2023年 特別展「古代メキシコ – マヤ・アステカ・テオティワカン」レポート

東京国立博物館「古代メキシコ展」へGO!

2023年8月、国立博物館にて開催中の「古代メキシコ展 – マヤ・アステカ・テオティワカン」に行ってきました。

紀元前1200年頃〜16世紀(縄文時代後期〜室町時代)にかけて、メキシコのユカタン半島を中心に文字や暦、天文学などを高度に発達させながら独自の文明を築き栄えたという古代メキシコ文明。今回の特別展は「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」の3つの代表的なメキシコ文明に焦点をあてた展覧会です。

赤の女王「レイナ・ロハ」

古代メキシコ展の目玉は、マヤの都市国家パレンケの神殿の墓室で見つかったというバカル玉の妃「赤の女王(レイナ・ロハ)」。赤い辰砂(水銀と硫黄とからなる鉱物)に覆われて見つかったことからスペイン語でレイナ・ロハと名付けられたそうです。

メキシコ国内とアメリカ以外での公開は初めてとのこと!パカル王の息子と孫、ひ孫に関連する遺物などと合わせて200年にわたる王朝一族の貴重な出土品を見ることができました。

古代メキシコ文明の遺産「石彫・石板」

チチェン・イツァの「金星の基壇」で発見された金星周期と太陽暦を表わす石彫や、歴代の王の即位が配された96文字の石板、夜空の石板、球技の場面を描いたトニナ石彫、ピラミッド等々、興味深い展示の数々に心ときめき、じっくりと時間をかけて観覧しました。

金星周期と太陽暦を表わす石彫と96文字の石板

太陽を導いて天に上る明けの明星、太陽を追って地平線に沈む宵の明星、マヤの人々は太陽、月、金星を崇め正確に観測し戦争も金星の動きに合わせて割り出していたといいます。

金星周期と太陽暦を表わす石彫:左側が金星、右側が太陽暦の年をあらわし、縦の棒が数字の5、◯が数字の1で8つの◯が8。584年の金星の周期5回分が、365日の太陽暦の8年にあたることを示す。

歴代の王の即位が配された96文字の石板:黄色の部分は盾などが描かれたパカル王を示す文字。

丸印と棒を使ったマヤ数字

マヤ数字は20個の記号を使って数字を表す二十進法。丸印を「1」、棒を「5」を示し、文字 C は6つの月からなるサイクル(6 × 29.5 = 177 日)の中でその月期がどれにあたるかを示す。また頭字体(頭または横顔を描いた字体)などでも表されています。

メキシコシティから出土した「夜空の石板」

夜空を主題とする浮き彫りの石板。両脇には金星と星、中央にはワシと兵士が表されている。

トニナのアクロポリスから出土した「トニナ石彫」

球技の場面を描いた石彫であり、中央のゴムボールの上にマヤ文字で西暦727年にあたる年が記されている。

古代メキシコ文明の遺産「土偶」

マヤ文明の遺跡からは、王や貴族をはじめ様々な役職の人々の土偶が出土されており、どの土偶もユニークで表現豊か!土偶は無表情というイメージが強かったのですが、何をしている動作なのかも想像できる面白さがありました。他にもたくさんの作品が展示されています。

チチェン イッツァ「カスティーヨ」

1988年に世界遺産に登録されたマヤ文明遺跡「チチェン・イッツァ(チチェンは「井戸のほとり」イッツアは「水の魔術師」という意味のマヤ語)」にあるカスティーヨは、マヤの最高神「ククルカン(羽毛のあるヘビの姿をした農耕の神」)を祀る基底55.3㎡、高さ24m(頂上の神殿部分は6m)のピラミッド。

マヤ文明では歴史は繰り返すという観念があり、異なる周期を持つ複数の暦が用いられていたといいます。4面にある中央の急階段は最上段の神殿まで91段あり、4面×91段=364段に最上段の神殿の1段を足すとちょうど365段。また1面の9つの階層は中央の階段で分断されており、この9×2=18層がマヤ暦の1年を表すことから「暦のピラミッド」とも呼ばれているそうです。

チチェン・イッツァ観光のハイライトとして、階段の影によってククルカンの胴体が現れる「ククルカンの降臨」(毎年春分と秋分の日の太陽が沈む頃見られる現象)が有名ですね。展示のスクリーンでは、北面の最下段にククルカンの頭部の彫刻が見えます。

生贄の心臓を捧げた「チャックモール」

神への供物として生贄の心臓を捧げるために存在したという「チャックモール」。チチェン・イツァ・ツォンパントリから出土されたというチャックモールが展示されていました。

主に戦いで捕虜となった人々が生贄となったそうですが、生贄となって死ぬことは誉とされていたため同じ村の出身者が自ら生贄となることもあったようです。

あとがき

世界には様々な古代文明があるけれど、太陽・月・金星を崇め正確に天体を観測していたというマヤ文明の宇宙観やマヤ暦にはとても惹かれるものがあり、見どころ満載の素晴らしい展覧会です☺︎

古代の人々が星空をどのように眺め、何を見出してきたのか、終始ワクワクの連続でした!展示品の撮影がOKなのも嬉しい限りです。(ただし、フラッシュ・三脚等の使用禁止、映像展示は不可)

東京展の後は、2023年10月3日から12月10日まで福岡・九州国立博物館、2024年2月6日から5月6日まで大阪・国立国際美術館にて展覧会が開催される予定です。

余談になりますが、お盆の東京は結構空いてると思いきや朝一で向かうとすでに入場口から続く大行列!入場制限などはなく館内もものすごい混雑ぶりでした。この日から3日後に喉の痛み、5日後に39度の高熱を発症し10日近く寝込みました。こちらの展覧会以外に前後1週間は外出していなかったので会場でコロナウイルスに感染したように思います。マスクもしっかりしていたのですが、8月中旬は爆発的に感染者が増加しマスクをされていない方も結構いらしたので、風通しの悪い館内に長居したことが良くなかったのでしょうね…。

5類になってからはマスク着用も個人の判断に委ねるところが増えたので、エアロゾル感染が気になるところ…。コロナ感染者が増加中ということですので、博物館など人が密集する風通しの悪い場所へお出かけの際は、しっかりと免疫力を上げて万全の体調で臨まれますように!