「東京ステーションギャラリー」へGO! 赤煉瓦の美しい東京駅の丸の内駅舎の中に、静かに時を刻む美術館「東京ステーションギャラリー」(1988年開館)があります。1914年に完成した東京駅丸の内駅舎の構…
【東京・ミュージアム】2026年リニューアルオープン!東京の歴史と文化を巡る「江戸東京博物館」のサマーナイトミュージアム
目次
「江戸東京博物館」へGO!
1993年に開館した「江戸東京博物館」は、2022年4月1日から大規模改修工事が行われていましたが、4年間の長期休館を経て、2026年3月31日ついにリニューアルオープン!初日には6000人を超える来場者が訪れたそうで、混雑が少し落ち着いてから訪問しようと思っていたところ、江戸東京博物館でも夜間開館イベント「サマーナイトミュージアム2026」が開催されるということで、リニューアルから約4ヶ月後となる8月初旬、こちらのイベントに合わせて訪れてきました。
なお、地下駐車場は台数が少なく、1時間1000円(以降30分毎500円)と高額なので、都営大江戸線の両国駅前にあるタイムズ国際ファッションセンター駐車場(当日1日最大料金1500円)を利用しました。
ナイトミュージアムについて
都立文化施設6館(江戸東京博物館、東京都美術館、東京都庭園美術館、東京都写真美術館、東京都現代美術館、東京都渋谷公園通りギャラリー)が参加する夏の夜間開館イベント「サマーナイトミュージアム2026」は、8/7・14・21・28の毎週金曜日に開催(東京都写真美術館は木・金曜)。
江戸東京博物館では実施期間中の毎週金曜日に開館時間を21:00(図書室は除く。入館は20:30迄)まで延長し、サマーナイトミュージアム当日は17:00以降の来館で対象展覧会の観覧料が2割引の団体料金(学生は無料)で入館できます。また、ナイトミュージアムの日には、3階江戸東京ひろばでの映像投影の時間延長や、東京文化会館とコラボレーションしたミニコンサート「Museum × Music!」などの特別企画も用意されています。

伝統とモダンが調和する新たなエントランス
1階のエントランスは、天井に江戸の伝統的な木工技術を思わせる意匠が施され、伝統とモダンが調和した洗練された空間になっています。受付には17時から始まるナイトミュージアムの入場を待つ人の行列ができていましたが、チケットを購入するまでの時間は10分少々で、スムーズに入館することができました。
1階には、チケット売場と総合案内のほか、特別展示室、大・小ホール、ミュージアムショップ、レストラン・カフェなどがあります。訪問時は、特別展示室で江戸東京博物館リニューアル記念特別展「洋館 明治の夢と挑戦」が開催されていました。

6階江戸ゾーン:日本橋から始まる歴史探訪
常設展示室の入口は6階。ここから5階へと下りながら、江戸から現代までの東京の歴史をたどっていきます。
江戸城や町割りのジオラマなどが並ぶ6階から、5階フロアの東側半分までは「江戸ゾーン」。一方、5階の西側には、明治・大正から昭和、そして現代までの東京の歴史を紹介する「東京ゾーン」が広がっています。江戸の町から現代の東京へとフロアを移動しながら、時代とともに変貌してきた東京の姿を楽しめる展示構成です。

実物大の日本橋と展示物
チケットのバーコードをかざして入館すると、すぐ目の前には実物大で復元された日本橋(全長51mのうち北側半分14mを復元)が現れます。日本橋を見下ろす形で、左手には江戸時代の代表的な歌舞伎小屋「中村座」(間口約20m)、右手には高さ約26mにおよぶ銀座の服部時計店(現在の和光)が、吹き抜けの空間にそびえ立っています。


大型ジオラマの江戸城と江戸の街並み
日本橋を渡った先に広がるのは、江戸城を中心とした町割りや武家の暮らしを紹介する江戸ゾーン。江戸の町人地や大名屋敷、幕末の江戸城御殿などを再現した縮尺模型をはじめ、大名や武家に関する資料が並びます。
なかでも目を引くのが、江戸城本丸・二丸御殿を縮尺1/200で再現した「幕末の江戸城-本丸・二丸御殿-」の模型。本丸御殿と二丸御殿の配置や建物の様子を俯瞰しながら、幕末期の江戸城の中心部がどのような構成になっていたのかを知ることができます。
また、1701年(元禄14)3月14日に赤穂藩主・浅野内匠頭長矩が吉良上野介義央に斬りかかった刃傷事件の舞台として知られる「松の廊下」も必見。後の「忠臣蔵」につながる赤穂事件の舞台を、屋根の骨組みまで見える構造で縮尺1/30の模型を再現しており、大広間と白書院を結ぶ松の廊下の位置関係や、廊下の曲がり方などを立体的に見ることで、物語の舞台となった場所を具体的にイメージすることができます。

