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観光起点に便利な「グリニッチ・ピア」へGO!
ロンドンの移動といえば電車とバスが定番ですが、テムズ川を渡るゴンドラリフトやリバーボートも「トランスフォー ロンドン(Transport for London)」(以下TFL」)が運w営する公共交通機関。今回はその空と川の移動手段を組み合わせ、グリニッジ天文台からキャナリーワーフ、ウェストミンスター寺院、ロンドン・アイ、そしてナショナル・ポートレート・ギャラリーまで、テムズ川周辺の名所を東から西へと巡りました。観光気分とロンドンの日常が同時に味わえる、ちょっとユニークな半日観光です。
まずは、「バンク駅(Bank Station)」からDLラインに乗って「カティーサーク駅(Cutty Sark)」へ。ロンドン南東部にある「グリニッチ・ピア(Greenwich Pier)」を目指しました。グリニッチ・ピアには、リバーボートの発着場があり、観光の起点としても便利なロケーション。すぐ近くには「グリニッジ・マーケット(Greenwich Market)」や「カティーサーク(Cutty Sark)」の博物館、「グリニッジ大学(University of Greenwich)」のキャンパスなどがあります。
※左写真のドーム型の建物は、テムズ川の下を通る歩行者専用の地下トンネル「グリニッジ・フット・トンネル(Greenwich Foot Tunnel)」の出入口で、ここから北側のアイル・オブ・ドッグス(Isle of Dogs)まで歩いて渡ることができます。右写真はリバーボート発着場。
ティークリッパーを展示する博物館「カティーサーク」
「カティーサーク(Cutty Sark)」は、1869年に建造され、かつて中国からの紅茶の輸送やオーストラリアとの羊毛貿易などで活躍したというティークリッパー(高速帆船)。修復された船体や甲板は、現在博物館船として一般公開されています。
一般公開されている「グリニッジ大学」と「グリニッチ公園」
かつて旧王立海軍学校として使われていた「グリニッジ大学(University of Greenwich)」のキャンパスは現在一般開放されており、壮麗な歴史的建造物が立ち並ぶ広い敷地を歩くだけでも心地よい時間が過ごせます。
キャンパスを抜けると、ロンドンでも有数の広さを誇る「グリニッチ公園(Greenwich Park)」があり、緑豊かな景観は地元の人々の憩いの場にもなっています。園内には、イギリスの海軍史や海洋文化を紹介する「国立海事博物館(National Maritime Museum)」や、王室のために建てられた優美な「クイーンズ・ハウス(Queen’s House)」などもあり、いずれも無料で見学可能。観光と散策の両方を楽しめる、充実したエリアです。
※「マリタイム・グリニッジ」としてユネスコ世界遺産にも登録されたこのエリアには、イギリスの海事・天文学・王室・時刻に関する歴史と文化を紹介する施設が集まり、カティー・サーク、国立海事博物館、クィーンズ・ハウス、グリニッチ天文台の4施設は「ロイヤル・ミュージアム・グリニッチ(Royal Museums Greenwich)」と呼ばれています。
世界の時間の基準を示す「グリニッジ天文台」へ
グリニッジ公園を抜け、「プライム・メリディアン・ウォーク(Prime Meridian Walk)」と名付けられた坂道を上っていくと、小高い丘の上に堂々と建つ「グリニッジ天文台(Royal Observatory Greenwich)」が姿を現します。
この天文台は、チャールズ2世の命により1675年に航海と時刻研究の拠点として設立され、やがて世界の時刻と位置の基準となる経度0度「本初子午線(Prime Meridian)」を示す地点となった歴史的な天文台。かつて教科書で学んだ世界の時間の出発点が目の前に現れる瞬間は、ちょっとした感動を覚えます。
