カトリックの総本山・バチカン市国内にあるバチカン美術館(バチカン博物館)は、約25もの美術館や博物館からなる巨大な美術館で、歴代の教皇が集めたプライベートコレクションを展示しています。大小いくつもの部…
【イタリア・バチカン】朝一番で「サン・ピエトロ大聖堂」のクーポラにのぼってみた!
世界一面積の小さな国家バチカン市国にある「サン・ピエトロ大聖堂」は、キリスト教の最大宗派であるカトリックの総本山。キリストの一番弟子であり、初代ローマ教皇の聖ペテロを祀った大聖堂で、毎年世界中から多くの信者や観光客が訪れます。人混みのない早朝を狙い1日目はバチカン美術館、2日目は大聖堂を見学しました。今回の記事では、朝一番でクーポラ(大円蓋)に上ったときの様子と大聖堂内部の見所についてまとめました。
目次
朝8時の「サン・ピエトロ広場」の様子
朝のサン・ピエトロ広場は、人も疎らでとっても静か、荘厳な空気が漂っています。広場の中心には約25mもの高いオベリスクが立ち、その両側には噴水、またその周りに円を描くように284本の列柱と140の聖人像が並んでいる…、聖人の注目を一身に浴びているようで、より一層厳粛な気持ちになります。
12月のバチカンはオベリスクの周りもクリスマスの装い。かつてここには戦車のレース競技場(皇帝ネロの円形競技場の折り返し点にオベリスクは立てられた)があり、町が壊滅的な被害を受けた西暦64年のローマ大火で、罪を着せられた多くのキリスト教徒がこの広場で残虐に処刑されたのだとか…。
そのような血みどろの恐ろしい史実があったとは想像できないほど、神聖な空気感が強く漂う広場ですが、このピースフルな現在に至るまでの激動の歴史を思うと感慨深いものがあります。
聖ペテロはこの地で逆さ十字に架けられたと伝えられています。現在の大聖堂は1626年(2代目)に完成したものですが、コンスタンティヌス1世によって聖ペテロのものとされる墓を参拝するための「殉教者記念教会堂」として建設されたのが始まりなのだそうです。(本当に聖ペテロの墓地であったかどうかは古くから異論もあり、15世紀にはジャニコロの丘のモントリオ(サン・ピエトロ・イン・モントリオ教会がある場所)が殉教地であるとされる説もある)
サン・ピエトロ大聖堂
ローマ教皇を警護するカラフルな制服の「スイス衛兵」
サン・ピエトロ大聖堂に向かう途中に赤、青、黄色とカラフルなストライプの独特な制服を身に纏ったスイス衛兵に出会えます。その奇抜なファッションから一見すると不動で立つストリートパフォーマーのように見えてしまうのですが、スイス衛兵はあくまでも法王を護衛するのが彼らの使命!
近年バチカン市国にも脅迫声明が放たれテロに対する緊張感が高まっています。旅行者も心して見学しなければなりませんね。
なぜイタリアなのに「スイス衛兵?」
正式にはバチカン市国というべきですが、とにかく「何故スイス人が出てくるの?」というのは疑問に思うところ…。
中世の時代からスイス人の傭兵は勇猛で忠誠心があると人気が高く、イタリアのみならず諸国の王や領主から引っ張りだこだったそうです。16世紀始めに教皇ユリウス2世が高い戦闘力を誇るスイスの傭兵を雇ったことに始まり、500年の時を経て今もなお法王を護衛するという役割が受け継がれているようです。
チケットを購入後エレベーター乗り場へ
まずはクーポラにのぼるためのチケットを購入。エレベーターを使う場合は10ユーロ、下から上まで551段の階段を上る場合は8ユーロ。チケット料金は年々上昇しており、2018年も一気に2〜3ユーロ値上がりしました。
体力に自信がある方、全て足で上ってみたいという方は別として、あとの観光のことなどを考えれば、ここは迷わずエレベーターがオススメ!たとえエレベーターを使ったとしても、降りた後320段の狭くてきつい階段を登らなければなりません。「お年寄りや慢性病をお持ちの方、心臓病の方は注意して下さい」との掲示もありました。
朝一番だったのでチケット購入もエレベーターも並ぶことなく全てがスムーズ。やはり朝一番もしくは15時以降の比較的空いている時間帯を狙うのがおすすめです。
13人の聖人像が並ぶテラスに到着
エレベーターの最上階は、ファサードの上に立つ聖人が並ぶテラス。これから上るクーポラを外から見上げ気合を入れます。
外階段を上りクーポラ内部に入って少し進むと金網越しに大聖堂内部(天蓋の左翼廊にある聖ヨセフの祭壇側)を見下ろせる場所があり、通路に描かれたフレスコ画や天井を飾る聖人のモザイクなどを間近に見ることができます。
右写真はサン・ピエトロ大聖堂内から撮影した「聖ヨセフの祭壇」。
いよいよ320段の階段をのぼる!
