2023年3月初旬、東京から関西へ4泊5日のロードトリップに出かけました。箱根(トスラブ箱根和奏林泊)→琵琶湖(ホテル琵琶レイクオーツカ泊)→京都(ホテルハーヴェスト京都鷹峯泊)→神戸(ホテルハーヴェ…
【兵庫・神戸】古き良き日本の伝統が息づく「有馬温泉街」を散策
兵庫県神戸市にある日本三名泉のひとつ「有馬温泉」は、飛鳥時代から知られた日本最古の温泉といわれ、豊臣秀吉をはじめ、皇族・貴族・文化人など多くの著名人にも愛されたという由緒ある温泉地。その有馬温泉を1泊2日で訪れ、町家の落ち着いた佇まいが残る温泉街を歩いてみました。
目次
炭酸せんべいの由来と「炭酸泉源公園」
まずは宿泊先の「ホテルハーヴェスト有馬六彩」の裏庭から外へ出て、すぐ向かいに佇む「炭酸泉源公園」から散策を開始しました。
炭酸泉源から湧き出す温泉は、たくさんの炭酸ガスを含んだ18.3度の冷泉(銀泉)。冷泉を瓶詰めしても鉄砲のように蓋が飛んでしまうので鉄砲水とも呼ばれ、昔は砂糖を入れてサイダーとして飲まれていたのだとか。また有馬の銘菓「炭酸せんべい」の名前の由来になっているようです。
公園の奥には神社のような建物の中央に炭酸泉の井戸があり、その井戸の手前にある蛇口から飲泉ができるようになっています。また階段を降りたところに小さな池があり、ブクブクと炭酸泉が湧き出ている様子を見ることができました。
「炭酸泉源公園」は温泉街を見渡す高台にあるため、有馬温泉から歩く場合は上り坂になりますが、公園内にはベンチもあるので、散策で疲れた足を休めることもできます。
▼「ホテルハーヴェスト有馬六彩」についてのブログ記事は下記リンクより御覧ください☺︎
公衆浴場「銀の湯」
炭酸泉源公園を出てタンサン坂を下り、ねがい坂を進むと公衆浴場「銀の湯」に到着。無色透明の銀の湯は、炭酸泉とラジウム泉の混合温泉とのこと。スチームサウナも設置されているようです。
発泡性の二酸化炭素泉は、肌から取り込まれると毛細血管を拡張し、血流をよくして、むくみを解消!高血圧、末梢動脈疾患、循環障害、機能性心疾患などに効果があり、飲用すれば食欲増進に良いとされています。
営業時間:9:00~21:00
定休日:第1・第3火曜日(祝日営業 翌日休)、1月1日
料金:大人(中学生以上)550円、小人(小学生)290円、幼児無料
※2館券(金の湯・銀の湯)850円、2館券(金の湯・銀の湯)+史料館(太閤の湯殿館)1,000円
銀の湯
兵庫県神戸市北区有馬町1039-1
有馬温泉の泉質について
療養泉として指定されている9つの泉質のうち、7つ(単純性温泉・二酸化炭素泉・炭酸水素塩泉・塩化物泉・硫酸塩泉・含鉄泉・硫黄泉・放射能泉)の泉質が含まれている世界的にも珍しいとされる温泉なのだそう。
この7つの泉質が混合されているという有馬温泉では、赤茶色の「金泉」と無色透明の「銀泉」に大きく分かれていて、それぞれ異なる泉質を楽しむことができます。
有馬温泉街の鬼瓦
「銀の湯」前の壁面には、平和と安穏を祈念した祝聖文と厄よけの役割がある鬼瓦が設置されていました。
念仏寺の鬼瓦が阪神・淡路大震災の際にずり落ち、長く庭に置かれたままになっていた鬼瓦を寺田町らしい街づくりのために観光資源として活用したそうで、このあとの散策でも道路の脇など所々で鬼瓦と出会いました。散策しながら厄除けもできるなんて良いですね♪
温泉パイプを掃除する作業員さん
銀の湯のすぐ近くの側溝で繋ぎを来た人が作業をしていたので声をかけさせていただきました。温泉パイプは温泉成分による硬化や汚れが付着するため高圧洗浄による掃除を頻繁に行わないとすぐにつまってしまうそうです。温泉を維持するのも大変なんですね。
ねねの別荘跡「念仏寺」
有馬寺田町エリアには念仏寺をはじめ、極楽寺、湯泉神社など寺社が集中していますが、その中でも有馬で最も古い建造物と言われるのが、豊臣秀吉の正室・ねねの別荘跡に建つ1712年創建の浄土宗「念仏寺」。本堂周辺には阿弥陀如来立像や寿老人が祀られています。
