【イタリア・バチカン】システィーナ礼拝堂をほぼ独り占め!?朝一番でバチカン美術館をまわる!

カトリックの総本山・バチカン市国内にあるバチカン美術館(バチカン博物館)は、約25もの美術館や博物館からなる巨大な美術館で、歴代の教皇が集めたプライベートコレクションを展示しています。大小いくつもの部屋や展示室、長い廊下がつづき、その全長は約7km、総面積4万2000㎡!全てを見学しようとしたら1日ではとてもまわりきれない広さです。

事前のオンライン予約がおすすめ!

予約をしなくても当日直接並んで入場することは可能です。とはいえ、世界的に有名なバチカン美術館ですから、ハイシーズンは何時間待つことになるか分かりません。特に夏は、屋外で炎天下の中を列に並ぶのはかなりきついでしょう。

スムーズに見学するためには、カード決済で予約購入をしておくのがオススメ。また、予約の日時変更もオンラインで可能です。

実はローマ観光の初日にサン・ピエトロ大聖堂、翌日にバチカン美術館を訪問する予定でしたが、初日は雨の天気予報だったので、オンラインで急遽予約を変更し予定を1日早めました。(手数料なし。ただし、変更回数や期間などの条件等は確認していません)

※オンライン予約には、チケット代金のほか、1人あたり4ユーロの事前購入料金がかかります。

バチカン美術館オンラインチケット購入(公式ウェブサイト)

バチカン美術館のインターネット予約方法(日本語サイト)

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バチカン美術館の入口周辺(右写真)と門の上部にミケランジェロとラファエロの彫刻が施された出口周辺(左写真)

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エスカレーターをあがって総合案内所へ。日本語のオーディオガイドを借りることができます。 

礼拝堂をほぼ独り占め?!それにはやはり早朝訪問!

9時入場のバウチャーを持っていると開館前でも入れさせてもらえるという裏技を試すべく、9時入場のチケットをオンラインで事前にゲット!当日は、バウチャー(印刷した予約券)を係員に見せるとすぐに入場(8時15分頃)できました。ただし、何らかの事情や厳しい係員に当たると指定時間まで待たされる可能性は無きにしもあらず…ということで、確実に有効な手段とは言い切れません。

確実なのは朝食付きの早朝入場券を事前予約しておくこと。朝7時から入場することができますよ!

毎日2万人以上の観光局が訪れるというシスティーナ礼拝堂は、オープンの9時を過ぎるとツアーの団体客などが押し寄せてきます。人が少ない状態で礼拝堂を訪問したい!という方は、早朝入場券をゲットする、もしくは前述の方法で開館時間より早めに入場し、一目散に礼拝堂を目指すと良いでしょう♪

静かな礼拝堂で満足いくまで贅沢な空間に浸ったあとは、スキップしてしまった見どころをゆっくりまわります。館内は大体一方通行になっているので、再びシスティーナ礼拝堂に入ることになりましたが、そのときは既に芋洗い状態、静かにしないといけない場所なのに、人が集まるとやはりガヤガヤするもの、朝とはまるっきり違う空気感でした。

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バチカン美術館めぐりの翌日、サン・ピエトロ大聖堂のクーポラ(ドーム)より、システィーナ礼拝堂を撮影。

煙突からの白い煙「枢機卿団によりて、ローマの司教は選ばれり」を伝えるコンクラーベ(ローマ教皇を選出する選挙)は、ここシスティーナ礼拝堂で行われます。第265代ローマ教皇「ベネディクト16世」の719年ぶりの生前退位により、2013年3月にコンクラーベが行われ、黒い煙「ローマの司教は選ばれず」が続いた後、5回目の投票で現在の「フランシスコ教皇」が選出されました。ちなみに煙突はコンクラーベが行われるときのみ設置されます。

システィーナ礼拝堂の見どころ

何と言ってもバチカン美術館の一番の見どころはやはり「システィーナ礼拝堂」ですよね。ミケランジェロが描いた天井画「天地創造」「最後の審判」をはじめ、ボッティチェリ、ペルジーノ、ロッセッリなど、ルネサンス期の巨匠たちによって描かれたフレスコ画は圧巻です。

1980年から1999年にかけて修復されたという、天井画、祭壇画、壁画、全てにおいて鮮やかなフレスコ画!礼拝堂に入った瞬間身震いがしました。ちなみにこの修復作業の独占撮影権と引き換えに日本テレビが多額の資金を提供したそうです。

