【イギリス・コッツウォルズ】羊毛交易が築いた歴史的なマーケットタウン「チッピング・カムデン」

by Yu · 公開済み 2025年3月29日 ·更新済み 2025年4月20日

古の市場町「チッピングカムデン」へGO！

「チッピング・カムデン（Chipping Campden）」は、かつて羊毛交易によって栄えた、歴史あるマーケット・タウン。古英語で「Chipping」が「市場」を意味する通り、中世には商人や職人たちが行き交い、地域の経済を支える重要な拠点だったといいます。今でも町には当時の面影を残す美しい石造りの建物が並び、中世の空気を醸しています。

丘の上からチッピング・カムデンの町を望む

ボートン・オン・ザ・ウォーターを起点に、ストウ・オン・ザ・ウォルド、モートン・イン・マーシュと北上しながらチッピング・カムデンへ向かいました。チッピング・カムデンの隣村「ブロックリー（Blockley）」からパークロードの細い道を北へ進むと、やがて視界がぱっと開ける場所が現れます。

ここはブロード・カムデンからチッピング・カムデンに広がる町並みを一望できるスポット。丘の上には木製のベンチが設置されており、その上には、誰かがどこかで摘んできたチューリップが…。季節の花と穏やかな風景に、ほっこりとした気持ちになる一場面でした。

「ブロード・カムデン」の風景

「ブロード・カムデン（Broad Campden）」は、17世紀〜18世紀に建てられたコッツウォルズストーンの建物の中に、茅葺き屋根の家が点在するとても静かなヴィレッジ。観光客も少なく、地元の暮らしのリズムがそのまま感じられるような場所です。

丘の上から400mほど坂道を下るとブロード・カムデンの家々が現れます。

茅葺き屋根の民家が集まるエリア

ブロード・カムデンからチッピング・カムデンにかけては、昔ながらの茅葺屋根の家々が多く残っているエリア。綺麗に整えられた美しい庭園や、蜂蜜色のライムストーンと茅葺きのコテージが点在する、絵本のような景観のメルヘンワールドが広がっています✨️

茅葺き屋根とハニーストーンの美しい調和

地域で穫れる小麦の副産物である「麦わら」や、川辺に生える水生植物「葦（あし）」を利用したコッツウォルズの茅葺き屋根は、波打つような流線型にカットされ、ハニーストーンの外壁と美しい調和を生み出しています。伝統的な日本の茅葺き屋根とはまた違った趣がありますね。

植栽の剪定にもこだわりを感じさせる家が多く、それぞれがユニークな造形にカットされ、どれも生き生きとした印象です。

茅葺き職人・サッチャーさん

高度な技術が必要な茅葺きの職人さんは「サッチャー（thatcher）」と呼ばれています。カットの仕方でどのサッチャーが葺いた屋根なのかが分かるのだとか。サッチャーと聞くとイギリスのマーガレット・サッチャー元首相を思い起こしますが、英語には「スミス（Smith/鍛冶屋）」やクック「Cook/料理人」といった職業を由来とした名字が結構あるので、サッチャー元首相のご先祖様は茅葺き職人だったのかもしれませんね。

ちなみに茅葺き屋根は、断熱性・通気性が高く、夏涼しく冬暖かいというメリットがありますが、定期的な補修が必要なため維持費はやや高めのようです。