【山梨・河口湖】富士山を学べる「山梨県立富士山世界遺産センター」に初訪問

「山梨県立富士山世界遺産センター」へGO!

世界遺産・富士山について展示・情報を発信する施設として2016年6月にオープンした「山梨県立富士山世界遺産センター」を訪問しました。河口湖インターを出てすぐというアクセスの良さに加え、駐車場(乗用車54-78台)も見学も無料です。という驚きの施設です。

営業時間は9:00-17:00。定休日は南館:第4火曜日、北館:無休。電車の場合は、河口湖駅から「無料巡回バス(富士急グループ施設利用者専用)」を利用することが出来ます。(乗車時間10分「富士山世界遺産センター」下車)

日本人の自然感や日本文化の形成に多大な影響をもたらしてきた富士山は、2013年に「信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録されました。富士五湖をはじめ、忍野八海、北口本宮冨士浅間神社など、周辺には25箇所の構成資産が点在しています。

富士山の巨大オブジェ「富獄三六〇」

まずは南館の2階からスタート。富士山の聖域と言われる馬返しのあたりから上の部分(1500m以上)を和紙で作った全長15mの「富獄三六〇(ふがくさんろくまる)」(富嶽は富士山の別称)が宙吊りになった1/800スケールの巨大オブジェがドーンと目に飛び込んできました。季節や1日の時間の流れを光や音で演出し、多彩な表情の変化が見られます。

ぐるっと一回り色々な角度から富士山を観察することができ、宝永山や大沢崩れなどの地形もしっかりかたどられていました。富士山の自然と人々の関わりをわかりやすく体感できるよう映像などを用いて展示しています。

巡礼路を見立てた「御中道回廊」

南館2階には、御中道に見立てた「御中道回廊」あります。 「御中道(おちゅうどう)」とは、富士山の中腹(五合目辺り)を時計回りに1周する巡礼路。登拝の経験を長年積み重ね揺るぎない信仰心を持った者だけが巡礼を許される道だったそうです。

また回廊の壁には、富士山の豊かな自然と民衆信仰など写真と文章による展示がされており、約1万年前から現在に至る富士山の歴史を辿ることができました。

回廊の最後にスクリーンがあり、富士山の噴火〜自然の霊力を求める神仏の世界〜富士山胎内の水〜富士山に寄せる人々の想いなど、約7分間の迫力ある映像も良かったです。

富士山世界遺産センター南館の展示

南館1階は、広がる富士山の世界(床地図)、胎内ビジョン(上部スクリーン)、信仰の対象・富士山、富士講信者の旅、富士登拝の拠点、富士山登拝体験、各地の富士山、溶岩洞穴をめぐる信仰、富士信仰の多様な姿など、富士山信仰に関する情報と富士山に関するアート作品をメインに展示。写真パネルや映像を取り入れながら、わ かりやすく紹介しています。

各地の富士山 -世界に広がるふるさとの富士

国内外には「○○富士」と呼ばれる山が数多く存在するそうです。聖書に出てくる「ノアの方舟」が最終的に辿り着いたというトルコの神聖な山「アララト山」が、「アルメニア富士・トルコ富士」などと呼ばれていることも興味深く、関心しながら写真を拝見しました。

芸術の源泉・富士山

万葉集や竹取物語などの文学をはじめ、葛飾北斎や歌川広重が描いた江戸時代の浮世絵など、さまざまな芸術活動の源となってきた富士山は、国内のみにとどまらず、日本文化を象徴するアイコンとして西洋における芸術作品にも多大なる影響を与えてきました。

浮世絵師が描いた富士山の絵は海外にも伝わり、その斬新な構図や表現方法は「ジャポニスム」と呼ばれる芸術運動へと発展、19世紀後半に鎖国が解かれると、富士山はさらに大きな意味合いを帯びて知られるようになったといいます。

こちらの「芸術の源泉・富士山」では、葛飾北斎や歌川広重によって描かれた世界的に有名な富士山の浮世絵などを映像で紹介しています。


迫力の巨大絵画「冨士北麓参詣曼荼羅」

富士山ライブラリーの奥には、現代美術画家の山口晃さんが富士山北面の信仰世界を描いたという「冨士北麓参詣曼荼羅」を展示。縦5.4m、横7.7mと大迫力の巨大絵画です。