※バチカン美術館は、写真撮影が可能(フラッシュと三脚の使用は禁止)ですが、システィーナ礼拝堂の内部だけは写真撮影は一切禁止です。そのため以下の礼拝堂内の写真は購入した「システィーナ礼拝堂の佳作案内」を引用しています。

天井画:ミケランジェロのフレスコ画(1508年〜1512年)

礼拝堂の入口側から祭壇側の壁に向かって見ていくと「ノアの泥酔」「大洪水」「ノアの煩祭」「原罪と楽園追放」「エヴァの創造」「人間の創造(アダムの創造)」「大地と水の分離」「太陽、月、植物の創造」「光と闇の分離」と、旧約聖書の9つの場面、それを囲むように預言者、巫女などが描かれています。

教皇ユリウス2世に天井画の依頼を受けた時、自分は彫刻家であり、画家ではないと自認していたミケランジェロは、躊躇しながらもこの壮大なプロジェクトを承諾。 そして広大な天井画の制作をわずか4年で仕上げてしまったのです!

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人間の創造(アダムの創造)

システィーナ礼拝堂の天井画のなかでもっとも有名な作品と言われる「人間の創造(アダムの創造)」。神がアダムに生命を吹き込む場面を表現しています。

創世記2章7節:主なる紙は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その花に生命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。

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最後の審判(1536年 – 1541年)

ミケランジェロの天井画の完成から21年後の1533年、次は教皇クレメンス7世に祭壇画の制作依頼を受け、1536年から約5年の歳月をかけて「最後の審判」が完成。

最初の構想では、シクストゥス4世時代にペルジーノが手がけた「聖母の被昇天」を新しい構図に組み込むつもりだったのが、クレメンス7世より却下され、ペルジーノの作品は完全に失われることとなったのだそうです。

※システィーナ礼拝堂の天井は床から20mという高さなので、天井画の鑑賞にはオペラグラスがあると便利です。

画面上方には、羽のない天使たちが十字架や鞭打ちの石柱(キリストの受難と人類の救済を象徴)を支え、その下中央には「審判者キリスト」と「被昇天の聖母」を中心に、聖人や殉教者などで溢れる天の宮廷が広がっている。

左側に「洗礼者聖ヨハネ」、中央に受難の焼き網を持つ「聖ラウレンティウス」と自分の皮を手にした「聖バルトロメオ」が立っている。この皮の顔はミケランジェロの自画像とされている。右側には鍵を手にした「聖ペテロ」、その下にはアレキサンドリアの「聖女カテリナ」が歯車を持っている。その後ろにいるのは「聖ビアジオ」。

下方中央には、ラッパを吹く天使たちが死者を蘇らせ、2人の大天使は天国に行く者の名前を記した書(画面左)と、地獄に落とされる者の名前を記したより分厚い書(右)を抱えている。

その左手には祝福され昇天するもの、右手には地獄落ちが決まったものが地獄へ押しやられている。悪魔のような姿をした冥府の河の渡守「カロン」は、地獄に落ちるものを冥府の裁判官「ミノス王」の前に押しやっている。

システィーナ礼拝堂の傑作案内より引用

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コジモ・ロッセッリ「最後の晩餐」

「最後の晩餐」というとレオナルド・ダ・ビンチの絵が頭に浮かびますが、ロッセリの絵はとても独特な描写で興味深い。キリストが使徒たちに「この中のひとりが私を裏切る」と予言した直後の様子ですが、まず最後の晩餐なのに食卓にはパンもワインもなく、キリストの前にひとつの聖杯が置かれているのみなのです。

馬蹄形の食卓の中央にキリストが着席し、両側に座る使徒たちの中には、胸に手を置くもの、隣同士ひそひそ話すものがいる中、裏切り者のユダ(光の輪ではなく黒い輪にダークな衣服を纏っている)がこちらを背にして中央に座っています。さらによく見るとユダの黒っぽい背中には悪魔らしきものが…誰がユダなのか一目瞭然ですね。

食卓の背後に描かれている絵は、キリストの受難の3つの場面「ゲツセマネの祈り」「キリストの捕縛」「キリストの磔刑」です。

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その他の美術館と展示室

クリスティアーノ美術館

システィーナ礼拝堂から道順に進み「ベルヴェデーレの中庭」に面した回廊の南端に「クリスティアーノ美術館」があり、カタコンベ (初期キリスト教徒の避難所となった地下墓地)に由来するアイテムに焦点を当てた数々のコレクションがキャビネットに展示されています。

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途中かなり古い地球儀がポツンと置いてあり、気になってよく見てみると北海道がない!?

