【神奈川・箱根】電車でめぐる温泉街の箱根湯本とレトロな宮ノ下 1泊2日の気ままな女2人旅

1日目:ロマンスカーで箱根湯本へ

2026年1月の平日、1泊2日で箱根湯本へ行ってきました。今回は電車とホテルがセットになった旅行プランを提案してくれた幼馴染の友人と初めての電車旅。あえて細かい予定は立てず、その時の気分で気ままに散策したのですが、天候にも恵まれ、心に残る素敵な旅となりました。

当日は新宿駅南口改札で待ち合わせ。9時20分発のロマンスカー「はこね71号」に乗車し、通勤ラッシュで賑わう日常の新宿をあとに、ここから一気に非日常の世界へ。車窓からは、澄みきった冬空にくっきりと浮かぶ富士山の姿も見ることができました。ワインを飲みつつ積もる話に花を咲かせているうちに、あっという間に時が流れ、気づけば箱根湯本に到着していました。乗車時間はおよそ1時間半です。

駅前通りを散策

箱根湯本駅に到着後は、ランチのお店を探しながら、甘味処や土産物店が軒を連ねる駅前通りを散策しました。通りには美味しそうな饅頭やお出汁の香りが漂い、温泉街ならではの風情を感じつつ、自然と気分も高まっていきます。

レトロな雰囲気が漂う「画廊喫茶ユトリロ」にてランチ

お互いの気分にぴったりのレトロな雰囲気が漂う一軒を見つけ、「画廊喫茶ユトリロ」でランチをすることに。アンティークな扉を開けると、そこには数々の名画が飾られ、美術館のような空間が広がっていました。

注文したのは、芳醇な香りのカレーときのこハンバーグ。食後には、ドリンクセット(+500円)のポット付き紅茶もいただきました。入店時は先客が1組だけでしたが、お昼を過ぎる頃には一気にお客さんが増え、店内は賑やかな雰囲気に。来店客の半数ほどは外国人観光客のようでした。価格帯は観光地らしく全体的にやや高めですが、美しい絵画とアンティークに囲まれて過ごす時間は、まさに「大人の休日」。箱根の旅をより優雅に彩ってくれる、贅沢なひとときとなりました。


画廊喫茶ユトリロ
神奈川県足柄下郡箱根町湯本692
0460-85-7881

2つの川に抱かれた箱根湯本の原点

ランチのあとは、早川に架かる湯本橋を渡り、須雲川沿いへと続く滝通りを歩きました。箱根七湯のなかでも最も古い温泉場とされる箱根湯本は、早川と須雲川に挟まれたこの界隈から、その歴史を刻み始めたといわれています。

湯本橋の手前にあるホテル「河鹿荘」は、かつて温泉地の玄関口として賑わった「小田原馬車鉄道・電気鉄道湯本駅」があった場所。箱根湯本が交通の要衝として発展してきた歴史を今に伝える由緒ある地です。

橋を渡った先には、1933年(昭和8年)に宮大工の手によって建てられた「万寿福旅館(ますふくりょかん)」が姿を現します。木の質感や意匠の随所からは、湯治場として栄えた時代の風格が感じられ、この土地が育んできた時間の厚みを静かに物語っていました。

せせらぎが心地よい川沿いを歩く

大寒を目前に控えた1月半ばとは思えないほど、この日は春のように暖かく穏やかな陽気でした。青く澄み渡る空の下、川のせせらぎを聞きながらの散策はとても心地よく、川沿いではアオサギが気持ちよさそうにくつろぐ姿も見られました。須雲川には洗濯板のような形状をした波状岩がいくつも点在し、自然がつくり出した独特の景観も印象的です。

須雲川沿いに佇む茅葺き屋根の「山家荘」

須雲川にかかる弥栄橋から徒歩4〜5分ほどの場所に、「山家荘(やまがそう)」という別邸の宿がひっそりと佇んでいます。苔むした茅葺き屋根が印象的な昭和初期の建物で、敷地内には、それぞれ趣の異なる源泉かけ流しの露天風呂付き離れが5棟。周囲の自然に溶け込むような静かな佇まいが、隠れ宿らしい趣を感じさせます。

