【東京ミュージアム・ぐるっとパス】東京都現代美術館 MOTコレクション「歩く、赴く、移動する 〜 Eye to eye」

東京都現代美術館「MOTコレクション」へGO!

2024年6月、東京都現代美術館で開催中の展覧会「MOT コレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020 / Eye to Eye—見ること」に行ってきました。

会 期 :2024年4月6日(土)〜2024年7月7日(日)
時 間 :10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日 :月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日
観覧料 :一般500円 大学生・専門学校生400円 高校生・65歳以上250円 中学生以下無料

東京現代美術館のアクセスは、半蔵門線・大江戸線「清澄白河駅」から徒歩約10-15分。車の場合は、地下駐車場(約90台)が1時間300円 (以降30分ごとに150円)で利用できます。

「MOTコレクション展示室」へ

今回は「東京・ミュージアム ぐるっとパス2024」(東京を中心に103の美術館・博物館等の入場券や割引券が セットになったお得なQRコードチケット/使用開始日から2ヶ月間利用可)で入場できるコレクション展のみの観覧にしたので、メインエントランスから一番奥のコレクション展示室に向かいました。

1階展示室「歩く、赴く、移動する 1923→2020」

1階展示室では「歩く、赴く、移動する 1923→2020」というテーマのもと、1923年から近年まで約100年の間に制作された作品を展示。絵画、立体、写真、映像、インスタレーションなど多彩な作品で構成されています。

  1. 東京を歩く
  2. 現場に赴く
  3. 清澄白河を歩く
  4. 世界を歩き、移動する
  5. 移動としての作品
  6. 想像/創造の歩みと飛翔

アトリウムの巨大な彫刻「太陽のジャイロスコープ」

1階展示室に入ると高さ19mの開放的なアトリウムが現れます。こちらにはかつて屋外にあったアルナルド・ポモドーロの彫刻「太陽のジャイロスコープ 1988年」が設置されていました。

中世の天球儀に着想を得たというこの作品は、2つに分割されたブロンズ製の円盤を錆びにくいコールテン鋼のリングで囲まれています。直径約4.5m、総重量約5トンの巨大さに圧倒!屋外より建物に囲まれているスペースの方がその存在力を際立たせますね。

「東京を歩く」震災スケッチと隅田川両岸画巻

1923年9月1日に起きた関東大震災から第二次世界大戦後までの東京風景(主に浅草周辺)を描いた震災スケッチの展示や、藤牧義夫傑作「隅田川両岸画巻 1934年」を展示。

隅田川両岸の絵巻はそれぞれが長さ十数メートルある大作で、隅田川に架かる白鬚橋や、ボート倉庫、待乳山など、隅田川両岸に広がる景色を大胆な遠近法で描いています。

「清澄白河を歩く」下町スケッチ・インスタレーションほか

「清澄白河を歩く」では、深川・木場・清澄白河など美術館が建つ地域周辺を歩いた作家たちのコレクションを展示。

右写真:光島貴之作品「ハンゾウモン線・清澄白河から美術館へ」2019年

光島貴之さんの作品(10歳で失明して全盲となり、感覚と音、匂い、対物知覚などで認識した風景を造形として表現)は、街を歩き感じたことや発見したことを木製パネル、金属板、画紙、釘、針などで表現された作品で、手で触れることもできました。

移動としての作品「人間を超えたレゾネーター」

オラファー・エリアソン作品「人間を超えたレゾネーター」2019年

今期から新たに展示された「人間を超えたレゾネーター」は、LEDライトの光を屈折・反射・分光させた作品。小さなライトの光が光学的な仕掛けで可視化され壁面に描き出されるようになっていて、その円心円状に広がる色光もとても鮮やかで綺麗です。

3階展示室「Eye to Eye – 見ること」

3階展示室では「Eye to Eye—見ること」というテーマのもと絵画による「描かれた視線」、彫刻やレリーフによる「巻き込まれる視線」、映像による「不可視なものへの視線」など、様々な視線の在り方について焦点をあてた作品を展示。世界中の都市と自然の営みをとらえたという松江泰治の素晴らしい風景写真「カメラ・アイ」も展示されています。