町並みを再現したジオラマからは、当時の江戸の活気ある様子が伝わってきます。

5階江戸ゾーン:江戸の暮らしと文化をたどる
5階の江戸ゾーンでは、江戸の町にあった商店や店先を実物大で再現した展示も見られます。その中でも目を引くのは、日本橋と江戸の町並みを再現した大規模なジオラマです。橋の上を行き交う人々や川を行き交う舟、橋のたもとに広がる町並みまで細かく再現されています。
ジオラマの周辺には、「江戸の美」や「芝居と遊里」など、江戸の文化や娯楽に関する展示が続き、町の様子だけでなく、浮世絵や芝居、遊里などを通して、江戸の人々が楽しんだ文化にも触れることができます。

江戸中期の火消し
「火事と喧嘩は江戸の華」と言われた江戸時代、町の火消しを担っていた組織が「いろは48組」です。歌舞伎の演目などにも登場する「火消しのめ組」は有名ですが、いろは48組の配置マップを見ると、め組の受け持ち区域は現在の港区浜松町や芝大門周辺だったことがわかります。
展示では、当時実際に使われていた火消し道具のほか、江戸の町を焼き尽くした明暦の大火などについて、パネルや資料を通して紹介。火災が頻発した江戸の町で、火消したちがどのように消火活動にあたっていたのかを知ることができます。

江戸時代のさまざまな仕事
江戸時代の暮らしを支えた職人や商人など、さまざまな仕事を紹介する展示では、江戸指物のような高度な技術を要する職人仕事から、天秤棒を担いで商品を売り歩く棒手振りまで、江戸の人々の暮らしを支えた仕事と、それぞれの役割を紹介しています。棒手振りの天秤棒や約15kgもある「纏(まとい)」を実際に持ち上げたり、大名駕籠に座ったりできる展示もあり、こうした体験スポットがフロアの随所に設けられています。

5階東京ゾーン:文明開化から近代都市へと変貌する東京の街
5階東京ゾーンでは、江戸から明治・大正・昭和を経て、近代都市へと変貌していく東京の姿を、建築や街並みを通してたどることができます。
文明開化の東京では、原寸大で再現された服部時計店や、1/25の模型で再現された第一国立銀行など、西洋文化を取り入れた建築が登場。江戸の面影を残す街に新しい建築が次々と姿を現し、西洋の建築様式や新しい都市文化が取り入れられていったことがわかります。
なかでも見どころは、動く模型で再現された「鹿鳴館」「ニコライ堂」「銀座の街並み」。これら3つの展示では1時間に数回、ガイドによる解説も行われており、建物や街を行き交う人々の様子まで立体的に再現された、当時の東京の景観を臨場感たっぷりに楽しめます。

浅草六区興行街の変遷
明治初年、浅草寺周辺が公園として整備されると、浅草六区は次第に興行街として発展。花やしきが娯楽施設として人気を集め、さらに劇場や見世物小屋が建ち並ぶなど、東京を代表する盛り場へと成長していったといいます。1890年(明治23)には、高さ約60mの12階建ての建物「凌雲閣」が完成。日本初のエレベーターも設置され、東京の街を一望できる展望塔として浅草のシンボルとなり、館内には絵や写真の展示をはじめ、店舗や休憩所なども設けられたそうです。
明治後期になると活動写真が人気を集め、1903年(明治36)には、日本初の常設活動写真館「電気館」が開業。浅草六区の興行街は、見世物や展望塔を楽しむ街から、映画や芝居など新しい大衆娯楽が集まる街へと姿を変えていったとされています。

近代化する東京の暮らし
こちらは、昭和初期に登場したアメリカの自動車メーカー・フォード社の4ドアセダンの模型と、電話交換手を介さず直接ダイヤルして通話できるようになった自動電話の模型。自動車の普及によって人や物の移動が便利になり、電話も直接相手につながるようになるなど、新しい乗り物や通信技術が暮らしの中へ広がり、東京の街が少しずつ近代化していったことが感じられます。

関東大震災と東京大空襲
関東大震災は、1923年(大正12)9月1日に発生したマグニチュード7.9の大地震。展示されている被災地域のパネルからは、大震火災によって市街地に甚大な被害が広がったことがよくわかります。
1945年(昭和20)3月10日未明に起きた東京大空襲の展示では、日付ごとに、下町を中心に焼夷弾が投下された場所を映像でたどることができ、戦時下の東京がどのような状況に置かれていたのかを知ることができます。また、戦後に進駐軍によって接収された施設のパネルからは、空襲後の東京が大きく変化していったこともうかがえます。
震災と戦災という二つの大きな出来事を通して、失われた街並みや人々の暮らし、そこから復興へ向かう東京の歩みを考えさせられる展示です。

