【イエローストーン国立公園】地熱現象が最も活発な「ノリス ガイザー ベイスン」

イエローストーン国立公園の園内は数字の8の字のように道路が走っていますが、「ノリス ガイザー ベイスン」はそのちょうど中央、ノリスとグランドキャニオンを結ぶノリスキャニオンロードの西側に位置します。近年新しく活動が始まり、園内の中でも地熱現象が最も活発と言われている地域です。

※こちらの記事はアメブロに掲載していた2015年6月のブログをもとに再投稿しています。

園内で地熱現象が最も活発な「ノリス ガイザー ベイスン」

「ノリス ガイザー ベイスン(Norris Geyser Basin)」は、は2つのエリアで構成されており、北側の「ポーセレン ベイスン(Porcelain Basin)」には約1.2kmの遊歩道、南側の「バック ベイスン(Back Basin)」には約2.4kmの遊歩道がそれぞれあり、舗装トレイルやボードウォークのループトレイルから、脈動する間欠泉や熱水泉を間近に見ることができます。

水域の大部分がpH3.3からpH3.6の酸性となっています。(非常にまれな酸性間欠泉を含む)

小さな博物館「ノリス ガイザー ベイスン ミュージアム」

駐車場から歩いてすぐの場所に石と丸太で作られた小さな博物館(国定歴史建造物)「ノリス ガイザー ベイスン ミュージアム(Norris Geyser Basin Museum)」とブックストアがあります。ここで簡単な予備知識として熱水泉や間欠泉の地熱活動などに関する展示物を軽くチェック!分からないことはカウンターのスタッフに質問することができます。


Norris Geyser Basin Museum

白煙を上げる噴気地帯「ポーセレン ベイスン」へGO!

博物館を出て最初に向かったのは、草木があまり生えていない噴気地帯「ポーセレン ベイスン」。広大な盆地のあちらこちらから白煙の蒸気が立ち上っています。

豪快な蒸気ヴェント「ブラック グロウラー スチーム ヴェント」

まず最初に出迎えてくれたのがものすごい勢いで吹き出す蒸気ヴェント「ブラック グロウラー スチーム ヴェント(Black Growler Steam Vent)」。イエローストーンの地熱で最も熱いと言われるのが蒸気ヴェント(噴気孔)で、「ブラック グロウラー スチーム ヴェント」では93〜138度の蒸気が観測されています。

Black Growler Steam Vent

美しいターコイズ色の熱水泉

ポーセレン ベイスンでは、一帯に散りばめられた美しいターコイズ色の熱水泉が目を引きます。また、中には鉱物(ガイザライト)によって乳白色の膜ができたコロイドが見られます。

ガイザライトの堆積物は、約1世紀という非常に長い時をかけてで約2.5cmほど蓄積し、間欠泉盆地で見られるような間欠泉の錐体と丘を形成していくそうです。


Colloidal Pool


Ledge Geyser and Hurricane Vent

酸性水で繁殖する色彩豊かなバクテリア

ノリスの水域の大部分は酸性水ですが、驚くべきことに極限の酸性環境でも生物は繁栄しています。

間欠泉や温泉の溢れる水路に、鉱物や微細な生命体で鮮やかに彩られていることがよくあります。丈夫で微視的なライムグリーンのシアニジウム藻は、これらの暖かい酸性水で繁殖します。オレンジ色のシアノバクテリアは、磁器盆地の流出流に見られることがあります。遠くから見ると、これらのバクテリアはさびた、鉄分が豊富な鉱床のように見えます。

黄金色に輝く「イースト フォーク オブ タンタラス クリーク」付近

ポーセレン ベイスンの中央付近に流れる「イースト フォーク オブ タンタラス クリーク(East Fork of Tantalus Creek)」は、キラキラと黄金色に輝き、一見すると砂金の宝庫のよう!その先には数多くの間欠泉が噴煙を上げ、時折巨大な噴出を見せてくれます。


East Fork of Tantalus Creek

マーブリングアートのような緑色のシアニジウム藻

ボードウォーク周辺からピンウィール ガイザーにかけて伸びる緑色のシアニジウム藻が、暖かい酸性水で繁殖。種類の違うバクテリアのコラボは、まるで絵の具を流して作られたマーブリングアートのようです。

パチパチと音が聞こえる「クラックリング レイク」

青・緑・橙などの色が折り重なった「クラックリング レイク(Crackling Lake)」は、南岸付近の温泉からパチパチと熱水が湧き出る音がすることから名付けられました。立ち枯れた木々や流木が絵になります。


Crackling Lake

樹木が生い茂る「バック ベイスン」

樹木が生い茂る「バック ベイスン(Back Basin)」は森林の中をハイキングするような爽快なエリア。樹木が少ない「ポーセレン ベイスン」とは対象的でトレイルも長めです。

バックベイスンには、美しいエメラルドグリーンの温泉や、100mを超える噴出で世界最大と言われている間欠泉「スチームボート ガイザー(Steamboat Geyser)」があります。

▼トレイルの先に見えるのがスチームボードガイザーの噴煙。噴火の予測は不可能。近年では2013年7月と2014年9月に大規模な噴出がありました。


Back Basin

エメラルドグリーンの温泉「エメラルド スプリング」

博物館を出て最初に現れるのが「エメラルド スプリング(Emerald Spring)」。水深8mのプールには硫黄が堆積しており、硫黄の黄色と反射した青色の光が相まって、温泉は壮大なエメラルドグリーンに見えます。


Emerald Spring

まとめ

イエローストーン国立公園内で最も地熱活動が活発なノリスガイザーベイスンは、他のエリアとはまた違った独特な雰囲気。新しい地熱地帯ということで学者たちも注目している地域です。

色彩豊かな色と温泉の匂い…シューシューと静かに鳴る音や、「ゴゴゴォー」と突如轟音が鳴り響く音…新鮮な躍動感に五感がフルに刺激されます。

勢い良く吹き上がる間欠泉や湯けむりに囲まれた温泉が広がる世界はとても美しく、異次元にワープしてしまったような魅力的な空間。オススメスポットのひとつです!ポーセレン ベイスンのトレイルなら1時間もあればまわれますよ☆

Norris Geyser Basin