天成園の庭園を散策

さらに5分ほど川沿いを歩くと、玉簾の瀧で知られる「天成園」に到着します。滝はホテルの庭園内にありますが、宿泊客以外でも自由に見学できるオープンな場所なのが嬉しいポイント。庭園内では、あひるが気持ちよさそうに散歩する姿が見られるなど、どこかほのぼのとした雰囲気です。箱根神社・九頭龍神社の分宮である「玉簾神社」も祀られており、散策しながら静かなひとときを過ごすことができます。

飛烟の瀧と玉簾の瀧

庭園に入ってすぐ現れるのが「飛烟の瀧(ひえんのたき)」。そして、その先に佇むのが、古くから文人墨客や旅人たちに愛されてきた「玉簾の瀧(たまだれのたき)」です。流れ落ちる清らかな水しぶきはとても美しく、1月の澄んだ空気も相まって、眺めているだけで心が洗われるような涼やかさを感じました。

玉簾の湧き水が源流の美しい清流

錦鯉が泳ぐ池広場をはじめ、竹林や芝生広場など見どころの多い散策路には野鳥の姿も見られ、庭園には美しい景観が広がっています。園内を流れる清流には、近くに湧き出る非常に澄んだ水が注ぎ込み、深い緑のわさびの葉や水草を映し出しながら、その高い透明感をいっそう際立たせていました。

この清流の源となっているのが、箱根山の溶岩層で自然に濾過された「玉簾の湧き水」。なかでも、飛烟の瀧のそばから湧き出る水は、古くから延命水として親しまれてきたそうで、現在も飲用が可能とのことです。ミネラル成分をバランスよく含んだ弱アルカリ性のやわらかな水と聞くと、思わず一口味わってみたくなります。

滝前広場に隣接する茶屋「たまだれ庵」にも立ち寄ろうと思っていたのですが、こちらは主に土・日・祝日(11:00~15:00)の営業。訪れたのが平日だったため、この日は残念ながらお休みでした。蕎麦や甘味が楽しめるほか、夏季限定のそうめん流しが名物とのことで、次回はぜひ訪れてみたいと思います。


天成園
神奈川県足柄下郡箱根町湯本682
0460-83-8500

宿泊ホテル「祥月マイユクール」へ

庭園を散策したあとは、滝通りの弥栄橋まで戻り、弥坂を上って今回宿泊するホテル「祥月マイユクール」へ。チェックインは15時からのため、先に手続きだけを済ませ、再び周辺の散策に出かけることにしました。

▼「祥月マイユクール」についてのブログ記事は下記リンクよりご覧ください☆

【神奈川・箱根湯本】美食と美肌温泉で癒やされる!女子旅に嬉しい人気ホテル「祥月マイユクール」

後北条氏の菩薩寺「早雲寺」

向かったのは、ホテルから徒歩約3分の場所にある「早雲寺(そううんじ)」。戦国大名・北条早雲を開基とし、後北条氏の菩提寺として知られる由緒ある寺院です。本堂や鐘楼は簡素ながらも厳かな佇まいで、華やかな温泉街とは対照的な、静かで落ち着いた空気に包まれていました。

北条5代の墓

境内の高台には、戦国時代に関東一円を治めた一族・北条五代(早雲、氏綱、氏康、氏政、氏直)の墓が、ひっそりと並んでいます。陽気のせいもあって、濃淡の美しい緑に包まれた木々の間から差し込む光はどこか神々しく、寺院でありながら、気の良い神社に身を置いているかのような心地よさ。葉が風に揺れ、さらさらと音を立てる様子を、いつまでも眺めていたい気分でした。戦国時代の関東地方で、およそ100年にわたり勢力を築いた後北条氏(小田原北条氏)の歴史に思いを馳せながら、静かに手を合わせます。