こちらがクーポラの展望テラスに続く上り階段のスタート地点。意を決して頂上を目指し、320段の階段を登ります。
人が行き交うことができないような狭い階段ですが、そこは上り専用階段なので大丈夫。とはいえ混んでいる時間帯の場合は、階段の途中で疲れても後ろの人が気がかりで休憩しづらそう…
実際のところ、朝は人が少ないながら何人かの人に追いつかれてしまったので、壁と一体になる勢いでへばりつき先を譲りました。一応、階段の途中で何箇所か足を休めることができる小さなスペースもあります。
なんかこういうトリックアートみたいなミュージアムありますよね。でも歪んで見えるのは目の錯覚ではありません。ちょっと三半規管がおかしくなりそうな傾きの連続…。頂上に近づくにつれ、クーポラの丸みの部分である壁の傾斜がきつくなるので、体を傾けないと上れません。
と思いきや、急にまっすぐな広い階段に出たりします。これで終わりか?と思わせておいての…
コレ!なんですか…? なんかの合図を送るひも? 引っ張ると鐘がなるとか? と言う感じのひもがたら〜ん。とぶら下がっているんですよ。
最後の極めつけはこのちょっと太めのロープを使って昇るわけですね…。手すりを作るスペースがないほど狭いということでしょうか、その代わりにロープでバランスをとりながら細い貝殻の螺旋のような階段を昇っていくのです。なんだかアスレチックに来ている気分になりました。
360度見渡せるクーポラの展望テラス
長くて狭い階段をやっとの思いでのぼりきりクーポラの頂上に出ると…、そこには360度全ての方角からローマの街を一望できる素晴らしいパノラマビューが現れます!苦しい山登りの末に素晴らしい絶景と出会えたときの感動のように、気分爽快です。
ベルニーニ設計の楕円形の「サン・ピエトロ広場」を望む
東の正面間近にバチカン市国のメイン玄関である「サン・ピエトロ広場」が見えます。しかし、朝は逆光…キレイな写真を撮影したいなら、朝より遅めの午後のほうがよさそうですね。いずれにしてもローマ市内には高い建物が少ないので、肉眼でも遠くまで美しい眺望を見渡すことができます。
サン・ピエトロ広場のオベリスクと郵便局
サン・ピエトロ広場の中央にあるオベリスクとクリスマスツリーの周りを歩く人がアリンコのよう…。右手に見える白い車はバチカン郵便局です(トイレの近くにもうひとつ郵便局がある)。ここで切手を購入し、事前に用意していたクリスマスカードを送りました。
イタリアの郵便事情はあまりよくないことで有名ですが、バチカンから送る郵便物は、以前利用したときの分も含めて全て無事に届いています。なんでも天使が運ぶからだとか言われています。イタリアから出すよりも早くて確実に届くし、消印もバチカン市国になるのでオススメです♪
カードは旅の途中の本屋さんで購入しましたが、近くのキヨスクや郵便局内にも売っています。みなさんも大切な人へのメッセージカードをバチカンの天使さんに運んでもらってはいかがでしょうか😊
テヴェレ川沿いにある「サンタンジェロ城」
サン・ピエトロ広場からまっすぐに伸びるコンチリアツィオーネ通りの先には、円形のサンタンジェロ城が見え、テベレ川の向こう岸にあるボルゲーゼ公園の緑も見えます。
システィーナ礼拝堂がすぐ横に見える「バチカン美術館」
サン・ピエトロ広場のすぐ北(左)にバチカン美術館があり、ひと目でその巨大さが分かります。一番手前にある建物が、ミケランジェロが描いた天井画の「天地創造」と祭壇の「最後の審判」の壁画がある「システィーナ礼拝堂」。教皇を選出するコンクラーヴェの会場となる場所です。
美しい「バチカン庭園」と「バチカン政庁舎」
サン・ピエトロ広場の真逆の西側に、よく手入れされた美しいバチカン庭園、国の政省がある「バチカン行政庁」の立派な建物が見えます。
通常、バチカン市国で一般の観光客が入場できるのは、主にサン・ピエトロ広場、サン・ピエトロ大聖堂、バチカン博物館に限られていますが、バチカン博物館では「ガイド付き庭園ツアー」を毎日開催しており、オンライン予約でチケットを購入することが出来ます!
まだ太陽が低い朝は、大聖堂(特にクーポラ)の影が地面にくっきり!
