【スペイン・バルセロナ】ガウディの未完最高傑作「サグラダ・ファミリア」を堪能!

天才建築家「アントニ・ガウディ」が設計・建築を手がけた未完の大聖堂「サグラダ・ファミリア(Sagrada Família)」を初訪問!1時間半かけてファサードや教会内部をじっくりと見学しました。

バルセロナのシンボル「サグラダ・ファミリア」

バルセロナで一番の見どころとも言えるガウディの最高傑作「サグラダ・ファミリア」。1882年に建設が始まって以来いまだいくつものクレーンが立ったまま工事が続行中ですが、2005年に「生誕のファサード」が世界遺産に登録され、2010年にはローマ法王庁によって正式にバシリカ教会堂として認定されました。

写真や映像で何度も目にしているものの、想像を超える規模と美しさに驚愕!その威厳に圧倒されます。

現在は、東の生誕に続き西の受難の2つのファサードが完成しており、それぞれ4本、計8本の鐘塔がそびえ立っています(18本建てられる内の10本の塔は未完)。

正面玄関となる南側の「栄光のファサード」は現在も建築中で、キリストの教えと栄光が描かれた最も華麗なファサードになるのだそうです。3つのファサード全てが完成すると合計12本の鐘塔が12使徒を表すことになります。

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外から「受難のファサード」を眺める人々

陽が昇る東に「生誕のファサード」

サグラダファミリアの東側のファサードは、キリスト誕生の祝福と栄光の物語を表す数々の彫刻が全面に広がる壮大なスケールの「生誕のファサード」。柔らかな曲線と曲面の中に緻密で精巧な装飾が施され、喜びに溢れた明るい希望が表現された華やかなファサードです。

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4本の塔が空高くそびえ立つ「生誕のファサード」

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生誕のファサードの中心15体の天使像は、日本人でありながら、サグラダ・ファミリアの芸術工房監督を任されているという彫刻家の外尾悦郎さんが16年かけて彫ったという作品。全ての彫刻が完成した2005年に「生誕のファサード」が世界遺産に登録されました。

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キリスト誕生を祝う彫刻の中には、6人の天使が左右に3人づつ分かれクラッシック楽器と民族楽器を演奏する姿も描かれています。

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父ヨセフが見守るなかキリストが聖母マリアに冠を授ける様子

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大天使ガブリエルがマリアにキリストを妊娠したことを告げる受胎告知

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鐘塔の様々な箇所に父と子と精霊に捧げる「Sanctus(聖なるかな)」の文字が刻まれています。

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中央上部の「生命の樹」を表わす糸杉の下にはイエス・キリストのモノグラム「JHS」、先端には三位一体のアナグラム(神の名を意味する最初の文字「Tau」、子を意味するX字型の「十字架」、精霊を意味する「鳩」)が冠されています。

陽が沈む西に「受難のファサード」

サグラダファミリアの西側のファサードは、最後の晩餐から埋葬までキリストの過酷な運命が刻まれた「受難のファサード」。曲線的で華やかな生誕のファサードとは対照的に、硬い直線的なデザインで、荒涼とした雰囲気が漂っています。

こちらはガウディの没後となる1986年から2007年にかけて彫刻家ジョセップ・マリア・スビラックスが制作した作品で、ガウディとまるで違うエッジの効いた作風は、スビラックス独自のものへと変えられたからなのだそうです。

実際にガウディのオリジナルのデッサン(マルタ熱に侵され療養しているときに思いついたというもの)を見るとその原案が唯一取り入れられたのは、白い骨のような装飾が施され外に張り出した支柱で、それ以外のデザインや彫像などは全て変わっているのがよく分かります。

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弟子のペテロがイエスを知っていることを3回否定するシーン。ペテロの後ろには、3回の否定を表す3人の女性が、ペテロを冷たい眼差しで見つめています。保身の行為を恥じるようにペテロが悲痛な表情でうなだれている姿がとてもリアルです。

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受難の門の上部には、ゴルゴダの丘に登るキリストが倒れこんだシーンが描かれ、中央にはキリストの汗を拭いたベール(聖骸布)を掲げる聖ベロニカが立っています。

ここには、ガウディへの敬意を表したオマージュがあり、左側にはカサ・ミラの煙突を模したというヘルメットをかぶったローマ兵、その左横に生前のガウディの顔をモデルした福音者が立っています。

その更に上部の彫刻は、ゴルゴダの丘の上で十字架に磔にされたキリスト。足元にある頭蓋骨がキリストの死を表し、その死を悼む聖母マリアとマグダラのマリア、それを慰めるヨハネがいます。

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鐘塔の先端にはピナクル(小尖塔)と呼ばれる色鮮やかなデザインの飾りが付いています。これは教会の最初の司教である12使徒に捧げられるもので、司教冠、杖、指輪、十字架といった司教のシンボルをあらわしているそうです。

まるでナウシカの腐海の森のような教会内部

教会の中に入った瞬間、ファサードを見た時の感動のまたその上をいく壮麗さに衝撃が走ります。森をイメージしたという内部は、まるで風の谷のナウシカに出てくる腐海の森!