グレゴリウス・エジプト美術館

総合案内所から近い「グレゴリウス・エジプト美術館」には、古代エジプトの​​彫像や墓碑、象形文字による碑文、葬祭品などが展示されています。

見どころ満載のバチカン美術館の中ではどこをターゲットに回るかが重要。そういうわけで、こちらのエジプト美術館はスルーする予定だったのですが、数千年前のものという木棺が気になり、ちょっとだけ足を踏み入れたら…グイグイと中に引き込まれてしまいました。本物のミイラも見ることができます。

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キアラモンティ美術館〜新回廊

ユリウス2世のコレクションや古代ギリシア・ローマ時代の伝説や神話を題材とした彫刻が並ぶ「ピオ・クレメンティーノ美術館」と同じく、キアラモンティ美術館も回廊の両サイドに彫刻がずらり。19世紀、ピウス7世の命により彫刻家のアントニオ・カノーヴァが収集を手がけ、帝政期の英雄など約1000点もの古代彫刻が集められています。

キアラモンティ美術館を抜けると「新回廊(Braccio・Nuovo / ブラッチョ・ヌオーヴォ)」ローマ皇帝たちの彫像の名品が並んでいます。

こちらは比較的空いているスポットだったので、サクッと見学することができました。

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キアラモンティ美術館の回廊(左上写真)。新回廊にある川の神様「ナイル川」(左下写真)と「プリマ・ポルタのアウグストゥス帝」の像(右写真)

彫刻ゾーンで必見なのは新回廊にある「プリマ・ポルタのアウグストゥス帝」の像!
養父ユリウス・カエサルの遺志を継いでローマ帝国初代皇帝となった「アウグストゥス(紀元前27年に元老院から「アウグストゥス(ラテン語で「威厳者」または「尊厳者」を意味する)」の称号を受けた)」は、40年の治世でローマ帝国の基礎を築きあげ、約200年もの間、繁栄と平和を謳歌した「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」が続きました。

豪華絢爛な地図の間

長さ120m、横幅6mのギャラリー「地図の間」。丸天井は数々の絵画と彫刻でびっしりと埋め尽くされており、その豪華絢爛な廊下の両側には16世紀に作られたイタリア各地の古地図(フラスコ画)40点ほどがズラリと展示されています。

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開館前の誰もいないギャラリーを独り占め!間接照明で天井が黄金色に輝いています。(写真は入場後すぐにシスティーナ礼拝堂に向かう途中に撮影)

急いでいてもついつい足を止めて見とれてしまう素敵なギャラリーで、個人的には礼拝堂の次に好きな場所。2度目にまわったときは大混雑でなかなか前に進めない状態でした。

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キリスト教の歴史が描かれた天井の絵画と装飾は、ひとつひとつが繊細でとても贅沢な空間。ただし、ずっーと上を見ていると首がいたくなります。ギャラリーの出口には、バチカンの紋章とレリーフがあります。

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現在の地図と比較してもかなりの正確さで感心します。ローマ観光の前に訪問した、オルヴィエートチヴィタ・ディ・バニョレージョなどの丘上都市を見つけることができ、感動しました。

ラファエロの間

ルネサンス期の三大巨匠の1人、ラファエロの絵画を展示する「ラファエロの間」は、システィーナ礼拝堂に次ぐバチカン美術館の人気スポット。第1室「コンスタンティヌスの間」、第2室「ヘリオドロスの間」、第3室「署名の間」、第4室「ボルゴの火災の間」の4つの部屋で構成されており、ラファエロと弟子たちが天井画と壁画を手掛けています。

一番の見どころはラファエロが最初に手がけたという「署名の間」。元々は「使徒座署名院最高裁判所」 が置かれていたことから署名の間と呼ばれ、ユリウス2世の書庫兼学習の場であったそうです。

署名の間のテーマは、世俗的および霊的な知恵と、キリスト教・ギリシャ哲学の調和であり、最初に「聖体の論議」を仕上げてから、署名の間で最も有名となった「アテナイの学堂」を手がけたそうです。

署名の間「聖体の論議」

「三位一体」を表現しているという「聖体の論議」は、上部中央に、キリストと聖母マリア、洗礼者ヨハネ、その両サイドにアダム、ヤコブ、モーセといった人物が並び、父なる神がキリストの上に鎮座。地上では、祭壇に聖体顕示台が置いてあり、そのまわりで、聖体について議論する神学者たちが描かれています。

