【アリゾナ・アパッチ】2億年前の太古の樹木が宝石に生まれ変わった?!悠久の時の流れを感じる「化石の森国立公園」

「化石の森国立公園」は、アリゾナ州北東部のアパッチ郡とナバホ郡の境にまたがる州間高速道路40号線(ルート66)沿いにあります。素晴らしい景色が見渡せるいくつかのビューポイントや遺跡等が点在する園内の見どころをまとめてみました。

※こちらの記事は2014年のアメブロに掲載していたブログをもとに再投稿しています。

北エントランスの「ビジターセンター」で情報収集

「化石の森国立公園(Petrified Forest National Park)」には北エントランス(I-40:Route66沿い)と南エントランス(US-180沿い)の2か所の入口があります。

2019年現在の入園料は、車1台25ドル、バイク1台20ドル、自転車1人15ドル(いずれも7日間有効)、年間パス45ドル。また、他の国立公園も訪問予定なら「アメリカ ザ ビューティフル パス America the buatiful Passes」がオススメ。(入園無料日もあるのでまずは事前に公式の料金ページをチェック!)

北エントランスから南に抜けるルートで走行し、まずはビジターセンターに立ち寄って情報収集。公園内の地図や化石化した「珪化木(けいかぼく)」の成り立ちなどの説明パネル、ビデオ上映などがあるほか、ガソリンスタンド、コンビニ、レストラン、ギフトショップなどもあります。


Visitor Center 

「化石の森国立公園」ってどんなとこ?

アリゾナ州ホールブルックの約40km東に位置する「化石の森国立公園」は、1906年に国定公園に指定、ペインテッド砂漠が公園に編入されたのち1962年に国立公園になっています。

南北約50km(東西は約2km〜20kmの不規則的な地形)に及ぶ広大な国立公園は、I-40を境に三畳紀前期(ジュラ紀の前にあたる約2億5190万年前〜2億130万年前の地質時代)のチンル層が広がるカラフルな荒地「ペインテッド砂漠 (Painted Desert)」の北地区と、化石化した樹木「珪化木(けいかぼく)」が集積している南地区で構成されています。

園内にはペインテッド砂漠〜ペインテッド デザート イン〜プエルコ プエブロ遺跡〜ニュースペーパーロック〜ブルーメサ〜アゲートブリッジ〜ジャスパーフォレスト〜クリスタルフォレスト〜レインボーフォレストなどの見どころがあるほか、10ヶ所近くのトレイルが点在しています。(ガイドツアーあり)

※南北にわたり「ペトリファイドロード(Petrified Rd)」と呼ばれる舗装道路が整備されているので、各展望スポットまでは車で走行可能。北から南へ走り抜けるだけでも約45分かかるので、観光しながらトレイルをちょっと歩いただけであっという間に2〜3時間が経ってしまいます。

地平線のかなたに続く風光明媚な「ペインテッド デザート」

北エントランスからのルートで最初に現れる「ペインテッド デザート(Painted Desert)」は、火山灰、砂岩、粘土などの堆積物によってできた岩山が特徴的で、赤茶色を基調にした色合いの砂漠。

気候の変化がもたらした大自然の芸術が地平線のかなたへと続きます…


Painted Desert

国定歴史建造物指定の「ペインテッド デザート イン」

1924年、ペインテッド デザートを見下ろす高台に建てられた「ペインテッド デザート イン(Painted Desert Inn)」は、レストラン、売店などを兼ね備えた2階建てのイン。当初は珪化木を使った建物でしたが、1936年にアドベ構造に改修されたそうで、1987 年にアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されています。

現在はレストランやインの営業はしていませんが、博物館とブックストアがあり、またネイティブアメリカンの暮らしを描いた壁画などを見ることができます。

※暑くて乾いた気候に適しているというアドべ構造の建築物は、砂、砂質粘土、藁などの有機素材を使った日干しレンガで造られています。(壁は熱をゆっくり吸収しゆっくり放出されるため、日中は涼しく、夜間は温かい構造になっている)また、非常に耐久性が高いため、世界に現存する最古の建築物に多く存在するのだそうです。


