東京ステーションホテルへGO! 赤煉瓦の美しい東京駅丸の内駅舎に寄り添うように佇む「東京ステーションホテル」。今年2025年で開業110年を迎え、館内では記念イベントや特別企画を開催しており、その中で…
【東京・丸の内】文豪ゆかりの東京ステーションホテル 〜館内ツアー付きランチプラン〜「館内ツアー編」
目次
東京ステーションホテル「館内ツアー」へGO!
赤煉瓦の美しい東京駅丸の内駅舎に寄り添うように佇む「東京ステーションホテル」。今年2025年で開業110年を迎え、館内では記念イベントや特別企画を開催しており、その中でも人気の館内を巡りながら東京駅とホテルの歩みを学べる「ホテル館内ツアー付きランチプラン」に参加してみました。日常の中で旅情を味わうプレミアムなひととき「館内ツアー編」体験レポートです。
▼東京ステーションホテル「アトリウムランチ編」は下記リンクより御覧ください☆
東京ステーションホテル フロアマップはコチラ(PDF)
①歴史の重みを感じる「鉄骨赤煉瓦構造」
3つのグループに分かれ、私たちのグループは、アトリウムの中央に佇む「鉄骨赤煉瓦構造」からガイドがスタート。1914年(大正3年)の創建当時から残るむき出しの鉄骨と赤煉瓦で、普段は赤煉瓦前にホテル宿泊者限定の朝食ビュッフェがずらりと並ぶそう。食事を楽しみながら歴史の息づかいを間近に感じられる特別な空間となっています。今はクリスマスシーズンということもあり、白いツリーにモーヴピンクの華やかなデコレーションが施されていました。
渋沢栄一の日本煉瓦製造株式会社が作った煉瓦も一部東京駅に使用されていることで、新一万円札の裏側には、左側に大きく東京丸の内駅舎、右側の小さい駅舎には4階アトリウムも写っているとのことで、帰宅後チェックしてみました☺︎


②東京駅丸の内駅舎のジオラマ
螺旋階段の前に設置されていたのは、現在の東京駅丸の内駅舎を再現した約1/200スケールのジオラマ。2012年の保存・復原工事完成によって創建当時の姿がよみがえった駅舎の、歴史や建築的価値を伝えるために制作された精巧な模型で、赤煉瓦の外壁と白い石材のコントラスト、左右対称の端正なファサード、特徴的なドーム屋根に至るまで忠実に再現されており、実物を凝縮したかのような完成度の高さです。(実際の東京駅丸の内駅舎の全長は東京タワーより約2m長い335m)
窓枠や装飾モールディング、屋根のラインなど、東京駅舎の設計者・辰野金吾によるダイナミックな意匠を間近で細部まで観察でき、実際の駅舎では見上げることしかできない全体構成やバランスを俯瞰して味わえる、貴重なジオラマです。

螺旋階段で3階へ
螺旋階段、またはすぐ目の前のエレベーターで、ひとつ下の3階へ。螺旋階段は、窓から差し込む自然光と間接照明が織りなす陰影が美しく、繊細な手すりにはクリスマスデコレーションが施されています。

③客室廊下の壮観な眺め
駅舎の中央付近にあたる廊下からの眺めが圧巻です!廊下の全長は約150mということで、この半分の長さでも75mほどあり、そのスケールは新幹線3車両分に相当。これほど長い構造が続くとエレベーターの位置が分かりにくいため、エレベーターホール前に設えられたランプには、目印としてオレンジがかった柔らかな色味にタッセルがあしらわれ、機能性と意匠性を兼ね備えたさりげない工夫が施されていました。

駅舎や鉄道、ホテルにまつわる写真や資料が並ぶ長い廊下は、アートギャラリーのような雰囲気。QRコード付きの展示では音声ガイドも用意されており、より深く理解を深めることができます。

④3階 南ドームのアーカーイブバルコニー
長い廊下を歩いて南ドームのアーカイブバルコニーに到着。ここには、資料や写真のほか、川端康成が使用していた椅子のレプリカが展示されています。
見上げると汽車の車輪がデザインされた天井が見え、その車輪には、駅やホテルにふさわしい「旅人の喜び」という花言葉をもつ白い花・クレマチス(鉄線花)のレリーフが飾られています。すぐ下に8つ配されたレリーフは、翼を広げた大鷲(幅2.1m/重さ50kg)。創建当初は重さ200kgの石膏で創られていたそうで、地震が起きたら落ちる不安があったのでは…というところでは、駅舎は地震に強い設計となっているので、1923年の関東大震災時も特に被害がなかったとのことです。
また、客室上部の壁面には干支の彫刻が施されていますが、八角ドームの構造上、東西南北にあたる卯(東)、酉(西)、午(南)、子(北)の四支は配置されていません。佐賀県唐津市出身の設計者・辰野金吾氏は、東京駅と同時期に改修が行われた武雄温泉楼門において、この四支を用いた意匠を取り入れたそうです。