10年ほど前までは、工事中の足場の中を見学するような状況だったそうですが、現在は美しく幻想的なサグラダ・ファミリアの内部全体を見渡すことができます。

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ガウディは、神が創造した自然に畏敬の念を抱き、そこからインスピレーションを得ていたと言われています。

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樹木をモチーフにした大理石柱、枝分かれした柱の上部、ステンドグラスから差し込む光…柱、壁、天井全てに施された装飾の全てに動きがあり、生命力を感じる空間で、巨大生命体の中を探検するような気分になる、まさに神秘の森です。

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暖色系、寒色系など様々な美しい色合いのステンドグラスが聖堂を美しく輝かせる様は神秘的。光の差し込み具合によって色が変化していく柱も印象的でした。

サグラダ・ファミリア「主祭壇」

主祭壇には、キリストの体をあらわす麦と血を表わす葡萄が装飾された天蓋の下で、十字架に磔されたキリスト像が天上を仰ぎ見ています。

手前の4本の石柱上部には、マタイによる福音書(黄色の天使)、マルコによる福音書(赤の獅子)、ルカによる福音書(緑の牛)、ヨハネによる福音書(青の鷲)のエンブレムが掲げられています。

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柔らかな光に包まれ、天に昇っていくイエス・キリスト

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天使のマタイと獅子のマルコ

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主祭壇の真上にある天窓は現在工事中のためか塞がれていたものの、正面上部に施された美しい装飾から黄金色に輝く光を放っていました。

サグラダ・ファミリア 地下博物館

サグラダ・ファミリアの地下にある博物館には、ガウディ直筆の図面やデザイン画、試作模型などが展示されています。

ガウディは、模型や紐と錘の実験道具を使ってサグラダ・ファミリアの構造を検討したといいます。

ガウディの死後、スペインの内戦で残された設計図や模型をはじめ、弟子たちが作成した資料のほとんどが散失してしまったものの、職人による口伝えや残されたわずかな資料を元に、ガウディの設計構想を推測するといった形で建設が続行されたのだそうです。

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紐と錘を利用したサグラダファミリアの逆さ吊り模型「フニクラ」。ガウディは複雑な計算は行わず、自然な曲線を描き力学的に安定したフニクラを利用して設計、この模型を逆にすると、サグラダファミリアの形になるのだそうです。

サグラダ・ファミリアの完成はいつ?

着工当時サグラダ・ファミリアの完成には300年はかかると予想されていたものが、スペインの経済成長と拝観料などの収益による追い風に加え、近年の目まぐるしい技術の進歩によって急ピッチで建設が進み、2026年に完成する予定となっています(公式発表)。

これが実現すれば、当初の予定の約半分の工期で完成することになり、ガウディ没後100周年目という素晴らしい記念の年に完成ということになります。

サグラダ・ファミリアの完成イメージ

現在は生誕と受難の2つのファサードと8本の鐘塔が完成しており、最終的には、栄光のファサードの塔(4本)、福音記者の塔(4本)、マリアの塔、キリストの塔の合わせて18本の鍾塔が立つ予定です。

完成時のキリストの塔は170mに達する予定で、ガウディの構想によると、塔の先端の十字架に巨大なライトが取り付けられ、バルセロナの街全体を照らすのだそうです。実現したら、素敵でしょうね!

ちなみに、2006年、サグラダ・ファミリアの直下に高速鉄道のトンネルを掘削する計画が持ち上がり、教会に与えるダメージが懸念されましたが、その後徹底した地盤強化対策を行う上で掘削工事が開始されています。

その一連の流れの中で、許可が更新されていない違法建築であったことが明らかとなりましたが(自治体の合併が原因?)、2018年10月、サグラダ・ファミリア管財当局がバルセロナ市当局に、違法建築の罰金を道路補修費などとして3600万ユーロ(約46億7000万円)支払うことで合意、正式な建築許可を得ることができ、違法建築状態が解消されることとなりました。

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Sagrada Familia
Carrer de Mallorca, 401, 08013 Barcelona

チケットは事前のオンライン購入がオススメ

チケットは事前にオンライン予約で購入しておくと行列に並ぶこともなくスムーズです。

予約時は日時指定が必要なのですが、訪問できる正確な時間が読めなかったため、港に到着後現地に向かう途中にスマホでベーシックチケットの予約をしました。(チケットは、塔に登れるトップビューやガイド付きツアーなど7種類から選べます)

公式サイトの購入ページでは、各チケットの大体の残数が表示されるので、旅行中でも随時確認することができます。12月下旬は閑散期だったためオンライン予約のチケットはまだ余裕がありました。(チケットが余っていれば当日のオンライン予約が可能)

このように、事前予約ができなかった場合でも現地到着後にオンライン予約をすれば、チケット購入の行列に並ぶ必要がなくなりますし、当日券より多少お得です。スマホに送られてきたコードを表示し、入口の機械にかざすと入場できます。(ただしWIFI環境が整っている必要があります)

※チケットの事前予約なしでサグラダ・ファミリアを訪問する場合、オンシーズン中であっても、オープンの9時前を目指せば長蛇の列に並ばずにすむかもしれません。

チケット購入はサグラダ・ファミリア公式サイトへ(英語)

スマホを使うなら格安プリペイドSIM「Three」がオススメ!

やはり旅行中のWIFIは必需品!今回の旅では「Three」のプリペイドSIMカードを利用し大変便利でした。

「Three」についての記事はコチラ

おわりに…

短時間のバルセロナ訪問では、できるだけ多くのガウディ作品を見たかったので、サグラダ・ファミリアは外部と聖堂内の見学のみで鐘塔にはのぼりませんでしたが、生命力あふれる神秘の創造物に触れる貴重な体験ができました。

2026年まであと8年….完成が待ち遠しいですね。その年はきっと今まで以上に人々が押し寄せるのでしょうが、クレーンなどの機材全てがキレイに取り除かれた荘厳な姿を是非見たい!サグラダ・ファミリア再訪の思いを強くしました。