  1. Eye to Eye:描かれた視線 
  2. リフレクション:巻き込まれる視線 
  3. 松江泰治のカメラ・アイ 
  4. 不可視なものへの視線

赤い閃光が織りなす想像「1728個のデジタルカウンター」

宮島達男作品「それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く」 1998年

こちらは1998年に美術館の展示室に合わせて制作されたという作品。赤い閃光を放つ1728個のデジタル・カウンターが、それぞれ異なったスピードで1から9の数字を表示しては消え、その後再びカウントを繰り返しています。

超高速のせっかちな時を刻むカウンターもあれば、超低速のゆったりと時を刻むカウンターもあり、その個体差はひとつの大きな時間軸の中で生きながら、それぞれが違ったリズムで人生を歩んでいるカウンターのようにも見えるし、あらゆる種の生命の時間を表すカウンターのようにも見えるし、個体に存在する細胞分裂の周期を表すカウンターのようにも見えてくる…。という感じに、次々と想像力を膨らせてくれるスティミュレーターのようなとても面白い作品です。

熱線反射ガラスを使った抽象彫刻「相 (Phase)」

多田美波作品「相 (Phase)」1989年 

3階の展示室を出るとガラスのオブジェが目に飛び込んできました。ガラスの表面にごく薄い金属膜がコーティングされているという熱線反射ガラスを使った作品で、幾重にも重ねられた曲面体の反射ガラスに周りの風景が反射して波のように輝く様が美しい有機体のような抽象彫刻です。

3階から眺めたアトリウム

3階から眺めるアトリウムは、吹き抜けの天窓から差し込む光が美しい!1階から見る構図とはまた違った雰囲気で、全く別の作品を見ているように感じます。

IMAGINE・TOUCH・FLYなどオノ・ヨーコ作品の「インストラクション・ペインティング」を目で追いながらゆっくりと1階までの階段を降りました。本当に素敵な空間です✨

東京都現代美術館ミュージアムショップ

コレクション展示室と企画展示室の間にミュージアムショップがあり、現代アートの関連書籍をはじめ、アーティスト・クリエイターによるユニークな商品やMOTのオリジナルグッズなどの素敵な商品が並んでいます。

東京都現代美術館のカフェ・レストラン

MOT館内にはミュージアムショップ横の階段を降りたB1Fにレストラン「100本のスプーン」、階段を上った2Fにカフェ&ラウンジ「二階のサンドイッチ」があるので、観覧途中でも観覧後でもゆっくりとカフェや食事をとることができます☺︎

東京都現代美術館の屋外展示

コレクション展示を観覧したあとは、パークサイドエントランスから出て屋外展示を見学♪

水面に浮かぶ「避けた球体」

マルタ・パン作品「避けた球体」1984年

「避けた球体」は、水に浮かぶ彫刻として知られるマルタ・パンの作品。自然界の構造を幾何学的フォルムに集約して動きを彫刻に取り込むというのが彼女の作品の特徴なのだそう。

色々な角度から眺めていたらトップの裂け目からシルバーのルービックキューブのようなオブジェクトが見えました。偶然の発見かと思ったけど実は狙ってる?いずれにしてもこの外界とのナイスコラボの発見は小さな幸せを見つけたような気分になりました☺︎

遊び心をくすぐる「発見の塔」

アンソニー・カロ 作品「発見の塔」1991年

イギリス人彫刻家アンソニー・カロ(1924〜2013年)の作品「発見の塔」は、様々な形の鋼の板を組み合わせて作られているという高さ6.7m・幅5.5mの 鋼製彫刻。限られた時間のみのようですが現在も上ることができるようです。

あとがき

今回は「東京・ミュージアム ぐるっとパス2024」を利用したついでながらの訪問でしたが、予期せずに約90年前のスケッチ「隅田川両岸画巻」が見られたのはラッキーでした。白鬚橋や東京ガスの工場などは今なお残る近所の身近な風景なので、その周辺の変化を比較しながら見る絵図はとても楽しかったです。

また、松江泰治作品「カメラ・アイ」では、訪問したことのある山や街などの風景写真が何点かあり、自分とは違った目線で切り取られた美しい構図に大変魅了されました。

MOTコレクション展は、1年に3〜4回の会期に分けたテーマで開催されており、約5800点に及ぶというMOT収蔵作品数の中から毎回100~200点の作品が紹介されるので、何度来ても新鮮な驚きや感動が発見できる素敵な美術館です☆


東京都現代美術館
東京都江東区三好4-1-1
03-5245-4111