本堂では写仏体験ができるほか、本殿内にあるカフェでお寺カレー(1日限定10食)がいただけるのだそう。写仏や樹齢300年の沙羅の木(見頃は6月下旬)が植えられた庭園を眺めながらの食事も大変魅力的ですが、時間がないので先へ進みます。
念仏寺
兵庫県神戸市北区有馬町1641
078-904-0414
温泉寺・行基の銅像
有馬温泉再興のため行基(ぎょうき)によって724年に創建されたという温泉寺。温泉寺の前には、有馬温泉発展の基礎を築いた行基の銅像が立っています。
不動坂から繁華街へ
不動坂から温泉寺・鐘楼横の階段をくだり繁華街へ。老舗旅館や昔ながらの木造の建物など、町家の落ち着いた佇まいが残る温泉街を歩きました。
料膳 旬重(花小宿)
う越利(UOTOSHI)
レトロカフェ「カフェ・ド・ボウ」とベーカリー「パン・デ・ボウ」
家を改築し1986年にオープンしたというカフェ・ド・ボウとパン・デ・ボウに立ち寄ってみました。西洋風の建物の2階が仏蘭西菓子「カフェ・ド・ボウ(Cafe De Beau)」、1階がベーカリー「パン・ド・ボウ(Pao De Beau)」、いずれも営業時間は9時~18時(定休日:火曜日)です。
また、隣の大きな蔵はアートギャラリー「ガレリア・レティーロ・ドウロ(Galeria Retiro Douro)」になっています。
Cafe De Beau & Galeria Retiro Douro
おやつ用に人気の丹波黒豆パンや、いちごデニッシュなどをゲット。テラス席で焼きたてのパンを味わうこともできます。
Pao De Beau
カフェ・ド・ボウとパン・デ・ボウ
兵庫県神戸市北区有馬町835
078-904-0555
公衆浴場「金の湯」
パン・デ・ボウのすぐ前に公衆浴場「金の湯」がありました。金の湯は、含鉄泉や塩化物泉などが混合した「含鉄ナトリウム塩化物強塩高温泉」と呼ばれる泉質(金泉)で、無色透明の湯に溶け込んだ鉄分が空気に触れることで茶褐色に濁っています。44度のあつ湯と42度のぬる湯があり、タオル類も販売しているので手ぶらで立ち寄ることができます。
塩分濃度が高く、体を芯から温めてくれるため関節痛や冷え性に効能があるほか、アレルギー性位皮膚疾患などに作用するカルシウムイオンや、保湿効果のあるメタケイ酸なども多く含まれているそうです。
金の湯のすぐ横には無料で利用できる足湯を併設。また「太閣の飲泉場」があり、湯口は太閤・豊臣秀吉の馬印である瓢箪の形をしています。金泉は飲用に適さないため、飲泉場のお湯は金泉ではなく銀泉(ナトリウム塩化物泉)となっています。
営業時間:8:00~22:00
定休日:第2・第4火曜日(祝日営業、翌日休)、1月1日
料金:大人(中学生以上)650円、小人(小学生)340円、幼児無料
※2館券(金の湯・銀の湯)850円、2館券(金の湯・銀の湯)+史料館(太閤の湯殿館)1,000円
金の湯
兵庫県神戸市北区有馬町833
078-904-0680
有馬街道沿いの「有馬川親水公園」
太閤通りから有馬街道に進むと「有馬川親水公園」があり、豊臣秀吉の正室・ねねにちなんで建てられたという赤い欄干の「ねね橋」が有馬川に架かっています。豊臣秀吉は別邸まで建ててしまうほど頻繁に有馬温泉を訪れていたそうです。
ねね橋から有間川親水公園を望む。奥に太閤橋が見えました。
鄙びた風情が漂う湯本坂〜太閣通りを歩く
銘店が並ぶ湯本坂〜太閣通りをそぞろ歩きしました。特に伝統的な古い家屋や土産店が軒を連ねる湯本坂は、とても趣がある通りですね。
有馬銘菓のほか有馬籠や小物雑貨などお土産が買えるお店がたくさんありました。また、有馬名物の炭酸せんべいや有馬サイダーをはじめ、明石焼き、佃煮、ドーナツ、まんじゅう、コロッケ、ジャラートなど美味しい楽しい食べ歩きも魅力です。
有馬土産をゲッツ!
