【東京・ミュージアム】夏目漱石終焉の地「新宿区立漱石山房記念館」を訪ねて

新宿・早稲田の「漱石山房記念館」へGO!

2024年6月、新宿区早稲田にある「漱石山房記念館」に行ってきました。ここは文豪・夏目漱石の創作活動と交流の拠点として晩年(1907/明治40年から1916/大正5年)を過ごした自宅兼書斎があった場所。漱石自身が手紙で自宅を指す際には「漱石山房」の名を使っていたといいます。

漱石の死後、建物は取り壊されてしまいましたが、生誕150周年にあたる2017年(平成29年)に記念館としてオープンし、漱石の生い立ちや木曜会に集ったメンバーなどを詳しく紹介。ここ漱石山房記念館では、忠実に再現した書斎が見られるということで、以前から訪問したかった場所です。

アクセスは、東西線「早稲田駅」1番出口より徒歩10分、大江戸線「牛込柳町駅」東口より徒歩15分、都営バス(白61)「牛込保健センター前」より徒歩2分。道に描かれたネコが案内してくれます。駐車場はありませんが、今回は近くのアキッパ(徒歩4-5分)を利用することができました。

猫塚のある「新宿区立漱石公園」

漱石山房記念館のすぐ隣(敷地の一部)が新宿区指定史跡「新宿区立漱石公園」になっていて、園内には漱石の胸像のほか、漱石や漱石山房に関する資料を展示している情報発信施設「道草庵」や、漱石の没後に遺族が家で飼っていたという小鳥や犬、猫の供養のための「猫塚」などがありました。また、公園の500mほど西の夏目坂下には漱石生誕の地碑が建てられています。

※漱石公園は年中無休。開演時間は8時~19時(10月-3月は18時まで)

「漱石山房」の記憶

夏目漱石は、明治40年9月、この地に引っ越してきました。そして大正5年12月9日、「明暗」執筆中に49際で亡くなるまで、多くの作品を生み出したのです。漱石が晩年住んだこの家を「漱石山房」といいます。漱石は面会者が多かったので、木曜日の午後を面会の日としました。これが「木曜会」の始まりです。(漱石公園内の案内板より引用)

夏目漱石は亡くなるまでの9年間を「漱石山房」と呼ばれた早稲田南町の家で暮らしました。この家は和洋折衷の平屋建てで、庭の大きな芭蕉の木や、モダンなベランダ式回廊が特徴的でした。早稲田南町に転居した頃から文筆業に専念し始めた漱石は、この地で「三四郎」「こころ」「道草」など、数々の名作を世に送り出しました。客間では週1回木曜日に「木曜会」と呼ばれる文学サロンが開催され、漱石を慕う若い文学者たちの集いの場にもなっていました。建物は昭和20年(1945年)5月25日の空襲で消失しました。(漱石山房記念館パンフレットより引用)

「漱石山房記念館」の観覧料ほか

漱石山房記念館のエントランスを入ると夏目漱石の等身大パネル(身長は159cmだったと言われている)が出迎えてくれました。

観覧料 :一般300円、小・中学生100円(団体割・免除等あり)
開館時間:10:00-18:00
定休日 :月曜(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
所在地 :東京都新宿区早稲田南町7
電話番号:03-3205-0209

※1Fの導入展示やカフェは入館料無しで利用可

漱石山房記念館フロアマップ

漱石山房記念館の1階には、カフェSOSEKI(ブックカフェ)、ミュージアムショップ、導入展示、漱石山房再現展示室、2階には通路展示、資料展示室、休憩コーナー、地下には漱石作品や関連図書約4000冊が揃う図書室(閲覧のみ)があり、まずは無料で閲覧できる1階の導入展示(漱石の生い立ちやその生涯、家族、新宿の関わりなどのビデオやパネル展示)を見学しました。