金湯山 早雲寺
神奈川県足柄下郡箱根町湯本405

城郭風の門構えが目を引く老舗旅館「箱根 花紋」

早雲寺惣門前の旧東海道沿いに建つ「箱根 花紋」は、城郭風の門構えが印象的な老舗旅館。箱根が温泉地・観光地として発展していった大正〜昭和初期に建てられた、歴史ある建物です。白壁と石垣、櫓を思わせる外観は、早雲寺惣門とも美しく調和し、まるで小さな城のような存在感を放っています。

箱根湯本の氏神さま「白山神社」を参拝

花紋に隣接する箱根湯本の氏神さま「白山神社」にもお参りしました。生け花が美しく飾られた手水舎で身を清め、階段の参道を上がっていくと、子宝や子育ての守護を象徴するとされる、子どもを抱いた狛犬が出迎えてくれます。愛嬌のある狛犬の表情と、ほのかに明かりが灯る社殿に、心までほっこりと温まりました☺

境内には伏見稲荷社や水神社も祀られており、手水舎に湧く「白山水」をいただくこともできます。また、少し山を上った先には、商売繁盛や勝負ごと、災難除けのご利益があるといわれる大岩が鎮座。関東大震災でも動かなかったと伝えられる、霊験あらたかな岩です。

静謐な境内をひと巡りすると、気がつけば時計はすでに14時半過ぎ。そろそろホテルへ戻ることにしました。


白山神社
神奈川県足柄下郡箱根町湯本431

2日目:「富士屋ホテル」で過ごす優雅な時間

2日目は、友人の提案で宮ノ下にある「富士屋ホテル」を散策することにしました。2019年に訪れた際は改修工事のため館内に入ることができず、今回は久しぶりの再訪です。リニューアル後に新設されたミュージアムなどもぜひ見てみたいと思っていたので、期待に胸を膨らませながら富士屋ホテルへ向かいました。

▼「富士屋ホテル」についてのブログ記事は下記リンクよりご覧ください☆

【神奈川・箱根】宮ノ下の広大な敷地に広がる名門「富士屋ホテル」で過ごす優雅なひととき

旅の余韻に浸るひととき

富士屋ホテルでの優雅なひとときを終え、16時頃に箱根湯本駅へ戻りました。駅前の土産物店では、生地に黒糖と味噌が練り込まれた芳醇な香りの「箱根路みそまん」などを購入。出発までまだ少し時間があり、小腹も空いてきたので、小田原かまぼこの御三家「籠清(かごせい)」のかまぼこ横丁に立ち寄り、「箱根山」という純米酒とともにおでんをつまむことに。ここは駅前という立地に加え、提供も早いので、出発前のわずかな時間でも安心して立ち寄れるのが魅力。乗り過ごす心配もなく、最後の一杯を楽しめます。

早川のせせらぎを望める、店内奥の席に腰を下ろし、景色を眺めながら味わう日本酒とおでんは、しみじみと美味しく、箱根の旅の締めくくりにぴったり。しばし、旅の余韻に浸るひとときでした。

あとがき

今回の箱根湯本の旅は、観光名所を次々に巡るというよりも、歩くことそのものを楽しむ旅だったように思います。川のせせらぎに耳を傾け、歴史ある寺社に手を合わせ、気になる建物の前でふと足を止める…予定を詰め込みすぎず、そのときの気分に任せて過ごしたからこそ、箱根という土地が持つ穏やかな空気や、長い時間をかけて育まれてきた歴史の重みを、より深く感じることができたのかもしれません。気心の知れた友人との旅というのも、何よりの贅沢でした。

温泉、自然、歴史、そして名建築と、箱根は何度訪れても新しい表情を見せてくれる場所。次は季節を変えて、またゆっくり歩きに来たい…そんな思いが自然と湧き上がる旅となりました。