天文官の旧邸「フラムスティード・ハウス(Flamsteed House)」や、歴史的な望遠鏡の展示、本初子午線をまたいで写真が撮れるエリアなどは有料エリアにあり、入場料は大人(16歳以上)£24、学生£18、子ども(4〜15歳)£12で、4歳未満は無料(2025年4月時点)。事前購入のオンラインチケットが推奨されていますが、空きがあれば当日券でも入場可能です。
世界をつなぐグリニッジの時計
グリニッジ天文台の外壁(無料エリア)には、「シェパード・ゲート・クロック(Shepherd Gate Clock)」と呼ばれる大きな時計が設置されています。1852年に導入された世界初期の電気駆動式公共時計で、24時間制の文字盤に正確なGMT(グリニッジ標準時)を表示。かつては天文台の親時計と連動し、ロンドン市内や鉄道駅へと正確な時刻を送信していたそうです。今も間近に見られる貴重な歴史的遺物で、訪れた人々の注目を集めていました。
ロンドン市街を一望できる展望スポット
展望スポットからは、ロンドン中心部やテムズ川の雄大なパノラマを一望できます。眼下に広がる芝生ではピクニックを楽しむ人々が集い、その先には17世紀の古典建築「クイーンズ・ハウス(Queen’s House)」、さらに遠方にはカナリー・ワーフの摩天楼がそびえ立ちます。.歴史と最先端が共存する風景に、この国の豊かさを実感しました。
時間に余裕があれば、クイーンズ・ハウス北東側のパーク・ビスタ(Park Vista)にも立ち寄りたいところ。道路上に描かれた点線で「本初子午線」を確認でき、ちょっとした記念撮影スポットにもなっています。
テムズ川を横断する「IFSクラウド・ケーブルカー」へ
グリニッチ天文台を訪れたあとは、「IFSクラウド・ケーブルカー(IFSCloud Cable Car)」へアクセスするため、バスで「ノースグリニッチ駅(North Greenwich station)」へ向かいました。
グリニッジ・ペニンシュラを出発
IFSクラウド・ケーブルカーは、グリニッジ半島とロイヤル・ドックス地区の約1kmを繋ぐゴンドラリフト。2012年にエミレーツ・エア・ラインとして開通し、2022年にスポンサー変更に伴い現在の名称に改称されたようです。
グリニッジ・ペニンシュラ(Greenwich Peninsula)からテムズ川を横断し、ロイヤル・ドックス(Royal Docks)へ向いました。
高さ90mのゴンドラでテムズ川を横断
ゴンドラの高さは約90m、実際に乗ると想像以上に高さを感じます。ゴンドラからは、行く先に「トリニティ・ブイ・ワーフ(Trinity Buoy Wharf)」や倉庫を改装建物群、「エクセル・ロンドン(ExCeL London)」など、再開発が進むロイヤル・ドックスの街並みが広がり、振り返れば「O2アリーナ(The O2)」やカナリー・ワーフの高層ビル群といったランドマークが望めます。
ロイヤル・ドックスに到着
約1kmの道のりを約10分かけて対岸のロイヤル・ドックに到着。眼下をゆったりと行き交う船を眺めながら、都市と水辺が融合するロンドン東部の景観を楽しむつかの間の空の旅となりました。
テムズ川を走る「ウーバーボート」に乗船
ロイヤル・ドックスからは「カナリー・ワーフ(Canary Wharf)」を目指し、歩いてすぐのDLライン「ロイヤル・ビクトリア駅(Royal Victoria Station)」からライトレールの路面電車に乗って「ウェストフェリー駅(Westferry)」へ向いました。
カナリー・ワーフを出発
ライトレールのウェストフェリー駅を下車し、徒歩7-8分でカナリー・ワーフのリバーバス乗り場(トイレ完備)に到着。テムズ・クリッパーズが運営するウーバーボートは、ロンドン中心部の「ウールウィッチ(Woolwich)」から「パトニー(Putney)」までの東西24か所を結ぶ公共交通機関です(全ての便が各桟橋に停まるわけではないので、行き先やタイムテーブルは要確認)。