黒い雲は夜を表し、参詣者が夜のうちにご来光を目指し頂上に登ったことを示しているのだとか。八合目付近の白い雲は、それより上が仏の領域であることを表し、大日如来を中心とした九尊の仏が光として描かれています。また、明かりに照らされた町には、富士急ハイランドなど現代の施設も見られました。

※参詣曼荼羅は、霊場の全景を表す絵図。16世紀以降に日本各地で制作されたそうです。

富士信仰の旅「世界遺産富士山VR」

VRゴーグルをかけて360°の映像で体験できる「世界遺産富士山VR」では、吉田口から富士山頂へ向けて、かつての参詣者たちが歩いた信仰の道を体験することができます。

雲海や山頂からのご来光、そして南西斜面に見られる大沢崩れなどまで、ドローン撮影を交えた臨場感あふれる映像で、大変貴重な富士山のバーチャル体験が楽しめました。

途中で目が回りそうになったときが数回ありましたが、ちょっと目を瞑って休ませながら見たので気分が悪くなることはなかったです。

富士山世界遺産センター北館

北館には1階に展示室、大型ビジョンによるガイダンスシアター、富士山の総合案内所、富士山グッズが並ぶギフトショップあります。平日の午前ということもあってフロアには2,3組の観光客のみ。富士山ガイダンスシアターの放映時間は通常決まっているようですが、人がいないときは止まっているらしく、インフォメーションに声をかけるとすぐに映像を見せて頂けはました。

北館2階には、青い富士山カレーや黒い溶岩唐揚げなどの食事ができるカフェと展望広場があります。天気が良ければ展望広場から美しい富士山を望むことができるそうですが、残念ながらこの日は雨で雲隠れ…富士山を見ることはできませんでした。

おみやげ

ギフトショップでは、2023年度の富士山カレンダー、レンズ笠をかぶった富士山のハガキ、信玄餅キャラメルを購入しました☺︎

北館1階展示室

北館1階の展示室では、富士山の成り立ちや噴火、生息する動植物など自然を中心に展示しており、溶岩や火山灰の実物なども見ることができます。

4階建ての富士

富士山の中には、「先小御岳」「小御岳」「古富士」という3つの古い山が存在していることをここで初めて知りました。富士山を地質調査したときに判明したのだとか。私たちが見ている富士山(新富士)は4階建てだったんですね。

学術記事によると富士山が噴火した回数は、5600年前からでも180回以上にのぼるそうです。直近で起きた噴火は、江戸時代中期の1707年に起きた「宝永大噴火」。このときの噴火は約2週間続いたそうです。

以来300年以上も沈黙を続けている富士山ですが、まだ噴火する可能性がある青年期の活火山。どっしりと鎮座する落ち着いた様子からはなかなか想像することができませんね…。

雲の天気予報

富士山には笠雲や吊雲など、ユニークな雲が現れることがあり、昔の人はこれらの雲を見て天気を予測したといいます。

どの雲が現れると晴れになるでしょうか?雨になるでしょうか?当ててみてください☺︎ 答えはあとがきを御覧ください☆

溶岩による造形

ここでは、富士山の噴火による大量のマグマが、それぞれのたどった痕跡を残しながらユニークな形を造り上げたという自然アートが見られます。

溶岩石筍と溶岩樹型

左写真2枚:溶岩流の中でできた空洞の内部が高温になって天井が部分的が溶け、溶岩(マグマ)が滴り落ちて積み重なってできたという「溶岩石筍」。なんともおどろおどろしい雰囲気です。

右写真2枚:樹木を飲み込んだ溶岩が急冷して樹木を型どった緻密な殻をつくり、熱によって中の木が焼失し空洞になってできたという「溶岩樹型」。幹の隙間にマグマが入り込んで固まったため、木目の形が残っています。

あとがき

平日の午後に伺ったので、人も少なくゆっくり楽しめました。南館・北館合わせて2時間弱の滞在でしたが、南館は文章での展示も多く、じっくりと解説を読みながらまわるとなると結構時間がかかりそう…。「信仰の対象と芸術の源泉」として、改めて世界遺産・富士山を学べる素晴らしい施設です。

よく知っているようで実はあまり知らなかった富士山…。どれも興味深い資料ばかりで思った以上に楽しく充実した時間が過ごせました。無料で見学できるということにも驚きです。

※雲の天気予報の答え→晴れは3.5.10.11。雨は4.6.7.8.13.14。風は9。雨と風は1.2.12.15.16。

山梨県立富士山世界遺産センター
山梨県南都留郡富士河口湖町船津6663-1
0555-72-0259

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