下町の庶民住宅と同潤会アパートメント
「下町の庶民住宅」(右下写真)は、大正末期に建てられた中央区月島の4軒長屋をモデルに、昭和初期の庶民の暮らしを再現した家屋模型。当時は、トイレや台所に電灯がない家も多く、ガスが引かれたのは昭和10年代、水道が各家庭に引かれたのは戦後だったそうです。台所が路地に面しているのも、ガスや水道が普及する以前の暮らしを物語るようで、当時の下町の日常がうかがえます。
一方、関東大震災後の東京では、震災復興とともに昔ながらの長屋から、近代的な集合住宅「同潤会アパートメント」が登場。展示では、東京の住まいがどのように変化していったのか、震災前と震災後の住宅で見比べることができます。

高度経済成長期の暮らしと団地
人口が増加し、東京の郊外にも新しい住宅地が広がっていった高度経済成長期は、人々の暮らしが大きく変わっていった時代。1950年代から1960年代にかけては、冷蔵庫・洗濯機・テレビが「三種の神器」と呼ばれて普及し、1959年(昭和34)から建設が始まったという「ひばりが丘団地」の住戸模型では、水洗トイレやダイニングキッチンなど、それまでとは異なる新しい暮らしのスタイルが見られ、当時の団地生活は人々の憧れだったこともうかがえます。
そして、その頃の暮らしを象徴するのが、展示されている軽自動車スバル360。1958年(昭和33)に発売され、コンパクトなボディと手頃な価格から「マイカー時代」の到来を象徴する存在として広く親しまれたそうです。
高度経済成長期の東京を伝える展示に続いて、現代の東京を紹介する展示では、1960年代から2010年代までの移り変わる東京の街や暮らしを、さらに見ていくことができます。

ミュージアムショップ
見学を終えたあとは、館内のミュージアムショップにも立ち寄ってみました。江戸東京の歴史や文化にちなんだオリジナルグッズをはじめ、書籍や図録、ポストカード、文房具、江戸にまつわる雑貨や食品など、さまざまな商品が並んでいます。展示を見たあとにもう一度その世界を思い返せるようなアイテムも多く、東京の歴史を身近に感じられるお土産探しにもぴったりのショップです。

3階江戸東京ひろばでの映像投影
3階の江戸東京ひろばでは、江戸と現代の時間が重なり合うような映像演出を楽しむことができました。これはリニューアルオープンに合わせて新たに導入された映像投影で、約4,000㎡にも及ぶ広場の天井面や柱をスクリーンとして活用。天井面の格子模様を生かしながら、浮世絵や絵図、花火、四季の空などのダイナミックな映像が、広々とした空間いっぱいに映し出される様は圧巻です。
映像は、土日祝の18:40~20:00にかけて、約20分間のプログラムを4回投影。入館チケットがなくても無料で観覧できるのもうれしいポイントです。また、8月金曜日の「サマーミュージアムナイト」では、20:00・20:20・20:40にも追加投影が行われます。

広々とした広場を舞台に映し出される映像は迫力があり、夜ならではの幻想的な雰囲気を楽しめました。


江戸東京博物館
東京都墨田区横網1-4-1
03-3626-9974
まとめ
満を持して約10年ぶりに訪れた「江戸東京博物館」。狙い通り、8月の金曜日に開催される夜間開館イベントだったので、混雑を避けてゆったりと観覧することができました。また今回の再訪では、2026年3月のリニューアルを経て、以前とは異なる展示にも出会えました。なかでも印象的だったのが、東京ゾーンの入口に新たに登場した「服部時計店」です。以前は「朝野新聞社」だった大型模型が、史実に基づいて服部時計店へと改修され、原寸大の建物をくぐって文明開化の東京へ入っていくような構成になっています。
さらに、浅草花屋敷の門が新たに登場していたり、東京大空襲や同潤会アパートメントなどの展示が充実していたりと、10年前とはまた違った視点で館内を巡ることができました。江戸の暮らしや文明開化、関東大震災や東京大空襲、高度経済成長期の東京など、それぞれの時代の街や人々の暮らしを改めて見ていくことで、東京が歩んできた歴史をより身近に感じられたように思います。
以前訪れたことがある方も、このリニューアルを機に、ぜひもう一度足を運んでみてはいかがでしょうか。改めて館内を巡ってみると、以前とは違った新たな発見があるかもしれません。混雑を避けてゆっくり見学したい方には、夜間開館の「サマーナイトミュージアム」が狙い目。昼間とは違う落ち着いた雰囲気のなかで、東京の歴史をじっくりたどる時間は、ちょっとした穴場的な楽しみ方かもしれません。

