【東京ミュージアム・ぐるっとパス】目黒区美術館「生誕130年 武井武雄展〜幻想の世界へようこそ〜」

目黒区美術館「生誕130年 武井武雄展」へGO!

〜幻想の世界へようこそ〜という言葉に惹かれ、会期初日の7月6日「生誕130年 武井武雄展」に行ってきました。

会 期 :2024年7月6日(土)〜2024年8月25日(日)
時 間 :10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日 :月曜日(7/15(月祝)、8/12(月休)は開館、7/16(火)と8/13(火)は休館
観覧料 :一般900円 大高生・65歳以上700円 中学生以下無料

開催場所の目黒区美術館までは、「目黒駅」から徒歩約10分、「中目黒駅」から徒歩約20分。駐車場はありませんが、隣接する目黒区民センター駐車場(30分100円/8:15~22:15)を利用することができました。

※今回は「東京・ミュージアム ぐるっとパス2024」(東京を中心に103の美術館・博物館等の入場券や割引券が セットになったお得なQRコードチケット/使用開始日から2ヶ月間利用可)を使用。

目黒区美術館
東京都目黒区目黒2-4-36
03-3714-1201

武井武雄展のみどころ

生誕130年を記念した武井武雄展では、イルフ童画館(武井武雄の故郷・長野県岡谷市)の協力による童画や版画、刊本作品のほか、造本やイラスト・デザインなど約300点もの作品を紹介。絵本を手にとって読むことができるコーナーなどもあります。

銅板絵本「地上の祭り」

こちらは絵を銅板で摺っただけでなく、紙・文章・装幀・ページの数字まで、本の全てにおいてとことんこだわり作り上げたという銅版絵本「地上の祭」。

1938年にアオイ書房より刊行された限定200部の希少な豪華本であったそうで、その貴重な作品のひとつをガラスケース越しに見ることができました。(写真撮影もOK)

「本の宝石」と呼ばれた刊本作品の数々

刊本作品は、1935年から1983年までの約50年間にわたって刊行された139冊の私家本。当初は展覧会に興を添える程度に考えていたものの最終的に刊本制作がライフワークとなり、表現方法、物語、装幀、印刷方法、紙、活字に至るまで制作の全工程を武井武雄自ら指揮を取って、より深くその美を追求していったといいます。

戦後には「刊本作品友の会」(正規会員300名)が結成され、この会に所属した会員のみが刊本作品を入手できたということで、入会する順番待ちの「我慢会」さらには「スーパー我慢会」まで結成されたというほどの人気ぶりだったそうです。

※刊本作品が展示されたガラスケースは写真OKでした。

「極秘亭探訪」と「ストロ王」

セロファンのスライドを本に仕立てた刊本作品NO.32「極秘亭探訪」(1958年)

地張り・模様・小すじ張りという技法を用いた麦わら細工の刊本作品NO.41「ストロ王」(1960年)

「笛を吹く城」と「ナイルの葦」

15世紀のフランスで誕生したゴブラン織りに挑戦したという刊本作品NO.74「笛を吹く城」(1967年)

紀元前から古代エジプトで使われていた紙の祖パピルスを使った刊本作品NO.108「ナイルの葦」(1980年)

「祈祷の書」

日本で開発されたSベラン(樹脂を染み込ませた水に強い性質を持ち、羊皮紙のような質感)という紙を使用した刊本作品NO.63「祈祷の書」(1966年)。刊本の中では特に「祈祷の書」に心を打たれました。

あとがき

展覧会鑑賞後は1階受付横のミュージアムグッズ売場で図録をゲット♪ 今回初めて武井武雄の展覧会を訪問したのですが、描写の違う作品がバラエティに富んでいて感動の連続です。まさに幻想の世界に誘われる素晴らしい作品の数々で、武井ワールドに心を奪われました。

個人的にはカラフルで幻想的な童画が好きで、特に「地球の庭」や「妖精伝記」のような作品は、明晰夢の世界を表現しているような不思議な感覚になるとても印象深い絵です。

また、麦わら細工やゴブラン織り、古代エジプトで使われていた紙の祖パピルス(栽培から手掛け完成までに4年半の歳月をかけた)を使用するなど、表紙や本文に様々な拘りの素材と技巧を駆使した刊本作品には圧倒です!

美の追求に力を注ぎ、会員への頒布には刊本制作にかかった原価のみの請求だったという…、これほど手をかけていながら利益度外視だったことにも大変驚かされました。

写真でご本人のお顔を拝見したときは厳つい強面の印象を持ちましたが、実直にひたむきに取り組む数々の作品に、心根の良い優しいお方だったのだろうと、さらに武井武雄ワールドが好きになりました☺︎

いつか武井武雄の生誕地・長野県岡谷市にある「イルフ童画館」にも足を伸ばしてみたいと思います♪

※目黒区美術館のあとは、金沢の石川県立美術館(2024年9月7日〜10月6日)、愛知の一宮市三岸節子記念美術館(2024年10月12日~11月24日)にて武井武雄展を巡回予定。