ブックカフェ「CAFE SOSEKI」で一息

ちょっと歩き疲れていたので、導入展示を見たあとは漱石記念館に併設されたブックカフェ「カフェ ソウセキ」で小休憩。

珈琲は全て宮内庁御用達の珠屋小林珈琲謹製のコーヒー豆を使用した「オリジナルブレンドコーヒー」、ほうじ茶は上林春松本店(創業約460年)の最高級品「せいふう」、広島銘菓・長崎堂の「バターケーキ」や、三谷精糖 ・和三盆の「干菓子」、夏目漱石にちなんだメニュー(漱石が愛した祇園坊柿を使用した「柿アイスクリーム」、小説・吾輩は猫であるに登場する銀座の老舗和菓子店「空也もなか」)等々…、メニューはドリンクとちょっとした甘味程度ですが、なかなかこだわりのある逸品揃いのカフェです。

漱石の愛した猫をモチーフにしたグッズコーナーもあり、帰りに愛らしいデザインの猫グラスをゲットしました♪

※当面の間、木〜日・祝のみの営業

店内にはカウンター席のほか、入口を挟んだ反対側に白を基調にしたテーブル席と漱石作品が並ぶ書棚があり、ゆっくり読書しながらカフェタイムが楽しめるようになっています。外の緑が映える明るいガラス張りでとても気持ちの良い空間♪ カフェだけ利用する方も多くいらっしゃる様で、家が近かったらしょっちゅう通ってしまいそうです。

オーダーしたのは、「空也」の最中とドリンク(珈琲・紅茶・ほうじ茶・カフェラテからチョイス)のセット。「空也」というのは、真言宗の南無阿弥陀仏を唱えた平安時代の僧侶「空也上人(くうやしょうにん)」の空也。手を合わせたくなるような空也の刻印が入った最中をありがたくいただきました。ちなみに空也の商品は銀座6丁目にある店頭(電話予約有)でしか購入できませんが、「空也最中」はカフェソウセキが唯一?!の公認取扱店のようです。

ドリンクはプラカップなのですが、後ろ姿のイラストがとってもキュートだったのでつい記念に持ち帰りましたw

忠実に再現された「漱石山房書斎」

カフェソウセキで一息ついた後は、券売機でチケットを購入し、書斎・客間・ベランダ式回廊を再現したという「漱石山房書斎」へ。

本が床に山積みとなっていますが、部屋は結構広めな印象。紫檀文机や文箱、ペルシャ絨毯(県立神奈川近代文学館所蔵資料の複製)、老眼鏡や腰差し煙草入れ、灰皿など(Web版夏目漱石デジタル文学館で公開されている画像およびデータをもとに制作)の小物なども再現されています。このような書斎で「三四郎」「それから」「こころ」などの名作が生み出されたのですね。

ベランダ回廊

夏目漱石が暮らした家は和洋折衷の平屋建て。その中で特徴的だったのがこのベランダ式回廊だったそうで、漱石山房書籍の展示を出てぐるりとベランダ回廊をまわったところに等身大の夏目漱石人形が座っていました。こんなふうに一息つくこともあったのかもしれませんね。コチラは撮影スポットになっているので一緒にパシャリ。ベランダ回廊や階段など館内各所に猫も登場します。

2階通路では、手紙の中の一文や漱石作品から抜粋された名言集を展示。ぐっとくる言葉に思わず立ち止まってしばし反芻…短い文章に凝縮された言葉がゆっくりと心に染み渡っていきました✨️

2階展示室には漱石の経歴から作品の変遷、直筆原稿、友人関係などが紹介されています。さほど大きい施設ではありませんが、なかなかの見応えでした。漱石ファンや文学好きなら、ぜひ訪れたいスポットです☺︎

※漱石山房記念館で撮影できるのは、漱石山房書斎(ベランダ回廊や等身大人形含む)のみ


漱石山房記念館
東京都新宿区早稲田南町7
03-3205-0209

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