【神奈川・湯河原】歴史と文学に浸る癒やしスポット – 万葉公園&湯河原惣湯で心解れるひととき –

水と緑に囲まれた湯河原町「万葉公園」へGO!

神奈川県湯河原町の温泉街の中心にある「万葉公園」は、自然に囲まれた町営の都市公園。日本の歴史公園100選にも選ばれていて、歴史や文学が感じられる癒しスポットです。

元々は実業家・大倉孫兵衛の湯治用別荘地だった場所で、戦争で傷ついた人たちの保養地として開放された後、町に譲られて「大倉公園」と呼ばれるように…。その後、万葉集に登場する温泉場であることにちなんで1951年に「万葉公園」と改名され、さらに2021年には、公園内リトリート施設「湯河原惣湯 Books and Retreat」がオープンし、自然の中で上質な時間が楽しめる場所になっています。

都内(浅草)から東名高速道路〜小田原厚木道路〜真鶴道路〜国道135号線を経由して約2時間ほどで湯河原惣湯に到着。駐車場は玄関テラスに隣接する万葉公園第2駐車場(12台/1時間100円)を利用しました。熱海市泉五軒町駐車場(23台/無料)も徒歩約3分と近くて便利です。

※公共交通機関を利用の場合は、湯河原駅からタクシーもしくはバスで約10〜15分。(バスは「不動滝行き」もしくは「奥湯河原行き」に乗車、バス停「落合橋」下車すぐ)

「万葉公園 湯河原惣湯 Books and Retreat」

「万葉公園 湯河原惣湯 Books and Retreat」は、万葉公園の東側に位置する「玄関テラス」(カフェ・ライブラリーとワーケーションスペースがある施設)と、万葉公園の中腹あたりに位置する「惣湯テラス」(源泉かけ流しの温泉が日帰りで楽しめるリトリート施設)で構成された本・食・温泉が楽しめる温泉複合施設。そのうち訪問したいと思いつつ早4年、2025年5月の熱海旅行の際に立ち寄ることができました。

湯河原惣湯 Books and Retreatの「玄関テラス」

湯河原惣湯 Books and Retreatの「玄関テラス」は、カフェや観光案内所、コワーキングスペースなどがある入場無料の施設。1階のカフェでは、ピザやホットサンド、ドーナツなどの軽食と珈琲や紅茶、みかんジュースなどのドリンクを販売しており、1階のほか、2階のコワーキングスペースでも飲食が可能となっています。

また館内の本は貸出サービスも行っているので、気に入った本を手にフードやドリンクをテイクアウトして、屋外テラスや遊歩道のテラス席でまったりと過ごすのも素敵ですね。ちなみに施設・公園内はどこでもFree Wi-Fiが利用できるようになっています。

運営会社のオフィスが入っている2階は、電源もしっかり確保できるコワーキングスペースが併設されており、大きな窓から緑が眺められる素敵な空間。癒やしと共に集中できる素晴らしい環境です。

四季折々の自然が楽しめる「川の道」を歩く

玄関テラス内を見学したあとは、千歳川沿いの新しくなった遊歩道「川の道」へ。万葉公園内を流れる千歳川沿いは万葉植物をはじめとした四季折々の自然が楽しめる遊歩道となっています。

玄関テラスには誰でも気軽に楽しめる足湯があり、散策後の足休めに温泉に浸かろうと思ってタオルも持参していたのですが、散策から戻ったときには満員でした。足湯はまた次の機会に…。

最初に現れる涼し気な滝テラス

遊歩道をスタートして最初に現れるテラスは滝が流れる涼し気な「滝テラス」。遊歩道の道中には、テーブルや椅子、ベンチが設置された7つ(滝・鳥・段・月・岩・川・蛍)のテラスが点在し、渓流を眺めながら軽食したり、読書を楽しむことができるようになっています。

心地よい川の流れや滝の音、鳥のさえずりを聞きながら、芽吹き始めた木々の葉を愛でる癒やしのひとときです…。

川の道への階段と鳥テラス

上りと下りと二手に分かれるところで階段を使って川の道へ下りました(途中にあるのは「鳥のテラス」)。上りは結構きついので往路は川の道を、復路は川を見下ろせる上段の道(右写真)を下りていく道順がオススメです。

