【東京下町カフェ】向島散策に立ち寄りたいレトロカフェ「玉ノ井カフェ.」

昭和の空気をまとった「玉ノ井カフェ.」

2022年初夏、寺島・玉ノ井地区の町興しの拠点として2011年の5月にオープンしたという「玉ノ井カフェ」を訪問。場所は墨田区東向島のいろは通り沿いにあります。

外から中の様子が伺える開放的な空間で、一人でも気軽に入れそうな雰囲気。昭和の空気をまとったレトロなカフェで、地域住民の集いやイベントなど、コミュニティカフェとして地域に密着する交流の場でもあるようです。

寺島・玉ノ井地区は、文豪・永井荷風の長編小説「濹東綺譚」の舞台でもあり、今回は文学散歩のおり立ち寄りました。

玉ノ井の歴史

江戸時代、墨田川の西岸(浅草側)から見て「川向うの島」という意味で「向島」と言われていた地域は、寺島村(墨田、堤通、向島、八広、京島の一部)と呼ばれていた。(現在の東向島がほぼそれに相応)

元々「玉の井」は、東京府南葛飾郡寺島村にあった小字(北玉ノ井と本玉ノ井の二字)だった。1923年(大正12年)寺島村が町制施行で寺島町になり、1930年(昭和5年)には「字」を廃して1〜8丁目の「大字」が設置され、このとき正式な「玉の井」の地名は消滅した。

浅草観音堂裏の近辺にあった銘酒屋等が、旧東京市向島区寺島町(現在の東京都墨田区東向島5丁目〜6丁目、墨田3丁目)へ移ってきた1918年(大正7年)から1919年(大正8年)頃が、玉の井の起源と言われ、1958年(昭和33年)の売春防止法施行まで私娼街として栄えた。

1932年(昭和7年)南葛飾郡全域が東京市に編入され、寺島町、隅田町、吾嬬町の区域に「向島区」を設置し、玉の井は寺島町5丁目と6丁目となる。1943年(昭和18年)には都制施行により「東京都向島区寺島町」となり、1947年(昭和22年)特別区の再編により東京都墨田区寺島町となったののち、1965年(昭和40年)、住居表示の施行により「東京都墨田区東向島・墨田」となる。 ウィキペディアより引用

1943年(昭和18年)の玉ノ井の火保図

こちらの地図は、1943年に作成された火保図(火災保険地図:火災保険の料率算定のための基礎資料として昭和初期から30年頃に民間会社によって作製された地図)です。

※点線の囲いは玉ノ井銘酒屋エリア。赤丸は現在「玉ノ井カフェ.」がある場所。

「玉ノ井カフェ.」の店内

店内は木の温もりに包み込まれるような優しい空間。大きなテーブル席、2人席×2、4人席×1にカウンター席があります。


ハンドメイドの小物を販売していたり、地域情報の発信、イベントの告知などもあり、コミュニティカフェとして人と人をつなげる温かさを感じます。

昭和チックな壁と電飾、風景写真がいい感じ。

「玉ノ井カフェ.」のメニュー

玉ノ井ブレンド(ほんのり酸味でスッキリした味わい)と荷風ブレンド(華やかで甘くほろ苦い味わい)、アメリカン、カフェオレなどのほか、ポットサービスの紅茶、ココア、甘酒、りんごジュース、ビールなどがあります。

サンドイッチやスコーンのほか、ファーブルトン、ブラウニー、パウンドケーキ、ぜんざい、アイスなどのスイーツもありました。

訪問した日は少々暑い日だったので、夏季限定のアイスコーヒーとコーヒーゼリーを注文。

永井荷風の小説「濹東綺譚」に登場するヒロインをイメージしたという「お雪さん」も頼んでみました。甘酒と牛乳をブレンドしたあま〜いドリンクです。

居心地良いブックカフェのような空間

店内には本がたくさんあってじっくりと本の世界に浸れる空間。「永井荷風」の本もたくさんありました。火曜日は黙読を楽しむ読書カフェになるのだそうです。

物静かで素敵な雰囲気を纏った女性店主さんは、積極的に話しかけてはきませんが、こちらから質問をすると優しい口調で丁寧に色々と説明してくださいました。本を読みながら、のんびりゆったりと過ごすことができるカフェです☺︎

ちなみに火曜日は黙読を楽しむ読書カフェになるそうですよ。


玉ノ井カフェ.(Facebook)
東京都墨田区東向島5-27-4
080-2107-1016