教皇グレゴリウス1世、ヒエロニムス、アウグスティヌス、アンブロジウス、教皇ユリウス2世、教皇シクストゥス4世などが描かれているほか、赤い服を身にまとい一流の詩人である証「月桂冠」かぶったダンテや本を片手に手すりに寄りかかったルネサンス期の建築家「ブラマンテ」(ラファエロの恩師)なども見られます。

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署名の間「アテナイの学堂」

ラファエロの最高傑作といわれる「アテナイの学堂」。古代ギリシャの賢人が集まり、議論しあう様子が描かれています。中央の赤い服を着た人物は「哲学者プラトン」(ラファエロと同時代の人物をモデルにしており、プラトンにはレオナルド・ダ・ヴィンチが描かれている)、青い服は「弟子のアリストテレス」、中央下段で頬杖をついている人物は、ミケランジェロがモデルの「哲学者ヘラクレイトス」と言われています。

登場人物については諸説ありますが、いずれにしても各分野における歴史上の偉大な哲学者たちが一堂に描かれた崇高なシーンに息を飲みます。

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ピナコテカ(絵画館)

1932年ピウス11世が創設し、11~19世紀の絵画とタペストリーが展示されているピナコテカ。大小18の展示室に分かれており、まず最初に出迎えてくれるのがミケランジェロ作「ピエタ像」(レプリカ。本物は「サン・ピエトロ大聖堂」に展示されている)。

ピナコテカの中で、レオナルド・ダ・ビンチの傑作「聖ヒエロニムス」(1480年頃の未完作品)やカラヴァッジョの「キリスト降架」なども人気作品ですが….

こちらで必見なのはラファエロ作品!奥へと進むと照明が抑えられた展示室(第8室)に、突如ラファエロの作品「キリストの変容」と「聖母の載冠」、雲に乗る聖母子と洗礼者ヨハネらが描かれた「フォリーニョの聖母」の3つの作品あらわれます。

ラファエロ作「キリストの変容」

上下構成の作品で、下部には悪魔に取り憑かれた少年に奇跡を起こす場面、上部には聖ペテロ、聖ヨハネ、聖ヤコブ3人と、脇に佇む聖ユリアヌスと聖ラウレンティウス2人の弟子が見上げる中、モーセとエリアを伴いながら高貴な光に包まれてのぼっていくキリストの姿が描かれています。

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ラファエロ作「聖母の載冠」「フォリーニョの聖母」

初期の作品である聖母マリアに冠を授けるキリスト「聖母の載冠」(右写真)、雲に乗る聖母子と洗礼者ヨハネらが描かれた「フォリーニョの聖母」(左写真)

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3作品の前にはよく見慣れた「最後の晩餐」の大きなタペストリーが掲げられています。

芸術的な二重らせんのスロープも素晴らしい

出口に続く二重らせん構造の階段(1932年建造)。イタリアの観光スポットで、上りと下りが交差しないように設計された2重の螺旋階段を時々目にすることができますが、こちらの2重螺旋階段は巨大!上から下までの全景を眺めることができます。吸い込まれるような美しい渦巻きで、思わずシャッターを切らずにいられません。

ちなみに2000年に新しい入口が出来るまでは、こちらが美術館の出入場口として使われていたそうです。

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バチカン美術館公式ウェブサイト(英語ページあり)

美術館めぐりを終えて…

朝8時過ぎから午後13時までの約5時間(カフェでの休憩約30分)、見学したい場所はひと通り見ることができ大満足でした!やはり開館前に入場することが、バチカン美術館攻略の重要ポイントだと思います!

バチカン美術館を訪問する前に知っておきたいこと

公共の場所にふさわしいきちんとした服装で

カトリック教会の総本山、バチカン市国の厳正な管理下にある美術館なので、大聖堂や教会に入る時と同様きちんとした格好で訪問することが求められています。

ガイドブックなどで行きたい場所を事前にチェック

とにかくバチカン美術館は広い!とうてい1日ではまわれないので、あらかじめ見学したい場所をしぼって、まわり方を予習しておくのがベスト。当日はガイドブックのマップなども持参すると便利です。

迷子になったときの待ち合わせ場所を決めておく

美術館マップを見ると一見単純な構造に見えるのですが、実際中に入ってみると迷路のようで方向感覚を失います。見学中、トイレに行った際のことですが、思いのほか遠く階段を下ったり上ったり右へ左へと曲がってようやく到着、その後元に戻る経路がわからなくなり15分ほど迷子になってしまいました。

迷子になったときの待ち合わせ場所は必ず決めておくと安心です。また場所によってはトイレまでの距離がかなりあるので、事前にトイレを済ませ位置も確認しておくと良いですね。

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