1619年に徳川幕府が設けた箱根関所は、1869年(明治2年)に関所が廃止されるまでの250年間、軍事的な拠点として、また後年は治安維持のための警察的な役割として機能。江戸時代の東海道における歴史を知…
【神奈川・箱根】芦ノ湖に浮かぶ鳥居と荘厳な杉並木に導かれる「箱根神社」を参拝
関東総鎮守の「箱根神社」は古代「箱根権現」と称され、約2400年前に箱根最高峰(標高1438m)の神山を御神体として、遥拝できる駒ヶ岳山頂に神仙宮を開いたことに始まったといいます。(その後、箱根権現を祀るため奈良時代の757年、奈良の僧侶「万巻(まんがん)」によって里宮が創建され、それが現在の「箱根神社」)。源頼朝の厚い崇敬を受け、後世の武士からも厚く信仰されたという歴史がある神社です。
目次
元箱根港の第一鳥居から「箱根神社」へ
元箱根港・海賊船乗り場前の国道1号線に箱根神社第一鳥居があります。国道をまたぐ鳥居としては、日本一と言われる巨大な鳥居で、箱根駅伝のルートにもなっています。また、元箱根港からは右手遠方に湖上の「平和の鳥居(箱根神社)」を望むことができます。
第一鳥居からP2/P3駐車場の間の第二鳥居をくぐり、第二鳥居から200mほど先に第三鳥居(徒歩で進む境内にある)があり、すぐその先の「箱根神社駐車場」入口(一方通行)から境内に入ります。
駐車場に到着したのは朝8時半ころ。休日でも朝のうちなら境内の駐車場もまだ余裕があります。
箱根神社第一鳥居と平和の鳥居(望遠レンズにて撮影) 箱根神社第二鳥居付近と箱根神社境内の駐車場
箱根神社公式ウェブサイトの境内案内マップはコチラ
箱根神社第四鳥居と手水舎
駐車場に面してお札所、その先に第四鳥居と手水舎があり、鳥居の前には神奈川名木100選に選ばれている樹齢約1200年の巨木「矢立杉」が天高くそびえ立っています。
境内には南(駐車場付近)と西(石段を上った神門の中)の2ヶ所にお札所があり、御朱印は通常、南のお札所で受付けており、箱根神社と九頭龍神社の御朱印をいただくことができます。
左写真:矢立の杉 右上写真:お札所 右下写真:手水舎と第四鳥居
杉の大木が空高く立ち並ぶ石段参道
芦ノ湖から御本殿へと続く、まっすぐな石段参道の両脇には杉の大木が空高く立ち並び、ヒンヤリとした神々しい空気に包まれています。石段の数は数えたことがないのですが…89段あるらしく、89=やく=厄ということで、階段を上ると厄落としになるのだとか…
御本殿に続く巨木の杉に囲まれた石段
蘇我神社と箱根神社第五鳥居
御本殿に向かう石段の途中に「蘇我神社」があります。曽我神社は、箱根権現の稚児であった曽我兄弟の霊を慰めるためお祀りされ、江戸時代の1647年に小田原城主稲葉美濃守正則が石造の本殿を造営(社殿改修は平成)したとあります。
兄5歳、弟3歳の時、同族間の所領争いで実父河津三郎が工藤祐経に討たれるという不運に遭遇。母親が再婚したことで兄弟も相手の蘇我姓を名乗り、箱根権現別当に預けられ稚児となっていた弟が13歳のとき、箱根権現・二所詣に参列した工藤祐経を見つけ復讐の隙きをねらったものの果たせず逆に祐経に諭され、赤木柄の短刀を与えられる。その後仇討ちを決意した兄弟は、1193年工藤祐経の陣屋を襲って倒し、先年与えられた赤木柄の短刀で止めをを刺し仇討を遂げた。(兄十郎(22歳)は戦死、弟五郎(20歳)は捕えられ斬首)義理の叔父である伊東祐親が後見人となる。
(箱根神社HP「蘇我神社」より引用)
蘇我神社と第五鳥居
箱根神社の御神門と御本殿