有馬土産といえば炭酸泉を利用してつくられたのが始まりという「炭酸せんべい」ですね。
最初に炭酸せんべいを製造・販売したという元祖「三ツ森本店」をはじめ、焼きたての柔らかいうちに食べる生炭酸せんべいが人気という「湯の花どう本舗」、炭酸せんべいのコーンでソフトクリームがいただける「平野屋本舗」など、太閣通りには有馬の銘店が軒を連ねています。
湯本坂の中間に位置する「炭酸煎餅本家 三津森本舗」では、窓の外から炭酸せんべいを焼く工程を見学することができました。分厚い鉄板の型にタネを落とし焼き上げた後、はみだしたバリを丁寧に手作業で削って仕上げる様子がよくわかります。
今回初めて試食で頂いたのが「きんせん堂」の名物という金銭焼。感動の美味しさです!
袋を開けると香ばしい醤油の香り♪ 平べったいお餅は弾力があってもっちもち、柔らかく伸びて中にはしっかりとした餡が入ってます。友人へのお土産にも大変好評でした。おやつ用にゲットした金泉最中も美味しかったです☺︎
きんせん堂太閤通店
兵庫県神戸市北区有馬町286-2
078-903-1545
モクモクと湯気が立つ「妬泉源」
湯本坂の終点近くに妬神社の赤い鳥居があり、その路地を入ったところに「妬泉源(うわなりせんげん)」がありました。妬泉源(金泉質)は有馬温泉街に7ヶ所ある源泉のひとつで、93.8度という高温の温泉が湧出しています。
妬泉源には、夫の不貞に気づいた妻が愛人を殺し、自らも温泉に身を投げたという伝説があるようで、美しい女性がこの泉源の前を通ると嫉妬で湯が吹き出すということから、妬湯(うわなりのゆ)と呼ばれ、鎮魂の意で妬神社が創建されたそうです。
妬湯は間欠泉で湯の量は少なく、1950年代に湧き出して以降は枯渇しており、すぐ裏手に新しく掘削されたのが今の妬泉源とのことです。
有馬スプリングテラス
妬泉源裏の有馬スプリングテラスには、「Griddle Me Local」というカフェレストランのほか、家庭料理レストラン「おだしとおやさい 翠」、串揚店「有馬楽膳 桜」などがありました。テラス席での食事はワンコもOKのようです。
ARIMA SPRING TERRACE
兵庫県神戸市北区1021
あとがき
有馬温泉を訪れたのは3月初旬の花粉飛散ピーク時期…、前日に六甲ガーデンテラスを訪問したのですが、ひどい花粉症のため目がお岩さんのように腫れてしまったため、当初予定していた有馬温泉街の散策は難しいかなと思っていました。
翌朝目が覚めると目の腫れがだいぶおさまっていたので、ホテルで朝食をいただいたあと、花粉症用メガネ、帽子、マスクの完全防備で散策に挑むことに!約1時間(9時〜10時頃)のクイックコースでしたが、こぢんまりとした温泉街なので短時間でも思いのほか楽しむことができました。
ただ、もっと時間をかけて散策することができたなら、途中で現れるいくつもの細い路地を探索しながら風情ある街並みをゆっくりと堪能したかったです。湯めぐりとともに美味しいグルメ探索なども楽しそう。また機会があれば今度は花粉シーズンを避けてゆっくりと有馬温泉を訪問したいです☆
▼「六甲ガーデンテラス」についてのブログ記事は下記リンクより御覧ください☺︎