迫力満点の渓流

千歳川の水量が思いのほか多く、勢いよく流れていく様は迫力があります。

水辺と新緑の美しさにうっとり

上へ上へと這い登るツルが絡みついた大木の姿に圧倒され、思わずシャッターを切りました。シダに覆われた川辺が続く「岩テラス」からは、前方に空高く伸びた竹林が広がり、静かに揺れる様が美しい…。歩くたびに異なった風情を見せてくれる景観美が続きます。

しっとりと湿った空気の中、苔むした岩肌にはシダの葉がのびやかに広がり、新緑とともに苔やシダの瑞々しさが際立っていました。

原始の森の一部を切り取ったかのような静謐さに包まれ、心がすっと穏やかになっていく…そんな癒やしの空間です。

万葉集や文人たちの歌碑が点在

湯河原温泉は、万葉集に詠まれた歴史ある温泉地であり、万葉公園内には、そのゆかりを伝える万葉集の歌碑が設置されています。江戸時代には湯治場として賑わい、明治以降は秘湯の趣と閑雅な風情を求めて多くの文人墨客が訪れたそうで、園内には芥川龍之介の句や島崎藤村の詩、国木田独歩の「独歩の碑」など、文人たちの歌碑も点在しています。

湯河原惣湯 Books and Retreatの「惣湯テラス」

遊歩道の突き当たりの階段を上がると「蛍テラス」を経て、湯河原惣湯 Books and Retreatの「惣湯テラス」が現れました。こちらでは、食事付または食事なしのプランで日帰り温泉(男女別に設けられた2ヶ所の温泉やサウナ、ダイニング、ラウンジ、ライブラリーなどあり)が楽しめるとのこと。今回は時間の都合で外観のみの見学となりましたが、緑に包まれた静寂な雰囲気は、まさに静けさに浸る場所といった趣です。

たぬき夫婦の伝説が息づく小さな社「狸福神社」

惣湯テラスから折り返して歩いていると「狸福神社(りふくじんじゃ)」が現れます。ここは、たぬき夫婦の伝説にちなんで祀られたという神社で、どこか温かく親しみやすい空気を感じさせてくれる小さな社です。

森に包まれた静寂の社「熊野神社」

道沿いの狸福神社より少し奥まった場所に、湯河原温泉の守り神として祀られている「熊野神社」がひっそりと佇んでいます。短い参道を抜けた境内は、森の静寂に抱かれるような神聖で穏やかな空気が漂っています。

「玄関テラス」のコワーキングスペースを利用

万葉公園をゆったりと散策したあとは熱海へ移動。翌日のホテルチェックアウト後、再び「玄関テラス」を訪れてコワーキングスペースを利用しました。

この日はあいにくの大雨でしたが、2階席では静かに読書を楽しむ人や、仕事に集中する人たちの姿が見られ、私も心地よい空間でPC作業に没頭することができました。

14時頃、小腹が空いて1階のカフェへ。楽しみにしていたホットサンドを注文しようとしたところ、まさかの売り切れ…。フードメニューはホットサンドとピザ(それぞれ2種類)のみだったため、今回はピザ(大)のドリンクセットを選びました。もう少しメニューのバリエーションがあると嬉しいですが、ピザはちょうど良いボリュームでしっかりお腹を満たしてくれました。

「玄関テラス」も静かに過ごせるとても心地良い空間。ぜひまた訪れたいと思える場所でした。


万葉公園 湯河原惣湯 Books & Retreat
神奈川県足柄下郡湯河原町宮上566
玄関テラス(カフェ)0465-43-7830
惣湯テラス(温泉).  0465-43-8105 

昭和の風情が残る温泉街の風景

万葉公園からほど近い県道75号線沿いは、どこか懐かしさを感じさせてくれる温泉街の風景が広がっています。創業100年以上を誇る老舗和菓子店「小梅堂」(1910年創業)や、町営の日帰り温泉「こごめの湯」、そして風格ある老舗旅館が軒を連ね、昭和の面影と人々の暮らしの温もりを感じます。時間に余裕があれば温泉街の散策もいいですね。

華やかすぎず、どこか控えめで素朴な湯河原温泉。ここには、ゆったりとした穏やかな時間が流れています。