オイスターカードがなくても、タッチ決済対応のクレジットカードやアップルペイでのタッチイン(乗船)が可能。私はソニーバンクのデビット付きキャッシュカードとスマホでコンタクトレス決済を利用しました。 ウーバーボートのタイムテーブルはコチラ
カナリー・ワーフ〜ワッピング・ハーミテージ
ロンドン・ブリッジとロンドン塔
ロンドン橋とキャノン・ストリート鉄道橋
サザーク橋とバンクサイド
ミレニアム橋とテート・モダン
ブラックフライアーズ鉄道橋とブラックフライアーズ橋
ロンドン・アイとカウンティ・ホール
ウェストミンスター・ピアに到着
カナリー・ワーフからウェストミンスター・ピアまでは約50分。外のデッキから水上ならではのダイナミックな眺望を満喫しました。リバーバスは、天候や時間帯によって混雑することもありますが、便数が多く、観光クルーズに比べて安価で気軽に利用できるのが最大の魅力。リーズナブルに水上観光も楽しめてしまう便利な移動手段といえます。
国会議事堂にそびえる時計塔「ビッグベン」
国会議事堂にそびえる高さ約96mの時計塔「ビッグベン(Big Ben)」(正式名称はエリザベス・タワー)は、1859年の完成以来、正確な時を刻み続けているロンドンのランドマーク。ウェストミンスター駅周辺は観光客や地元の人で賑わっていますが、その荘厳さと美しさを兼ね備えた姿を前に多くの人々が足を止め、空を見上げながら思い思いにカメラを向けています。昼の光を浴びる姿も、夕暮れにシルエットとなる姿も、まさにロンドンを象徴する光景です。
巨大観覧車「ロンドン・アイ」に乗車
ビッグ・ベンをじっくり眺めたあとは、ウェストミンスター橋を渡って「ロンドン・アイ(London Eye)」へ。この巨大観覧車は高さ135m、直径120mのスケールを誇り、テムズ川沿いにそびえ立つ姿は近づくにつれその迫力に圧倒されます。ガラス張りのカプセルからは、ロンドン中心部の絶景を360度見渡せます。1周約30分の天空のひとときを楽しみました。
▼「ロンドン・アイ」についてのブログ記事は下記リンクより御覧ください☆
London Eye
Riverside Building, County Hall, London
夜の「ナショナル・ギャラリー」へ
英国を代表する美術館のひとつ「ナショナル・ギャラリー(NG)」は、ロンドン中心部のトラファルガー広場に面して建つ国立美術館。金曜日は夜21時まで開館しているということで、バスに乗ってトラファルガー広場へ向かいました。
わずか2時間弱の滞在でしたが混雑も少なく、レオナルド、マネ、ゴッホ、モネなど、名だたる画家の傑作をゆったりと鑑賞し、名画の世界に浸ることができました。
▼「ナショナル・ギャラリー」についてのブログ記事は下記リンクより御覧ください☆
あとがき
当初はアフタヌーンティー付きの優雅なリバークルーズも検討しましたが、実際に利用したリバーバスは想像以上に便利で大正解でした。途中で旅程を柔軟に変更できる自由さに加え、リーズナブルに川の景色を楽しめる点も大きな魅力。さらに、ゴンドラリフトでの空からの眺望と組み合わせることで、テムズ川を空と水上から堪能するユニークな体験となりました。
ロンドン・アイのチケットは決して安くはありませんが、天空から望む壮大な景色は、一度は体験して良かったと思える忘れがたいものでした。体力に余裕があれば見どころの多いグリニッジやカナリー・ワーフも散策に組み込みたいところですが、今回は無理をせず、半日で効率的に巡るプランにしたことで、観光そのものを余裕を持って楽しむことができました。
また、電車やバスに加えて、ゴンドラやリバーボートといった公共交通機関を駆使しながら観光スポットを巡るスタイルは、お財布にも優しく、何より旅の満足度をぐっと高めてくれる選択肢だと実感しました。このブログ記事が、ロンドン観光を計画される方の参考になれば幸いです☺︎