Painted Desert Inn

廃線となった「ルート66(旧国道66号線)」

ルート66は、イリノイ州シカゴからカリフォルニア州サンタモニカの東西を結ぶ旧国道66号線。そのオリジナルのルート66を化石の森国立公園の北地区で見ることができます。

廃道路になってしまい、現在は跡形もなく草に覆われていますが、今でも古い電柱が残っていて、その道筋を示してくれています。

▼「ルート66」についての記事は下記のリンクからどうぞ☆

アリゾナ州〜カリフォルニア州のルート66をロードトリップ!主要の観光スポット巡り


Old Route 66

アムトラック「サウスウエスト チーフ」の路線

シカゴからロサンゼルスを結ぶ長距離路線の「サウスウエスト チーフ(Southwest Chief)」が、シカゴからロサンゼルスを結ぶルート66と同じ地域を走っています。

Amtrak:Southwest Chief Train

先住民プエブロ族の「プエルコ プエブロ遺跡」

「プエルコプエブロ遺跡(Puerco Puebro)」は、南地区の最初の見どころ。ここでは紀元前1250年から1400年にかけて暮らしていたというプエルコ先住民(プエブロ族) の住居跡のほか、人や鳥などの絵や記号など、岩を削って刻まれた岩絵「ペトログリフ(Petroglyph)」を見ることができます。


Puerco Puebro

先住民が遺したいにしえの岩絵「ニュースペーパー ロック」

プエルコプエブロ遺跡から更に1.6kmほど南に下ったところにも、多くの岩絵が遺されている「ニュースペーパーロック(Newspaper Rock)」という遺跡があります。展望台の前には幾重にも重なった大きな岩の山があり、設置してある望遠鏡から岩石に刻まれたペトログリフをを眺めることができます。

Petroglyphs @ Newspaper Rock

青みがかった岩山が広がる台地「ブルー メサ」

その名の通り「ブルーメサ(Blue Mesa)」は、全体的に青みがかった岩山が広がる台地。ペインテッド デザートとはまた違った雰囲気ですが、こちらも微細な色彩の違いが見られる様々な地層からなる縞模様が美しい景観。所々に珪化木が転がっているのが見えますが、この台地の下にはまだ無数の珪化木が埋もれているのだとか…。

この荒涼とした砂漠地帯に広がる化石の森国立公園は、大陸が今よりずっと南にあった2億2500万年前の太古の昔には、熱帯雨林気候に適した森林が生い茂っていたそうです(恐竜たちが繁栄した三畳紀と言われる時代)。

悠久のときを経て少しづつ大陸は北へ移動し熱帯雨林は砂漠化、やがて緑豊かだった森の木々は倒れ、川底の泥に沈み、度重なる火山活動によって火山灰が降り積もり、地中でケイ素などと反応して石化した珪化木が、風や雨水などの侵食によって現在のような化石の森が出現したのでした。

そしてこの風景もいずれは風化の運命を辿ります…

The Changing World

Nothing endures but change.  by Heraclitus (540 B.C.E – 480 B.C.E.)

変化以外に持続するものはない。by ヘラクレイトス(紀元前540年〜480年頃)

Blue Mesa

1.6kmのブルーメサトレイル

化石の森国立公園にあるトレイルの中で人気の高いブルーメサトレイルは、起伏が少ない1.6kmのループトレイル。気が遠くなるほどの時を経て積みあがった美しい地層を間近に眺めることができます。

Blue Mesa Trail

自然にできたメノウ橋「アゲート ブリッジ」

「アゲート ブリッジ(Agate Bridge)」は、何世紀にもわたる洪水によって土砂に埋もれていた34mもの巨木が現れて出来た珪化木の橋。長い間、酸素にさらされることなく石化のプロセスをたどった木は、シリカでできた頑丈な珪化木となり、丸太以外の柔らかい砂岩が浸食されたことによって自然の橋ができたのだとか。

※このメノウ橋を渡ることはできません。貴重な珪化木を保護する目的で、19011年には石柱によって橋が支えられ、また1917年にはコンクリートで下部が補強されています。


