【ブライスキャニオン国立公園】無数の土柱が林立する「ナバホ ループ トレイル」を歩く

※こちらの記事は他サイトに掲載していた2014年8月のブログをもとに再投稿しています。

ブライスキャニオンの「ナバホ ループトレイル」を歩く

「ナバホ ループ トレイル(Navajo Loop Trail)」は、ブライスキャニオン国立公園で一番人気のトレイル。所要時間は約1〜2時間、標高差約159m、1周約2.2kmの中級者向きループトレイルで、無数の土柱が林立する独特の構造を持ったフードゥーの合間を歩くことができます。

サンセットポイントからの眺め

日の入りが一番美しいことから名付けられたという標高2438mの「サンセット ポイント(Sunset Point)」がナバホ ループ トレイルのトレイルヘッド。この展望台の前に整然と並ぶ尖塔群は「サイレントシティ(Silent City)」と呼ばれています。


Silent City @ Sunset Point

フードゥーって何?

「フードゥー(Hoodoo)」は、独特な地質構造を持った土柱の尖塔群。太古の昔、巨大な湖に石灰を多く含む砂や泥が積もって隆起、その堆積岩の間に霜・雨水・雪などが染み込んでは凍り付くという膨張作用と溶解を繰り返す事などから浸食が進み、現在のような尖塔群が形成されたといいます。

また、フードゥーになる前の壁細い壁のような形状の岩は、「フィン(Fin)」と呼ばれています。

現在も絶え間なく続く侵食作用によって断崖は100年に1mの割合で後退しており、はるか遠い未来には、尖塔群がなだらかな丘陵地に変わってしまうかもしれませんね。

ルートは反時計回りがオススメ!

トレイルはループ状になっているのでどちらに進むかは自由ですが、帰りの上り坂が比較的緩やかな方が良いので、ウォールストリートと呼ばれる谷底に向けて急坂を一気に下っていく反時計回りのルートで出発!

真夏の日中は茹で上がるほどの暑さなので、日陰の少ない時間帯を避けて午後16時頃から歩き始めました。

フードゥーに囲まれた谷底からの眺め

まずは谷底に続く急斜面をつづら折りに下っていきます。深い谷底から見上げる景色は、上から見下ろすフードゥーとは全く違う様相で、まるで別の惑星に来たよう…巨大なフードゥーに圧倒され、怪獣に襲われる様な気分にもなります。

左右を絶壁に挟まれた「ウォール ストリート」

つづら折りの道が終わって現れるのは、高い絶壁に挟まれた細い道「ウォール ストリート(Wall Street)」。まさにウォール街の高層ビルをイメージさせるようなポイントです。

石灰岩や砂岩からなる尖塔は非常にもろく、間近の壁を擦るとポロポロと砂岩が崩れ落ちてきます。雨の後は土砂崩れが起きやすく、このナバホループトレイルでも2006年に大きな崖崩れがあり、2010年、2011年にも続けて小さな崖崩れがあったのだとか。特にこのウォールストリートは狭くて逃げ場がないので、通り抜けるまでちょっと緊張します。

先を進んで行くと狭くて暗い谷底から太陽を求めてまっすぐと空高く伸びる米松「ダグラスファー(Douglas fir)」が出現。この木はとても大きく育つ樹種で、大きいものでは樹高が90mを超えることもあるといいます。


Wall Street @ Navajo Loop Trail

緩やかなハイキングコース

ウォールストリートを通り過ぎると少し開けた場所に出て、しばらく緩やかなトレイルが続きます。土柱の斜面にはほとんど草木は生えていませんが、こちらの緩やかな丘陵地には緑もあってちょっとした憩いの場といった雰囲気です。

そのまま周りの景色を眺めながら歩いていくと、サンライズポイントに繋がる「クィーンズガーデン トレイル」のジャンクションとぶつかります。ループから外れてサンライズポイント方面にハイキングする事もできますね。

この地点からサンセットポイントまでは約1km。少しづつ上り坂になり途中はかなり急勾配の坂になっていきます。

ナバホループトレイルの斜面に現れる木々

土柱の斜面にも時々米松「ダグラスファー(Douglas fir)」や、曲がりくねった松の木「ブリストルコーンパイン(Bristlecone Pine)」などが見られます。

ブリストルコーンパインは、悪天候や生育条件の悪化に対して非常に耐性が高く、悪条件化で生き残る能力に優れているため2000年を超える長寿命と言われていますが、やはり土台が崩れるほどの侵食には抗えず…今にも倒れそうな木や倒木が目に付きます。

谷底からスタート地点へ

峡谷の谷底に到達してからは緩やかな道となりますが、トレイルの後半は再び急坂が続きます。スタート地点からウォールストリートまでの急勾配ではなくとも、やはり谷底から戻るつづら折りの登りは、運動不足の身体にとってはかなり厳しいものがあります。

雷神のハンマーと3姉妹

登りが続く間は写真を摂る余裕などありませんでしたが、急な坂を上ったところで「雷神のハンマー(Thor’s Hammer)」と「3姉妹(Three Sisters)」と呼ばれる岩が現れました。こちらから見るフードゥーは、目線の高さで土柱を間近で見ることができます。

ここからはそれほどきつい坂ではありません。ナバホループトレイルの最大標高地点であるサンセットポイントまでは、あと一息です!



Thor’s Hammer and Three Sisters @ Navajo Loop Trail

あとがき

ナバホループトレイルはフードゥーを間近で見ながらブライスキャニオンの谷底を歩くことができるアドベンチャートレイル。写真や言葉だけでは伝えられない素晴らしい感動がありました。

高低差が激しいため、体力のない身体では2時間はかかるだろうと思っていたものの、ちょいちょい休みながら進み、特に急いだわけでもないのですが、1周約1時間半弱でまわることができました。

中級レベルですが、暑い時間帯を避け、歩きやすい靴・服装などで挑めばそれほど大変なトレイルではないと思います。水分をしっかり補給しながらゆっくり散策してみてください。


Sunset Point