば車で約1時間の距離ですが、今回は寄り道をしながらの移動だったため、2時間ほどかかりました。当初は最終日に奥入瀬観光を予定していたものの、「太宰治 疎開の家」を訪れた際に偶然目にしたチラシがきっかけで予定を急遽変更し、金木駅から五所川原駅を往復する「太宰列車」に乗車することに。

「太宰列車」は、津軽鉄道が毎年6月から9月頃に運行しているイベント列車。今回乗車したのは金木駅13:56発で、14:22五所川原駅に到着。折り返しの列車は14:40発、15:06に金木駅へ戻る約1時間10分の行程でした。

▼津軽鉄道「太宰列車」のブログ記事は下記リンクより御覧ください☆

【青森・五所川原】太宰治ゆかりの地④「津軽鉄道・太宰列車(金木駅↔五所川原駅)」に乗車

余韻を抱いて金木町をひと巡り

金木駅へ戻ったあとは、もう一度だけ太宰治ゆかりの地を車で巡り、金木町にあるスーパーストアにも立ち寄りました。いよいよ旅も終盤、名残を惜しみながら青森港へと向かいます。

田酒を求めて「西田酒造店」へ

訪れたのは国道280号線沿いにある「西田酒造店」。日本酒の中で何が一番好きかと聞かれたら、真っ先に挙げるのがこちらの代表銘柄「田酒」です。青森を訪れたらぜひ立ち寄りたいと思っていたものの、初日は閉まっており、最終日にあらためて訪問。しかし蔵元では一般販売をしていないとのこと。肩を落としていると、田酒と書かれたティッシュと取扱店リストを書いた紙を渡してくれました。

最寄りの「神戸商店」(青森県青森市新田2-1-13)へ向かってみると、店内にずらりと並ぶ田酒の箱はどれも空。地元でもやはり入手は難しいようです。わざわざ東京から来たのならと、評判の良い特別純米酒を裏から出してくださり、さらに純米吟醸の「亀吉」をおすすめいただきました。手ぶらで帰らずに済み、心まで温まるひとときとなりました。


西田酒造店
青森県青森市油川大浜46

アスパムと青森港を望む「青い海公園」

神戸商店からほど近い青森ベイブリッジを渡り、今旅最後の目的地に到着。「アスパム駐車場」に車を停め、青森港のウォーターフロントに広がる「青い海公園」を散策しました。

ここでまず目を引くのは、青森の頭文字「A」をかたどった三角形の建物、青森県観光物産館アスパム。その象徴的なフォルムは「プロビデンスの目」を彷彿とさせ、鋭く天へと伸びるピラミッドのようにも見えます。刻々と表情を変える空の下、自然の迫力とダイナミックな構造物との対比に圧倒される光景でした。


青森県観光物産館アスパム
青森県青森市安方1-1-40
0177-35-5311

青森の郷土料理店「みちのく料理 西むら」

締めの食事に選んだのは、アスパムの10階にある郷土料理店「みちのく料理 西むら」。青森港を一望できる窓際の席へ案内していただきました。刻々と色を変える海と空を眺めながらの食事は、それだけで特別な時間です。

注文したのは、生ウニとイカのお刺身の単品、そしてホタテの刺し身、塩焼き、フライ、塩辛、唐揚げが揃った贅沢なホタテづくし定食。小ぶりながら、口の中でとろける生ウニの甘みは格別でした。近年値上がりが目立つホタテを、これほど多彩な味わいで比較的リーズナブルにいただけたことにも満足。海を目の前に、その恵みを味わう…。旅の終わりにふさわしい、青森らしさを存分に堪能するひとときとなりました。


みちのく料理 西むら
青森県青森市安方1-1-40アスパム 10F
0177-34-5353

中秋の名月を眺めながら

午後6時半、青森中央ICから東北自動車道に乗り、帰路へ。那須高原SA、都賀西方PA、蓮田SAで休憩を取りながら、約9時間半かかっての自宅到着です。

この日はちょうど中秋の名月。雲の合間からのぞくまんまるの月が、夜空に静かに浮かんでいました。今回のロードトリップで印象に残ったのは、移りゆく青森の空の美しさ。きらきらと輝く月と流れる雲を眺めながらのドライブは、最後まで旅の余韻に浸らせてくれる、静かで贅沢な時間となりました。

青森の実りと旅の余韻

帰宅後、手に入れた新鮮な野菜や果物をテーブルに広げてみました。今回は初日に訪れた八戸の「館鼻岸壁朝市」をはじめ、金木町の「産直メロス」「スーパーストア」、鯵ケ沢町の「海の駅わんど」、弘前市の「野市里」、平川市の「JA津軽産直センターひらか」など、3日間にわたり各地の直売所やスーパーに立ち寄りました。泊数が増えるほど日持ちを考えて選ぶ工夫は必要ですが、旬の味覚をたっぷり持ち帰ることができるのは、やはりロードトリップならではの楽しみです。

それは単なる土産というよりも、その土地の空気や季節をそっと持ち帰るような感覚。旅の余韻を自宅でゆっくり味わえる、もうひとつの贅沢でもあります。とりわけ旬のとうもろこしや青森名産のりんごは、いくつもの直売所で出会うことができ、産地ごとの微妙な甘みや酸味の違いを楽しむことができました。

あとがき

青森の空と海、そして大地の恵み…。移りゆく景色の美しさと、土地に根を張る人々の凛とした佇まいに触れた旅でした。丁寧に手入れが行き届いた宿、静かに整えられた町並み、宿や店でのさりげない応対。その一つひとつから、澄み切った北の空のように誇り高く、清潔さを大切にする気質が感じられました。信号の間隔が長いのも、どこかゆったりとした時間の流れを尊ぶ風土のあらわれなのかもしれません。

これまで数々の旅を重ねてきましたが、青森は思いのほか深く心に残る特別な一章に。再びこの北の大地を訪れたいーーそんな思いを胸に、2泊3日の青森ロードトリップを終えました。

1日目 ◀青森の旅 2泊3日のロードトリップ▶ 2日目

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