Agate Bridge

トレジャーハンターで湧いた「ジャスパーフォレスト」

「ジャスパーフォレスト(Jasper Forest)」は大小様々な珪化木がゴロゴロと散らばっている渓谷。19世紀後半から20世紀前半にかけては宝石を目当てに多くのトレジャーハンターによって珪化木が運び出されたそうです。まさに金のなる木ですね。

時には内部に隠れたクリスタルを取り出すためにダイナマイトで巨大な丸太を粉砕することもあったそうです。


Jasper forest

美しい結晶の珪化木が広がる「クリスタル フォレスト」

石化した丸太に見られる美しい結晶にちなんで名付けられた「クリスタル フォレスト(Crystal Forest)」。ところが多くの人々によってそれらのクリスタルは持ち去られてしまったのだとか。

クリスタルフォレストには風化によって分割されていった様子が分かる巨大な珪化木がいくつも見られます。


Crystal Forest

「レインボー フォレスト」

南エントランスの近くに位置する「レインボーフォレスト(Rainbow Forest)」には、この地域の自然史に関する様々な展示品を展示している「レインボーフォレストミュージアム(Rainbow Forest Museum)」があるほか、クリスタルフォレスト(1.2km)、ジャイアントログ(0.6km)、ロングログ(2.5km)という名の3つのトレイルがあり、様々な形をした美しい珪化木に触れることができます。


Rainbow Forest

宝石に生まれ変わった珪化木たち

トレイルに沿って歩いていると木の外皮が残り内部のみ石化しているものや完全に石化したものまで、アメジスト、オニキス、メノウ、ジャスパー、水晶、琥珀、etc…と、様々なクリスタルが散りばめられた色とりどりのゴージャスな珪化木に出会います。

その多様性に驚くと共に、ゴールドラッシュのごとくトレジャーハンターたちに持ち去られ、宝飾品として売られたという話も頷けます。

現在は観光客が持ち帰ることがないよう、公園ゲートの入口で必ず注意を受け、出口でも口頭でチェックされます。(持ち去りが発覚した際は2014年時点$350の罰金。また盗難防止のため夜間は閉鎖される)


Petrified wood

巨大な丸太「オールドフェイスフル」

ミュージアムのすぐ裏手にある「ジャイアント ログ トレイル」は、簡単にまわることができる全長600mの短いループトレイルで、その丘には長さ約10m、底面の直径約3m(重量は推定約44t)の園内最大というジャイアント ログ「オールドフェイスフル」が横たわっています。


Old Faithful

夕暮れに染まるペトリファイドロード

悠久の時を経てキラキラと輝く化石へと変容した樹木たち…私たちがこの世を去った後もずっとこの地に留まり、気の遠くなるような長い年月を経て、いずれは風化していくのでしょう…。

哀愁漂う夕焼けのペリファイドロードを走りながら、車中に流れてきたペット・ショップ ボーイズのLove Comes Quicklyの曲

Sooner or later, this happens to everyone To everyone…

遅かれ早かれ 死は全ての人にやってくる 全ての人に…と言ってるように聞こえてきて、さらに切なさが募る…
(実際は「恋は思いがけず突然やってくる 遅かれ早かれ それは誰にでも起こる 誰にでも」という全く違った意味の歌)

人も動物も植物も、どんな物でさえ、土に還る日が必ずやって来る。この永遠に続くかのように思える地球や太陽でさえ例外なく、万物は必ずいつしか消えてなくなる日がやってくる。一生懸命積み上げてきたものの全てが、何の痕跡もなくいつか消え去る日がくるのなら、何がための努力となるのだろう…。

たとえ物質が無くなっても、魂の存在と進化を信じたい…信じよう。という想いの所以が、そこにあるような気がします。

深い土砂に埋もれた樹木が地上に現れ宝石へと生まれ変わるように…

化石の森は、心の奥底に埋もれた本質的な何かを揺さぶり起こしてくれるような場所なのだと思います。

訪れる旅人の心に、きっと様々な感慨深い気持ちを抱かせてくれるでしょう。


Petrified forest Road

Petrified Forest National Park
1 Park Rd, Petrified Forest National Park, Arizona