美しい八角ドームの天井
下の写真は、南ドーム1階から撮影した八角ドームの天井。中心部から放射状に伸びる梁と、黄色を基調とした漆喰装飾が印象的です。アーチの中に黒い点々が見える南東面のレリーフ(写真では上部中央)は、「生かし取りレリーフ」と呼ばれるもので、戦災で焼失したドームの屋根裏に残っていた、状態の良い創建当時のレリーフが再利用されています。

⑤言葉が紡がれた文豪ゆかりのホテル
今回の館内ツアーでは、東京ステーションホテルにゆかりのある文豪の中から、内田百閒、川端康成、江戸川乱歩、松本清張の4名にスポットを当てたお話を伺うことができました。
川端康成ゆかりの客室(ドームサイドの旧317号室)
東京駅の1日平均乗車人員は40〜50万人とも言われていますが、吹き抜けのまわりをぐるりと囲むように並ぶ客室「ドームサイド」の窓からは、駅舎の中を行き交う人々の姿を眺めることができます。
日中の喧騒とは一転し、夜になるとひっそりと静まり返る東京駅。その静寂を間近に感じられる客室エリアで、川端康成はアーカイブバルコニー付近の客室(旧317号室)に滞在していたそう。小説『女であること』では、人の流れや一瞬のすれ違いを通して心情を映し出す舞台として東京駅舎が描かれ、のちに映画化されると、この客室には予約が殺到したといいます。
内田百閒ゆかりの客室(ドームサイド付近の旧225号室)
筋金入りの鉄道愛好家で、現代の「乗り鉄」の元祖ともいわれる内田百閒は、東京駅や列車の気配を身近に感じられる線路側の客室(旧225号室)を好んで宿泊し、「バラ」というレストラン(現在2階のフレンチレストラン「ブランルージュ」)では、毎年誕生日会を開いていたのだとか。鉄道紀行をはじめ、当時「東京鐵道ホテル」と呼ばれていたこのホテルでの滞在体験を随筆に残し、短期滞在を重ねながら執筆活動に勤しんだそうです。
※ドラマ『ソロ活女子のすすめ』のシーズン4第11話「ソロシティホテル」では、ブランルージュとドームサイドの客室が登場。

江戸川乱歩ゆかりの客室(旧216・218号室付近)
次はエレベーターで2階に降り、江戸川乱歩ゆかりの客室(現2041号室・オークバー)へ。ここは、小説『怪人二十面相』の中で、対決シーン(明智小五郎と怪人が駆け引きする場面)が描かれた場所だそうで、ちょうどこの日は、BSテレビで『怪人二十面相』のドラマが放送される日という案内もありました。

松本清張ゆかりの客室(旧209号室)
1階にフロントのある吹き抜け空間には、かつてエレベーターがあり、そのエレベーターを降りてすぐの2033号室(旧209号室)が、松本清張が宿泊していた客室だったそうです。
北陸新幹線の開通によりホームが高架化したため、現在は線路が見えず、窓はスモークガラスになっているようですが、当時は中央線が見える客室だったそうで、ベルボーイに頼んで用意してもらった時刻表と、客室から眺めるプラットホームを眺め思索に耽っていた折、『点と線』に登場する、電車が4分間だけ通過しない空白の時間を利用したトリックがひらめいたのだとか。客室横の廊下には『点と線』の1ページ目と、時刻表の複製が飾られています。

あとがき
以上、約30分にわたる館内ツアーでした。東京・丸の内界隈は普段からよく足を運ぶ場所で、東京駅舎も日常の風景として何気なく目にしてきましたが、その歴史や背景を深く掘り下げることがなかったのは、まさに「灯台下暗し」。今年の夏、藤田嗣治の展覧会をきっかけに久しぶりに東京ステーションギャラリーを訪れたことで、駅舎そのものへの興味が改めて高まり、自然な流れで今回の「ホテル館内ツアー付きランチプラン」への参加に至りました。
客室の内部まで見学できなかったのは少し心残りではあるものの、創建当時から残るむき出しの鉄骨と赤煉瓦、100年の物語が綴られたギャラリーのような圧巻の長い廊下、ドームサイドの窓から眺める独特の風景、そして文豪たちゆかりのエピソードの数々…。東京駅舎とホテルが歩んできた歴史を、五感で感じられる貴重な体験となりました。
▼下記リンクのブログ記事では、鉄骨赤煉瓦構造の写真も掲載しています。興味のある方は、ぜひご覧ください☆