石段を上り第五鳥居をくぐると鮮やかな朱塗りの御神門と御本殿が現れます。御祭神は、瓊瓊杵尊(ニ二ギノミコト)、木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメ)、彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)の御三神「箱根大神(ハコネノオオカミ)」。交通安全・心願成就・開運厄除に御神徳の高い運開きの神様として信仰されています。
※神話において御三神は、天照大神(アマテラスオオミカミ)の孫で皇室の祖先になったとされている「瓊瓊杵尊(ニ二ギノミコト)」、その妻で富士山を御神体としている富士山本宮浅間大社(浅間神社)の祭神として知られる「木花咲耶姫(コノハナノサクヤ匕メ)」、また2人の間に生まれた3男で神武天皇の祖父に当たると言われている「彦火火出見尊(ヒコノノデミノミコト)」です。
巨木の杉を背景に見る第五鳥居 御神門と御本殿
箱根神社
箱根町元箱根80-1
龍神水が湧き出る「九頭龍(くずりゅう)神社新宮」
箱根神社御本殿の隣に続くのは、龍神湖水の祭に因んで建立されたという「九頭龍神社新宮」(1999年建立)。箱根神社を創建した万巻が、芦ノ湖に住んでいた9つの頭を持つ毒龍(九頭龍)を法力で改心させると、九頭龍は宝珠・錫杖・水瓶を持って万巻に帰依したと伝えられ、御祭神はその九頭龍大神です。縁結びのほか、商売繁盛などの御利益があるとされ、毎月15日が月次祭となっています。
「九頭龍神社本宮」は箱根神社の北、芦ノ湖畔の少しアクセスしづらい場所(箱根園・湖尻から徒歩30分もしくは毎月13日の月次祭に運行する参拝専用船または参拝バスを利用)にありますが、「九頭龍神社新宮」は、箱根神社と合わせて参拝することができます。
九頭龍神社新宮と龍神水の手水舎
箱根山を源とする御神水の手水舎
境内には箱根山を源とする御神水が流れており、手水舎は九頭の龍の口から出てくる「龍神水」。不浄を洗い清める箱根山の霊水・パワースポットと言われ、龍神水を取水して持ち帰る方も多いようです。(お札所で空のペットボトル(100円)が購入可)
九頭龍の口から流れる龍神水
安産のご神木「安産杉」
龍神水の近くには、大きな空洞のある杉の大木が母胎のような形に見えることから、安産の神として祀られるようになったという「安産杉」があります。鎌倉時代に、源頼朝が箱根神社に安産祈願に参ったところ、三代将軍源実朝が無事誕生したことで、安産祈願を箱根神社で行う風習が広まったそうです。
安産のご神木「安産杉」
芦ノ湖に浮かぶ「平和の鳥居」
参拝のあとは、石段を下り芦ノ湖に浮かぶ「平和の鳥居」へ向かいます。
この鳥居は、1952年(昭和27年)、昭和天皇の立太子礼とアメリカ合衆国ほか連合国との講和条約締結を記念して建立され、その12年後の1964年(昭和39年)に、箱根神社御鎮座1200年と東京オリンピック開催を記念して、講和条約に調印した吉田茂元首相の真筆による「平和」の扁額が掲げられたとのこと。それ以来「平和の鳥居」と呼ばれるようになりました。
遊覧船に乗って芦ノ湖から見る平和の鳥居、石段から芦ノ湖に向かって見る平和の鳥居、どちらも味わい深く、また威厳を感じる鳥居です。
湖水に朱色が映える「平和の鳥居」
境内のお休み処
駐車場の前にあるお休み処には、人気の権現からめもちや、うどん・つけ麺などの食事ができます。茹で汁やめんつゆには箱根神社の御神水を使っているのだとか。
また、お休み処の裏手には「箱根山七福神の恵比寿社・弁財天社」、「宝物殿」があります。箱根神社の境内は広くて見所がたくさんありますね。
朝の清々しい杉並木を歩くのはとっても気持ちが良いです。箱根を訪れるなら、心願成就・開運厄除・縁結び・安産…、願いを込めてまずは箱根神社&九頭龍神社新宮を参拝してみてはいかがでしょうか。