バチカン政庁舎の前には現教皇の紋章をかたどった花壇も見えます。
紋章の花壇(左写真)と政庁舎のすぐ左手に見える鉄道駅(右写真)
南西には、裁判所や約300mの世界最短と言われる路線とバチカン鉄道駅(貨物用)、バチカン市国の高い城壁などが見えます。
朝もやに浮かぶ歴史的建造物が幻想的
南東には、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂やコロッセオ、フォロ・ロマーノなどが見えます。ダイレクトに受ける逆光等で写真はキレイに撮れませんでしたが、朝もやに浮かぶ歴史的建造物が幻想的な風景でした。
清々しい朝の空気の中、神聖な大聖堂のクーポラからローマの街を見渡す。本当に贅沢な楽しみ方だと思います。
帰りは下り専用の階段で
クーポラからの素晴らしい眺望を堪能したあとは、上り階段とは別の下り専用の階段を使って下りていきます。階段を踏み外したらそのまま下に転がり落ちてしまうようなトリッキーな階段や、両脇がすぐ高い壁という非常に圧迫感がある狭所恐怖症には辛そうな細い下り階段が続きます。
ファサードの上に立つ聖人を背後から間近に見る
階段の下り口からエレベーターのあるテラスに出ると、バールと売店、トイレがあります。その先のサン・ピエトロ広場がある方に歩いていくと、ファサードの上に立つ聖人たちに出会えます。
十字架のすぐ下の展望スペースに小さく人影が…あそこから再びクーポラの内部をぐるぐる回ってテラスに下りてきました。
サン・ピエトロ大聖堂のファサードの屋上テラスに立つ聖人たちの貴重な後ろ姿を見ることができます。13体の聖人像は間近にみると本当に大きい。それぞれ5mの高さはありそうです。
サン・ピエトロ広場から大聖堂を望む(左手に鍵を持つ「聖ペテロ」右手に剣を持つ「聖ペトロ」の像が見える)
ファサードの2階部分に大小のバルコニーがあり、その中央に教皇が祝福を行い姿を現すバルコニーがあります。
下りのエレベーターから「サン・ピエトロ大聖堂内」へ
テラスから下り専用のエレベーターで1階へ降りると、そこはサン・ピエトロ大聖堂内。クーポラからの展望を堪能したあとは、そのまま引き続きサン・ピエトロ大聖堂を見学です。
予測通りクーポラの階段の上り下りもあって足の疲労が激しく、じっくりと時間をかけて見学はできなかったのですが、一番の見どころである大天蓋をメインに聖堂内をまわりました。
最も重要な作品のひとつミケランジェロ作「ピエタ像」
聖母マリアが悲しみの表情で十字架から降ろされたイエスの亡骸を胸に抱くミケランジェロの作品「ピエタ」。大聖堂の中で最も重要な作品のひとつで、ミケランジェロのサインが刻まれた唯一の作品です。
写真で聖母マリアの目の付近が暗く泣いているように見えるのは、防弾ガラス越しの撮影による光の反射と影の影響です…
一番の見どころはベルニーニ作の「パルダッキーノ(大天蓋)」
サン・ピエトロ大聖堂の中で一番の見どころは何といっても壮麗なベルニーニ作の「パルダッキーノ」。ダイナミックにうねる柱が印象的な見事な装飾です!
この巨大なブロンズの天蓋の真下に聖ペテロのお墓があります。
ベルニーニ作の黄金に輝く「聖ペテロの司教座」
聖堂の一番奥の後陣にあるのがベルニーニによって1647年から1653年に制作された彫刻作品「聖ペテロの司教座」。ローマの司教だったときに使用していたという「聖ペテロの椅子」をブロンズ彫刻で覆って華麗に装飾、椅子は神学の基礎を築いた4人の教会博士たちによって支えられ、上部には精霊を表す鳩のステンドグラスと黄金色のきらびやかな天使たちの装飾が施されています。
パルダッキーノの真上にミケランジェロ作「クーポラ」
パルダッキーノ(大天蓋)の真上にミケランジェロ作のクーポラ(大円蓋)があります。円形の内側には聖人のモザイク、天井の細部にいたるまでとにかく豪華絢爛!円蓋の中央から差し込む光でキラキラと輝き、とても神秘的です。
クーポラへの階段を上る前に上から大聖堂内部を見下ろした場所(円蓋の周囲に見える窓の下)も見えました。
サン・ピエトロ大聖堂に入るための大行列
サン・ピエトロ大聖堂を出たのが11時頃、合計約3時間の滞在でした。出口の外には衝撃の光景が…サン・ピエトロ広場に、もはやとてつもない長い行列ができていました。
何時間待ちなのでしょうか…この行列には到底並ぶ気になれません。朝は逆光など多少の支障があるとしても、やはりこの行列のことを考えたら、朝一番で訪問するのがいいですね。
時間・体力ともに効率がよい朝一番がオススメ!
先に大聖堂をまわってしまうと体力が持たず結局クーポラを諦めることになりかねないという思いから、8時にオープンするクーポラから上ることにしましたが、サン・ピエトロ大聖堂は7時から入ることができるので、朝一に大聖堂、8時にクーポラ、最後に観足りなかったところがあれば再び大聖堂、というのが時間・体力共に一番効率的かと思います。
また、日程に余裕があるならば、サン・ピエトロ大聖堂とバチカン美術館の見学は日を分けて、どちらも早朝に訪問するのがおすすめです。
サン・ピエトロ大聖堂
開館時間:7:00~19:00(冬季は~18:00)
入場料:無料
サン・ピエトロ大聖堂のクーポラ(大円蓋)
開館時間:8:00~17:45(冬季は~16:45)
入場料:エレベーター10ユーロ、階段8ユーロ
【注意事項】
セキュリティチェックの際、服装チェックがあります。サン・ピエトロ大聖堂は神聖な場所のため、キャミソールやランニングなどの袖なし、ミニスカートやショートパンツなどのひざ上丈はNG!見学を予定している日の服装にはご注意を!
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